「スマホを落としただけなのに」シリーズ最終章でついに主人公へ…トラウマ級の殺人鬼、浦野の犯行を振り返る

「スマホを落としただけなのに」シリーズ最終章でついに主人公へ…トラウマ級の殺人鬼、浦野の犯行を振り返る/[c]2024「スマホを落としただけなのに最終章」製作委員会

「スマホを落としただけなのに」シリーズ最終章でついに主人公へ…トラウマ級の殺人鬼、浦野の犯行を振り返る

11月4日(月) 7:30

大ヒットSNSミステリーの第3弾にして完結編となる『スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム』(公開中)。2018年の第1作『スマホを落としただけなのに』では、恋人の富田(田中圭)がタクシーの中でスマホを落としたのがきっかけで、猟奇的殺人犯の浦野(成田凌)から命をねらわれる派遣社員の麻美(北川景子)のサバイバルをスリリングに活写。続く2020年の続編『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』では、奇妙な友情(!?)で結ばれた刑事の加賀谷(千葉雄大)と獄中の浦野がタッグを組み、新たに起きた殺人事件に挑む展開が話題となった。
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そして、あれから5年。今回の最終章ではなんと、刑務所内からサイバー攻撃を仕掛け、前作のラストでまんまと脱獄し海外へと逃亡した成田凌演じる浦野善治が主人公に。加賀谷は韓国のソウルに潜伏していた浦野が再び動きだしたことをいち早くキャッチするが、同じころ、日韓首脳会談を控えた日本政府に突如として大規模なサイバーテロが仕掛けられる。はたして、これは浦野の仕業なのか?

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そんな比類なき殺人鬼のさらなるおぞましい顔に、日本と韓国を股にかけて迫るのが本作。そこでこのコラムでは、猟奇殺人鬼でありながら人の心を巧妙に操る天才的ブラックハッカーでもある浦野の、これまでの凶行と歪みまくった心の闇をプレイバックしていきたい。

■人々を戦慄させる殺人鬼、浦野

「タクシーの中で拾ったと言うか、考えごとをしていてうっかり持ってきちゃったんです」。第1作ではそう言って、麻美に恋人のスマホの返却を口実に接触してきた浦野は、普段は見た目も清潔で、物腰も柔らかい好青年。持ち前のITスキルでランサムウェアの被害に遭った富田のスマホのロックを解除して信用を勝ち取るが、実はその素顔は長い黒髪の女性5人を次々に殺害し、神奈川県の丹沢山中に遺棄した連続殺人犯だった!

狡猾なクラッカーとしての能力を駆使し、SNS監視ソフトを使ってスマホからあらゆる情報を抜き取ったり、盗み見る浦野。幼少期に母親から「あんたなんか産まなきゃよかった!」と罵声を浴びせられ、激しい虐待を受けたことが原因で、母親と同じ長い黒髪の女性に捻れた愛情を抱くようになった彼は、富田のスマホに残された写真に写る長い黒髪の麻美に異常な執着を持つようになる。

それこそ第1作の浦野は、成田の怪演も手伝って実に気持ち悪かった。優雅なハワイアンがかかる薄暗い部屋で、被害者女性の髪で作ったロン毛のカツラを被り、PCの画面に向かう彼は最初のうちは顔がよく見えない。それだけに、黒髪を指に巻きつけながら麻美の行動を夢中で監視し、裸足で貧乏揺すりをする、果物がプリントされた青いシャツを纏うその姿が不気味に思えた。

■次々と明らかになっていく浦野の本性

だが、浦野の本当の狂気が爆発するのはそこから。殺害した風俗嬢の黒髪の匂いを嗅ぎ、ことわりもなく彼女の髪を切る彼の奇行が明かされるころには、浦野の本性が次々と露わに。富田も知らない麻美の秘密を知ったことを本人に告げる時には爪をガチガチと噛みながら、飛び出しそうなほど大きく見開いた瞳で彼女の反応を食い入るようにチェック。麻美を監禁してからもその異常な行動はエスカレートし、吊るされ、鎖で足も拘束された彼女の黒髪を手にしながら「思った通り、いい匂いだ」と楽しそうにおどけて見せると、次の瞬間には白い木馬に跨って自身の犯行の種明かしを行う。さらに、「『愛してる』なんて無邪気なことを言える連中を見ると、ぶっ殺したくなるんだよ!そいつの化けの皮を剥がして、絶望させたくなる!」と毒づき、麻美だけでなく観客をも凍りつかせた。


そんな浦野のまた別の顔を炙りだしたのが第2作だ。加賀谷のなかに自分と同じ母親に対する屈折した愛憎があることを察知した浦野は、新たな連続殺人事件の捜査に難航する彼に寄り添い、かき乱す。刑務所暮らしで白髪になった外見にも以前のような気色悪さはなく、冷静沈着に真犯人「M」の犯罪心理を的確に分析する天才的ブラックハッカーらしい言動を印象づけると、捜査協力を依頼する加賀谷の心を弄ぶように、「最高のネット環境を用意してほしい」という異例の交換条件を成立させるしたたかさを見せつけた。

かつて浦野を追い詰めた刑事の加賀谷

そのうえで、加賀谷がなにを考えているのか瞬時に読み取り、「(母親を)いつか自分の手で殺すことだけを夢見てきたんですから。そんな僕が人を愛せるわけがないですよね!」と本音をぶちまけながら、「じっと待っているだけじゃ獲物は捕まりませんよ」と煽り、同時に自身の脱獄計画も周到に用意。それでいて、「M」を仕掛けたトラップで引きずり出し、約束をきっちりと守るところには浦野の犯罪者としての美学が。警察が混乱するなか、正面から堂々と姿を消す脱獄劇も鮮やかだった。

■最新作では浦野が仕掛ける壮大なハッキングゲームが展開!

最新作では、その浦野が5年の時を超えて再び動きだすが、その目的とは?彼にソウルで急接近する謎の黒髪の美女スミン(クォン・ウンビ)の正体と思惑は?そこから浦野自身も知らなかった彼の内に眠っていた新たなる感情が湧き上がり、浦野と彼に執着する加賀谷の対決が思いがけない形でクライマックスを迎える。はたして、浦野とは何者だったのか?文字通りの最終章で、そのすべてが明らかになる!

文/イソガイマサト


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