11月4日(月) 2:00
佐々木一郎氏(同志社大学)の「成人した子への仕送り・資金援助の分析」によると、アンケート回答者のうち、親から定期的な資金援助を受けている人は9.1%、受けていない人は90.9%でした。この結果から、成人後に仕送りをもらっている人は少数派だといえるでしょう。ここでは、さらに項目別の割合を紹介します。どのような条件の人が仕送りを受けているのか、傾向を把握しましょう。なお、今回紹介する論文の情報では、学生は調査対象から除外されています。
年齢別の割合は、表1の通りです。
表1
20~29歳 | 11.6% |
30~39歳 | 10.8% |
40~49歳 | 9.2% |
50~59歳 | 5.3% |
※佐々木一郎(同志社大学)「成人した子への仕送り・資金援助の分析」を基に筆者作成
仕送りをもらっている人の割合は、20~29歳が最も多い結果となりました。これは、新社会人になったばかりで生活費の負担が大きい可能性が考えられます。
婚姻状況別の割合は、表2の通りです。
表2
既婚者 | 6.8% |
離婚・死別者 | 8.4% |
未婚者 | 13.4% |
※佐々木一郎(同志社大学)「成人した子への仕送り・資金援助の分析」を基に筆者作成
仕送りをもらっている人の割合は未婚者が最も多く、単身収入では生活が厳しい人も一定数いるのではとないかと考えられます。
世帯年収別の割合は、表3の通りです。
表3
0~300万円未満 | 16.1% |
300万~500万円未満 | 10.5% |
500万~700万円未満 | 5.5% |
700万~1000万円未満 | 5.1% |
1000万円以上 | 6.6% |
※佐々木一郎(同志社大学)「成人した子への仕送り・資金援助の分析」を基に筆者作成
仕送りをもらっている人の割合は、0~300万円未満が最も多いようです。収入が低いため、生活費が大きな負担となっている可能性が考えられます。
社会人になってからも親からの支援を受け続けることは、長期的に見た際、経済的自立の妨げになる可能性があります。
しかし、親からの援助が完全に悪いこととはいえません。特に、新社会人や経済的に厳しい状況にある場合、一時的に親の支援を受けることは有効な手段といえます。ただし、いつまでも親に頼り続けるのではなく、経済的に自立できるよう計画を立てて生活することが大切です。
ここでは、自立した生活を送るためのポイントを紹介します。
家計を圧迫しやすいのが、趣味や娯楽に関連するサブスクリプションサービスです。サブスクは便利な反面、利用しない月でも料金がかかるため、無駄遣いの原因になるおそれがあります。利用頻度が低い、登録したまま利用していないといったサブスクを見直し、解約することで節約できる可能性があります。
必要な日用品をリストアップし、掃除用具や洗剤などを使い回しできるアイテムに統一することで、無駄な出費を抑えられる可能性があります。例えば、重曹やクエン酸、中性クリーナーなどはさまざまな場面で使えるため、1つ持っておくと便利だとされています。また、古いタオルや肌着を捨てずにとっておき、掃除用具として再利用するのもおすすめです。
社会人になってからも親から仕送りをもらう人は少数派であると考えられます。自分の収入だけでは生活が厳しいと感じている場合は、日々の出費を見直し、無駄遣いを減らすことが大切です。経済的に自立した生活を送っていくためにも、親からの支援に依存しすぎないようにしましょう。
佐々木一郎(同志社大学),2018,『成人した子への仕送り・資金援助の分析』(生命保険論集),J-STAGE
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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