エディとヴェノムの絆はどのように育まれていったのか?最終章『ヴェノム:ザ・ラストダンス』にいたる紆余曲折をプレイバック!

これまでに築かれてきたエディとヴェノムのパートナーシップをプレイバック!(『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』)/[c]Everett Collection/AFLO

エディとヴェノムの絆はどのように育まれていったのか?最終章『ヴェノム:ザ・ラストダンス』にいたる紆余曲折をプレイバック!

11月4日(月) 12:30

マーベルコミックに登場するスパイダーマンの宿敵を主人公に映画化した「ヴェノム」シリーズ。その最終章『ヴェノム:ザ・ラストダンス』がついに公開となった。ヴェノムはヴィランではあるが、一心同体で過ごしてきたエディと時に息の合ったコンビネーションを見せ、時にケンカをする仲睦まじい関係性で人気を博してきたキャラクター。これまでの2作で築かれてきた2人のパートナーシップを振り返りたい。
【写真を見る】ケンカすることはあっても、なんだかんだで互いを信頼し合っているエディとヴェノム(『ヴェノム:ザ・ラストダンス』)

【写真を見る】ケンカすることはあっても、なんだかんだで互いを信頼し合っているエディとヴェノム(『ヴェノム:ザ・ラストダンス』)

■仕事も恋人も失ったエディが地球外生命体シンビオートに感染

主人公はトム・ハーディ演じるエディ・ブロック。シリーズ第1作『ヴェノム』(18)の始まりは、サンフランシスコでジャーナリストとして働くエディが、人体実験をしていると囁かれるライフ財団のCEO、カールトン・ドレイク(リズ・アーメッド)へのインタビューを行うが、噂についてしつこく追及したため、職を失い、婚約者アン・ウェイング(ミシェル・ウィリアムズ)からも別れを告げられる。それから半年が経ち、いまだ失意の真っ只中にいるエディのもとに財団の研究者が現れ、施設に潜入する手引きをしてもらうことに。しかしそこでエディは、宇宙からやって来たゲル状の地球外生命体シンビオートと接触。瞬く間に寄生され、強烈な空腹感や狂暴性に翻弄されてしまう…。

財団の研究施設に潜入し、シンビオートに感染してしまう(『ヴェノム』)

■なんだかんだでエディを助けるヴェノムのツンデレ感

ヴェノムに寄生されたことで飛躍的に身体能力が向上したエディ。一方で頭のなかで響き続ける声にすっかり憔悴し、空腹感を満たすために自宅の冷蔵庫にある食材から残飯までなんでも口にする始末。助けを求めて、アンが新たな恋人ダン(リード・スコット)と食事をしているレストランにも現れるが、そこでも次々とテーブルの料理を漁りまくり、挙句の果てには店内の水槽に入ってロブスターを生きたまま頬張っていた。

このように当初のヴェノムはエディを単なる宿主としか見ていなく、「協力すれば生かしてやる」と隙あらば体を完全に乗っ取ろうとし、人間の脳を食べたがるその習性で恐怖させていた。ところが、財団が放った追手がエディの自宅を強襲すると、これを瞬く間に一蹴。その後もバイクで逃走するエディをサポートし、ドローンによる攻撃から防いでくれる場面も。エディが財団に関する証拠をテレビ局に持ち込もうとするのも手助けし、大勢の警官に囲まれた時にはこちらも次々と撃退していた。

警官の一人を食べようとするのをエディが制止した際にも、なんだかんだ言うことを聞くヴェノム。エディと行動するうちに、いつの間にか地球を気に入り、侵略というシンビオート本来の目的も放棄していたのだ。口では物騒なことを言い放ちながら、渋々ながらエディを助け、悪人を成敗していく…。凶悪なビジュアルとのギャップもあり、ツンデレここに極まり!という感じでかわいい奴に思えてくる。

バイクで逃走するエディをヴェノムがサポート(『ヴェノム』)

■アンへの想いを引きずるエディにヴェノムがアドバイス

エディとヴェノムの仲は、宿主と寄生生物という関係を越えてますます深まっていく。エディの思考や記憶も読み取っていたヴェノムは、彼がアンへの想いをいまだ引きずっていることも知っており、「謝ってなかっただろう。二度と謝るチャンスはないかも」とまさかの恋愛のアドバイス。それを聞いたエディもアンに対して、「君にこれまでにしたこと、本当に悪かったと思っている。君を愛している」と語りかける素直さを見せていた。

エディを助けようとするアンとダン(『ヴェノム』)

このあとアンとダンが、ヴェノムが苦手とする音波を発するMRIを使ってエディから強引に引き剥がすが、そこへ財団の刺客が現れ、エディが捕まってしまう。すかさずヴェノムはエディを救おうと行動し、アンに寄生することでシーヴェノムに変身。施設付近の森で処刑されそうになっていたエディを間一髪で救い出し、シーハルクのまま熱いキスを交わして再び彼に寄生した。

■身を挺してエディを守ったヴェノム

そして、ヴェノムから遅れてやって来たシンビオートの隊長、ライオットとそれに寄生されたドレイクとの最終決戦。「この世界を破壊させはしない」と勇ましく立ち向かう姿は完全に正義のヒーロー。能力で上回るライオットに圧倒され、エディの体からヴェノムが引き剝がされ、捕食されそうになるが、この時はエディ自らが手を差し伸べてヴェノムを取り戻していた。その後、ロケットに乗り込み宇宙へ飛び立とうとするライオットたちを、間一髪のところでロケットもろとも爆散させ消滅させる。エディと共に空から海へと落ちていくなか、ヴェノムは弱点にもかかわらず身を挺して降り注ぐ炎から彼を守ろうとしていた。種を超えた2人の熱い友情に、誰もがウルっとしたことに違いない。

チェンさんのコンビニに押し入った強盗を撃退するヴェノム(『ヴェノム』)


■失意のエディを慰める優しいヴェノム

シンビオートが大量殺人鬼に寄生して誕生したカーネイジ(大虐殺)との激闘が描かれる第2作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(21)。エディは記者としての活動を再開。ヴェノムも彼と同化したまま共同生活を送り、行きつけのコンビニエンスストアの店長チェンさん(ペギー・ルー)ともすっかりなじみの間柄になっていた。

エディとの共同生活で人間社会に溶け込むヴェノム(『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』)

ヴェノムの食欲は相変わらずだが、人間の代わりにチョコレートやニワトリで空腹を抑えるなどそれなりに人間社会に溶け込んでいる。アンからダンと婚約したことを告げられ、エディが落ち込んだ際には、「心を治してやれなくてすまない。心の痛みは体よりもキツくて、いつまでも続く」と気遣いの言葉を送り、特製の朝食を作ってあげるなど思いやりある心配りにほっこりさせられる(台所やダイニングは荒れ放題だが…)。

■互いの不満が爆発し、別れる選択を取ってしまう

一方、エディのもとには、刑務所に収監中の凶悪な殺人鬼クレタス・キャサディ(ウディ・ハレルソン)に取材するというチャンスが舞い込んでいた。インタビューでは有益な情報は得られなかったように思えたが、独房の壁に描かれていた絵をヴェノムが正確に記憶していたことから、未発見だった被害者の遺体を発見することにつながり、クレタスの死刑を確定させるという手柄を挙げる。

殺人鬼クレタスからの手紙を受け取るエディ(『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』)

敏腕記者としての名声を手にしたエディに対し、ヴェノムは感謝の気持ちが足りないと感じており、日ごろから食欲を我慢していたこともあって不満を募らせていく。そこへ再び、クレタスに取材する機会がエディに訪れるのだが、そこで受けた挑発に乗ったヴェノムが暴走。取材が台無しになったことからエディも激怒し、激しい罵り合いに。ヴェノムは家具を破壊しながら暴れだし、エディが大切にしていた大型テレビも窓から投げ捨て、ついに2人は決裂することに。

■自身の過ちを認めたエディを受け入れるヴェノム

エディとヴェノムがケンカ別れをしているさなか、クレタスに死刑が執行されようとしていた。ところが、彼はエディの指に噛みついており、そこからシンビオートに感染。新種のカーネイジとして覚醒し、かつて離ればなれになった最愛の恋人で超音波を発する危険人物、フランシス・バリソン(ナオミ・ハリス)を求めて脱獄し、殺戮を繰り返していく。

警察の取り調べを受けるエディ(『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』)

クレタスが逃げだしたことを受け、彼と接触していたことから警察に連行されるエディ。ヴェノムは再びアンに寄生してシーヴェノムとなり、エディの救出に駆けつけるが、完全に許したわけではなく、謝罪を求める姿がなんともいじらしい。「本当に、本当にすまなかった…」と謝罪の言葉を並べるエディを前に、「う~ん、う~ん…」と迷って見せるが、結局は「よかろう!」とすぐに許してあげていた。

■互いの欠点も受け入れ、結束力はより強固に

無事に仲直りできたエディとヴェノムだったが、クレタスによってアンがさらわれてしまう。彼女を救うため、クレタスがフランシスと結婚式を挙げようとしていた教会へ駆けつける。そこでカーネイジと相対するヴェノムだが、「赤いやつはマズい!」とその凶悪さに気圧されて内側へ引っ込む事態に。

シンビオートが大量殺人鬼に寄生して誕生したカーネイジ(『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』)

慌てふためくエディの「食べていいぞ!約束する!」という言葉で奮起したヴェノム。苦戦しながらも、なんとかカーネイジとフランシスを倒すことに成功する。痴話げんかに始まり、勢いで別れる選択も取ってしまったが、この戦いを通して2人の結束はより強くなり、互いの欠点も受け入れる愛の深さを見せていた。

エディとヴェノムの絆はどうなってしまうのか?(『ヴェノム:ザ・ラストダンス』)


様々なトラブル、強敵との戦いを乗り越えて絆を育んできたエディとヴェノム。『ヴェノム:ザ・ラストダンス』ではどんな困難が2人を待ち受けるのか?その関係性はこれからも続いていくのか?物語の行く末を劇場で見守ってほしい。

文/平尾嘉浩


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