11月3日(日) 5:20
退職給付制度とは、労働者が退職した際や解雇された際に、過去の労働の対価として会社から手当が支払われる仕組みを指します。支給方法によって、一度に支払われる「退職一時金」と年金で支給される「退職年金(企業年金)」に大きく分けられます。
支給される額は、勤続年数や学歴によって異なるケースが多いようです。退職給付制度は必ず設ける必要がないため、会社によっては支給されないかもしれません。そのため、これから就職する方が退職給付の支給を希望する場合は、事前に確認しておきましょう。
退職給付が出ない会社の割合は、次章で詳しく解説します。
ここからは、退職給付制度が設けられている会社と設けられていない会社の割合を、厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」を参考に、企業の規模別にご紹介します。
表1
企業の規模 | 退職給付(一時金・年金)制度あり | 退職給付(一時金・年金)制度なし |
---|---|---|
1000人以上 | 90.1% | 8.8% |
300~999人 | 88.8% | 11.1% |
100~299人 | 84.7% | 15.1% |
30~99人 | 70.1% | 29.5% |
令和5年調査計 | 74.9% | 24.8% |
出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」を基に筆者作成
令和5年の調査時点において、退職給付制度が設けられていない企業の割合は、24.8%だと分かりました。企業の規模が小さいほど、退職給付制度なしの割合が増えることも分かります。
このことから、大企業の方が、退職給付制度が整っているといえるでしょう。
退職金と聞くと退職時に一度に支給される「退職一時金」のことを連想する方もいるかもしれませんが、前述の通り、退職給付制度には退職年金(企業年金)制度もあります。
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によれば、退職給付制度がある企業のうち、退職一時金制度のみを採用している企業は69.0%、退職年金制度のみを採用している企業は9.6%、両制度を併用している企業は21.4%となっています。
退職一時金は労働者の退職後に一括で受け取りますが、企業年金は分割して定期的に受け取ることも可能です。
企業年金には、「確定給付企業年金(DB)」や「企業型確定拠出年金(企業型DC)」といった種類があり、厚生労働省によれば、いずれも掛金は原則として事業主が負担しており、加入者も事業主掛金を超えない範囲での拠出が可能です。
企業が従業員のために実施する「確定給付企業年金(DB)」は、将来的な給付額が保証されています。しかし「企業型確定拠出年金(企業型DC)」の場合は、企業が拠出した掛金を従業員本人が運用し、その実績によって、将来受け取れる給付額が決定する仕組みです。
退職金が出ない会社の割合は規模によって異なりますが、全体でみると24.8%存在することが分かりました。基本的には会社の規模が大きいほど、退職給付制度が整っている傾向にあります。
退職給付制度には退職一時金だけでなく、退職年金制度を採用しているケースもあるため、自身の会社や今後就職しようと考えている会社ではどのような制度となっているか確認しておくとよいでしょう。
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 3 退職給付(一時金・年金)制度 第16表 退職給付(一時金・年金)制度の有無、退職給付制度の形態別企業割合(12ページ)
厚生労働省 第19回社会保障審議会企業年金・個人年金部会 資料1 私的年金制度(企業年金・個人年金)の現状等 企業年金・個人年金制度の仕組み(8ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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