11月3日(日) 4:10
ペナルティーを解説する前に、印紙税と収入印紙がどのようなものかを確認します。
印紙税は、経済活動で生じる文書の一部に課せられる税金です。受取金額が5万円以上の領収書は、印紙税法上の「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」に該当し、文書作成者に200円以上の納税義務が生じます。
そして、印紙税を納める際に必要なものが「収入印紙」です。印紙税に相当する金額の収入印紙を文書に貼り付け、消印をすることで、印紙税の納付が認められます。
なお、国税庁によると、「納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額(すなわち印紙税額の3倍)に相当する過怠税を徴収されることになり、また、貼り付けた印紙を所定の方法によって消さなかった場合には、消されていない印紙の額面金額に相当する金額の過怠税を徴収されることになっています」と記されています。
収入印紙の貼り付けと消印をどちらか一つでも怠ると過怠税の対象となってしまうため注意が必要です。
通常、課税文書には収入印紙を貼らなければなりませんが、例外も存在します。表題の「8万円のベッドの領収書」であれば、以下の3つのケースのいずれかに該当している場合に、収入印紙の貼り付け義務が免除されます。
クレジットカードによる決済が明記されている領収書は、印紙税の対象外です。したがって、収入印紙も必要ありません。これは、クレジット販売が「金銭又は有価証券による取引」ではなく、信用取引と見なされるためです。
ただし、クレジット販売による領収書として認められるものは、クレジットカード決済の旨が領収書に記載されているものに限られます。記載されていない場合は、「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」として扱われ、印紙税の対象となります。
特定の要件を満たせば印紙税を金銭で事後納付できる、特例制度があります。特定の要件を、国税庁「書式表示による納付の特例」を基にご紹介します。
(1)文書の種類は次のいずれかであること
・毎月継続して作成されることになっている課税文書
・特定の日に多量に作成されることになっている課税文書
(2)文書の様式又は形式が同一であること
(3)その作成の事実が後日においても明らかにされること
また、この制度を適用した課税文書には税務署長の承認を受ける必要があり、「印紙税申告納付につき税務署承認済」と規定の書式で表示しなければならないようです。
領収書に収入印紙が貼られておらず、また例外のケースにも該当しない場合、受け取り側の脱税に発展する可能性はあるのか調べました。印紙税法二十条では、収入印紙の貼り忘れによるペナルティーを次のように定めています。
・(略)納付すべき印紙税を当該課税文書の作成の時までに納付しなかつた場合には、当該印紙税の納税地の所轄税務署長は、当該課税文書の作成者から、当該納付しなかつた印紙税の額とその二倍に相当する金額との合計額に相当する過怠税を徴収する。
よって、課税文書を受け取った側に責任はなく、脱税にも該当しないことが想定されます。
収入印紙の貼り忘れのペナルティーは、印紙税額の3倍が原則ですが、例外的に減額が認められる場合があります。
それは、文書の作成者が、印紙税の納め忘れを所轄の税務署長に自己申告し、かつ収入印紙の貼り忘れが意図的でないと認められたケースです。この場合、ペナルティーの額は印紙税額の3倍から1.1倍に減額されます。
印紙税は、記載金額が5万円以上の領収書などに課せられる税金です。課税文書に収入印紙を貼り付け、消印をすることで、納税が認められます。
収入印紙の貼り忘れは過怠税などのペナルティーがあるようですが、責任が問われる対象は課税文書の作成者です。したがって、収入印紙のない領収書を受け取ることは、購入者の脱税にはあたらないでしょう。
一方、課税文書の作成者には、原則として印紙税額の3倍のペナルティーが生じます。ただし、印紙税の納税方法には例外があり、収入印紙を貼らなくていいケースもあります。
デジタル庁 e-Gov法令検索 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)二十条
国税庁印紙を貼り付けなかった場合の過怠税
国税庁書式表示による納付の特例
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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