各テレビ局は10月に番組改編を実施し新たな番組がスタートしている。
そんな中でゴールデン・プライム帯で放送する主な新バラエティ番組として、10月改編でフジテレビ系は『この世界は1ダフル』『ザ・共通テン!』、TBS系は『THE MC3』『巷のウワサ大検証!それって実際どうなの会』がレギュラーとして始動。ただ、正直言えばどの番組もあまり話題になっていない印象だ。
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そこで、今回はバラエティ番組も制作していた元テレビ局スタッフが、今秋から始まった4つの番組を勝手に審査。実際に視聴した上で、見どころや疑問点などを紹介していく。
Snow Man渡辺翔太がMCで話題『この世界は1ダフル』
まずは、『この世界は1ダフル』だ。10月17日に放送を開始した番組で、MCは東野幸治とSnow Man・渡辺翔太が担当。番組の構成はスポーツ選手、雑誌の編集者、弁護士などさまざまな一流の人たちが登場し、実際の映像、インタビュー、事実を基にした再現ドラマでワンダフルな話を披露する。
ここまでの放送を見た感想では、どこかで見たエピソードが多く登場しているように思える。
例えば、元バレーボール全日本代表・大林素子は、高校生が主役の「2014年春高バレー女子・決勝」を挙げ、九州文化学園が大逆転で激闘を制した試合を紹介。当時も逆転劇は報じられていて、蔵出し映像という驚きはなく平凡に感じた。スポーツに関しては、強烈な印象がある場面でなければネタとして成立しないので、熱心なファンはすでに知っているエピソードが登場しがちになってしまいそうだ。
また、再現ドラマは途端にチープになってしまい、「実話」という番組の売りが薄れてしまう印象を受けた。番組の構成は面白いのに、肝心な映像で今のところは驚きや発見を得られていないように思える。
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ただノビシロはありそうで、例えば渡辺を通じてSnow Manの秘話など、芸能人のどこにも出ていないエピソードが紹介できれば話題を集めそう。実話という縛りだけクリアすればどんなジャンルのVTRも制作できるので、新たに始まったバラエティ番組の中では、もっとも今後の期待が高いと思える。
『ザ・共通テン!』チョコプラをどう使うかにかかっている
続いては、同じくフジテレビ系で放送する『ザ・共通テン!』。10月18日からスタートした番組で、MCはヒロミとホラン千秋、進行でチョコレートプラネットが出演する。
この番組は、共通点を持つ4人の女性芸能人が登場し、そのお題にあわせた日常生活に密着する生態調査バラエティ。VTRはベスト10形式で発表し、「○○女子」たちの生態を紹介しグルメや美容、節約テクニックなどを明かしていく構成だ。
初回の2時間SPでは、ギャル曽根、土屋アンナ、丸山桂里奈、山田優が登場。4人は「スーパーはしご女子」として、普段の買い物の様子を紹介した。
どこか『ヒルナンデス!』など日本テレビ的な雰囲気がする番組で、11月1日放送分も「日本中の名品を食らう女子」などで完全なグルメ企画。お昼に放送していたら見てしまいそうな演出だが、毎週金曜日の21時から放送する番組として適しているかは疑問が残るところ…。
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また、女性芸能人という縛りがある上に共通点まで見つけるわけでかなりキャスティングが難しそう。早々にネタ切れを起こす可能性も大だ。
そして、旬のチョコプラを起用しながら、ほとんど番組で活かせていないのが痛いところ。チョコプラをどう使うかが、この番組の化けるポイントになるような気がする。
良いポイントとしては、現時点で放送している回を見る限りでは、初回で山田優を引っ張り出したのはスタッフのやる気を感じる。
山田は番組で“上級セレブっぽい”ショッピングも行い、値札を見ないなどの豪快さで女性週刊誌のネット記事で叩かれる事に。バラエティ番組として良くも悪くも話題になるのは大切で、今後もお昼の番組とは違う視聴者から反感を買うような企画や人選ができれば、異色の番組として化ける可能性もあるだろう。
日テレからTBSへ移籍と噂の番組がレギュラー化。独自企画が待たれる
さて、今度はTBSの番組を紹介。まずは『巷のウワサ大証!それって実際どうなの会』だ。
これまで特番として不定期で計4回放送され、10月9日からレギュラー化。放送前から、今年3月まで日本テレビ系で放送された『それって!?実際どうなの課』と、タイトル・出演者・内容が被っていると話題を集めていた番組だ。
俳優の生瀬勝久がMCを務め、満島真之介、森三中・大島美幸がレギュラー。素朴な疑問を、芸人やタレントが体を張って検証する番組だ。感想は簡潔になるが、やはり『それって!?実際どうなの課』と似ている気がする。どんな事情があったかは知らないが、視聴者目線で見ると内容の違いがわからない。
問題点としては、女優・緑川静香がフリマアプリやネットオークションで家の不用品を売る企画など、過去に見た覚えがあるネタが多い。独自の名物企画をどれだけ放送できるかに番組の命運はかかっているだろう。
『ジョンソン』の後番組『THE MC3』一気に年齢層アップ
最後に紹介するのは、『THE MC3』だ。中居正広、東野幸治、ヒロミと大御所MCが勢ぞろいした番組で、“日本一余計なお世話バラエティ”がコンセプト。
前番組は、かまいたちなどが出演し短命に終わったバラエティ『ジョンソン』だったこともあり、一気にMCの年齢層があがったことになる。
10月21日にスタートした番組だが、初回放送ではMC3人が題材に。Z世代に3人を知っているか調査し、縁のある芸能人が知られざる素顔を披露した。結果として、Z世代にそもそも知られていなく、ボロボロに言われるMCの3人という構図が面白く期待がかかる番組となった。
しかし、10月28日に放送した三宅健がゲストの回は、イマイチだったと言わざるを得ない。三宅に忖度した企画で見どころがあまりなかった。旧ジャニーズ事務所の先輩である中居がいるのだから、際どい話や三宅をイジる内容でも良かったところ。
特番時代から番組の構成は面白そうなので、今後はどれだけゲストの見たことない素顔を、3人が引っ張り出せるかに期待がかかる。ただ、現時点ではゲストに登場するタレントも含め、番組独自の切り口を見つけられていない印象。『ジョンソン』のように短命で終わらないためにも、早急に構成の練り直しが必要だと考える。
ベテランMC起用の無難なバラエティの傾向が見える
ここまでバラエティ新番組を解剖してきた。深夜番組まで幅を広げると実験的な新番組もあるが、ゴールデン・プライム帯に限っていえば、お金を使わない構成の番組ばかり。
さらに、東野幸治とヒロミが2番組も担当しているわけで、安定したベテランMCを起用して無難な番組を制作していることがよく分かる。
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テレビ局の大幅な改編は4月に行われるが、その前哨戦となるのが10月の秋の改編。今秋の改編で、各テレビ局がベテランMCを起用して無難な番組を制作したことで、来年以降もこの傾向が続く可能性が大だ。
そうなると、斬新なバラエティはネット配信で制作し、民放はクレームがつかない無難なバラエティ番組を放送するという潮流が鮮明化することになる。これまではバラエティといえばテレビだったが、面白い番組を見るならAmazonプライムやNetflixに加入しなければいけない時代が、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。
<文/ゆるま小林>
【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆
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