先週末(10月25日から10月27日)の北米興収ランキングは、“ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)”の最新作である「ヴェノム」」シリーズ第3作『ヴェノム:ザ・ラストダンス』(日本公開中)が初登場でNo. 1を獲得。今回は、本作のオープニング成績を過去のシリーズ作などと比較していくことにしよう。
【写真を見る】興行的成功のカギを握るのは海外興収!?中国では2024年ハリウッド映画No.2のオープニングに
4131館で封切られた『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の初日から3日間の興収は5101万ドル。2024年公開作では13本目のオープニング興収5000万ドル突破タイトルにはなったものの、第1作『ヴェノム』(18)の8000万ドル、第2作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(21)の9000万ドルと比較すると大きく数字を落とすスタートとなった。
参考までにこれまでのシリーズの成績を振り返ってみると、オープニング興収は先述の通り約1000万ドル差だったが、最終的な累計興収は共に2億1300万ドル台で横並び。さらに全世界興収で見ると第1作の約8億ドルに対し、第2作は約5億ドル。この大きな差は中国国内の興収によるものであり、第1作は中国だけで約2億7000万ドル、すなわち北米を上回る興収を叩きだしていた。
北米の成績だけで見れば、第1作・第2作ほどの興収を収める可能性は低く、興行的には限りなく期待外れのものに終わりそうな今作ではあるが、中国では今年公開されたハリウッド映画でNo.2のオープニング成績を樹立。「Variety」の報道によれば公開5日間で4500万ドルほどの興収を記録しており、海外興収をあわせた全世界興収ではすでに製作費の1億2000万ドルを突破。これまで以上に海外興収の積み上げが勝負どころとなりそうだ。
また、同じユニバースに属する『モービウス』(22)がオープニング興収3900万ドルで、最終的に北米では1億ドルに届かず、全世界興収で1億6700万ドル止まり。『マダム・ウェブ』(24)に至っては全世界興収でやっと1億ドルに届いたりと、低調が続いているSSU。12月には『クレイヴン・ザ・ハンター』(12月13日日本公開)も控えており、ユニバースを牽引してきた「ヴェノム」がひとまず完結を迎えたとなれば、次なる看板タイトルを生むことが急務であろう。
さっとランキングの他のタイトルにも触れていくと、『西部戦線異常なし』(22)のエドワード・ベルガー監督の最新作で賞レースへの参戦が期待される『Conclave』は4位に初登場を果たし、批評面も期待通り順調。ショーン・ベイカー監督の『ANORA アノーラ』(2025年2月28日日本公開)は上映館を微増させ、一気にトップテン圏内に滑り込みを果たしている。
そして、今年のアヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリを獲得した、アダム・エリオット監督15年ぶりの長編『Memoir of a Snail』が5館での限定公開ながら1館あたりのアベレージ興収1万2000ドル超を記録して24位にランクイン。これも長編アニメーション賞レースのゆくえを追う上で押さえておきたい一本となるだろう。
文/久保田 和馬
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