11月1日(金) 22:20
まず、老後の人生設計(ライフプラン)を考える際のポイントを紹介します。
一般的には、私たちは退職後にいわゆる「老後の生活」に入っていきます。「退職しても健康であれば働きたい」という考え方はさておき、いずれ医療や介護のお世話になることを想定し、死に至るまで「どこで、だれと、どのように暮らすか」を考えることは、老後の人生において極めて重要な課題といえるでしょう。
図表1
※筆者作成
ライフステージ上の課題のなかでも「どこで暮らすか」という点は、「生活拠点をどこに置くか」という意味で、とても重要な項目といえます。
介護が必要になった場合、おそらく多くの人が「自分の住み慣れた家で暮らしたい」と考えることでしょう。つまり、「在宅」という選択肢は当然のことながら存在します。
一方で、実際に介護が必要になった場合、在宅での生活が難しくなり「施設」で暮らすことを考える人もいます。例えば、介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、グループホーム、ケアハウス、介護医療院などです。
このようにさまざまな種類の施設があるため複雑に見えますが、端的にいえば「在宅での暮らしか、施設での暮らしか」を選ぶことになります。そのうえで、医療保険制度や介護保険制度などの社会保障制度を活用しながら、老後の暮らしを営んでいきます。例えば介護保険制度の活用でいうと、「在宅介護か、施設介護か」の違いです。
昨今では老後の暮らしに対する不安から、漠然と「お金をためたい」というニーズが高まっているように感じますが、まず「どこで暮らすか」を想定しなければ、具体的な貯蓄額のイメージが湧かないのは当然といえるでしょう。
個々の施設については紙面が長くなるため、今回の記事では言及しませんが、「老後の暮らしは、在宅か施設かの2択である」ということが伝わればよいと考えています。これについては、「当たり前のこと」と思う人もいるかもしれません。
しかし、相談者からの相談に応じていると、この点についてそれなりにイメージできている人は、少ないように見受けられます。
「そのときにならないと分からない」と言われることもありますが、「そのとき」のことを想定するのがライフプラン・シミュレーションです。老後の暮らしにおいては、在宅で暮らすかそれとも施設で暮らすか、大まかなイメージが伴わなければ、暮らしや家計における課題の解決が難しくなります。
決め打ちはよくありませんが、おおよその可能性を探ることはできるため、ある程度の方向性を持って老後の生活設計を描くようにしましょう。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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