11月1日(金) 23:20
総務省統計局の「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要 」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の消費支出は月額25万959円です。
あくまでも平均であり目安となる金額ですが、もらえる年金額が20万円くらいの見込みであれば、年金だけで生活費をまかなうのは難しい可能性が高いでしょう。消費支出の内訳は図表1のとおりで、構成比がもっとも高いのは食費の7万2930円です。
【図表1】
65歳以上の夫婦高齢者無職世帯 | |
---|---|
消費支出 | 25万959円 |
食料 | 7万2930円 |
住居 | 1万6827円 |
光熱・水道 | 2万2422円 |
家具・家事用品 | 1万477円 |
被覆および履物 | 5159円 |
保険医療 | 1万6879円 |
交通・通信 | 3万729円 |
教育 | 5円 |
教養娯楽 | 2万4690円 |
その他消費支出 | 5万839円 |
※総務省統計局「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要」をもとに筆者作成
原則として65歳からもらえる年金の受給額は、以下のとおりです。
・国民年金(老齢基礎年金):6万8000円(満額の場合)
・厚生年金(夫婦2人分の標準的な金額、老齢基礎年金を含む):23万483円
※平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合の給付水準
国民年金は、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月間)にわたって保険料を払い込んだ場合に6万8000円を受け取れます。どこかで保険料を払い込んでいない期間があると満額受給はできません。
それに対し、厚生年金は、被保険者期間や給与や賞与をどのくらいもらっていたのか(平均標準報酬)によって受給額が異なります。被保険者期間が長くて保険料を多く払い込んでいれば、その分だけもらえる年金も高額になる仕組みです。
老後の生活費を年金だけでまかなうのが難しそうな場合、早いうちから増やすための方法を検討するしかありません。以下の方法で毎月の年金を増やしたり、老後の生活費を用意したりすることが可能です。
・公的年金を増やすための対策を検討する
・毎月の支出を見直す
・できるだけ長く働いて収入を得る
方法別に解説しますので、できることから始めて老後に備えましょう。
老齢基礎年金や老齢厚生年金を増やすことは可能なので、以下の中から適切な対策を取り入れてみてください。
・繰下げ受給:年金を受け取る年齢を65歳からではなく、66歳から75歳までに遅らせて受給額を増やす制度。1ヶ月あたりの増額率は0.7%、最大84%まで増額が可能
・付加年金:第1号被保険者・任意加入被保険者が定額保険料に月額400円の付加保険料を納付することで、老齢基礎年金に付加年金(200円×付加保険料納付月数)が上乗せされる制度
・任意加入:60歳以降も任意で国民年金に加入できる制度(老齢基礎年金の受給資格を満たしていない、納付済期間が40年に達していないなど、老齢基礎年金を満額受給できない場合)
毎月の支出を見直してみて、無駄遣いをしていないか、節約できそうな費用はないか確認しましょう。保険の契約を見直せば、保険料の負担軽減が可能です。
また、住宅ローンの早期完済を行えば、返済期間を短縮できる分だけ支払う利息を減らせます。そのうえで収支の改善ができたら、貯金に回して老後資金の備えにしてみてください。
年金だけに頼らず働いて収入を得れば、貯金に回す、ゆとりのある生活を過ごすことが期待できます。
また、厚生年金は加入要件を満たしていれば、70歳まで被保険者でいられるのもメリットです。厚生年金保険料を払い込み、被保険者期間を長くすれば、現在の年金見込額が20万円だとしても、さらに増えた金額を受け取れるでしょう。
現在の年金見込額が20万円くらいの場合、総務省統計局の家計調査報告の結果だけを参考にすると老後の夫婦2人の生活費をまかなえない可能性が高いでしょう。ただし、受給額を20万円以上にすることは可能です。
健康なうちは夫婦2人で働いて収入を得る、毎月の支出を見直して貯金に回す、繰下げ受給や付加年金や任意加入といった適切な方法を取り入れてみてください。
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 付加年金
日本年金機構 任意加入制度
総務省統計局 家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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