11月2日(土) 8:30
<JLPGA最終プロテスト最終日◇1日◇大洗ゴルフ倶楽部(茨城県)◇6602ヤード・パー72>
今季のステップアップツアーでアマチュア優勝を果たした都玲華はトータル8アンダーの2位タイで合格。最終日は合否よりも、トップ争いを意識する展開となり「今は悔しい方が勝ってますね」。会心の笑顔は見られなかったが、4度目の挑戦でプロへの扉を開いた。
「きょうはことごとくパットが入らなかったですね」。これがホールアウト後の第一声。前半で3つスコアを伸ばし、単独首位に立つ場面もあったが、終盤の17番でボギーを叩くなど、最終的には2022年「日本女子アマ」優勝の寺岡沙弥香に2打及ばなかった。
トップ合格の選手にはQTファーストステージをスキップし、いきなりファイナルステージから参加できる特権はあるものの、基本的にプロとしてのスタートラインは全員同じ。ここから始まるプロ生活に向けて「皆さんに応援していただけるような、上手なだけでなく強いプロゴルファーになりたいです」と目標を掲げた。
「今回は母も初めて来てくれています。父とはそこまで打ち解けた関係ではないので、母がいると落ち着きますね」。プロテストが始まる前日、都のこんな言葉を記事にすると、ある方からクレームを頂戴した。「書かないでおいてくれたら、娘がそんなことを言っているなんて知らずに済んだのに…。読んでいて涙が出てきましたよ」。そう父の英樹さんからである。大変申し訳ないことをしたと、深く反省しつつ、取材を続けていると、最終日に都から父に対する本音が聞けた。
「私が長渕(剛)の『しゃぼん玉』という曲が好きだと言ったら、父は会場までの車の中で『登場曲だ』と言って毎日リピートでかけてくれました。テスト期間中は父の方が私より緊張していたと思う。私は父なしではここまで来られなかったので感謝しています」。また、今年3月、日本赤十字社を通じて、能登半島地震の被災者へ義援金を贈った理由についても「父がそうした活動をしてきたのを見てきたので、私もできることはないかと考えました」と説明した。
都は20歳にして、自称「遅れてきた反抗期」の真っ最中。なかなか口や態度に出さないかもしれないが、胸の内は父への感謝であふれている。お詫びというわけではないが。英樹さんにはこれで先日とは違う意味で涙してもらえればと思う。
すっかり私信のようになってしまったので、プロとなった都の今後に話を移すと、来週の韓国ツアーのQT出場は改めて「検討中」とのこと。当初はプロテストの結果に関わらず、挑戦を考えていたが、現在は渡韓をキャンセルし、その時間を日本のQTに向けた調整に充てることも考えているという。来季はいずれにしても国内が主戦場となるはず。今後に向けて、ベストの選択をしてもらいたい。(文・田中宏治)