11月2日(土) 13:00
世界ランキング1位でマスターズチャンピオンのスコッティ・シェフラー(米国)が愛車をチャリティに寄付するためオークションを実施した。ライブオークションの入札額は現在5万ドル(日本円で約750万円)で、さらに高値になる可能性もあるという。
“愛車”といってもスーパーカーではない。2012年式、”GMC Yukon XL”、GM(ゼネラルモーターズ)の大型SUVで、走行距離はなんと20万マイル(約32万キロ)だという。この車はシェフラーがアマチュアだった2012年に、親と自宅のテキサス州からマスターズ・トーナメントをドライブで観戦に出かけたところ車が故障。最終的にはオーガスタ・ナショナルGCにほど近い“マスターズ・ビュイックGMC”でGMCユーコンの新車を購入するにいたった。
父のスコットさんはこの車で、シェフラーのジュニアトーナメントを転戦。家族では「GMCエアライン」と呼ばれ、米国大陸を横断した。シェフラーがテキサス大を卒業するときに父から譲り受けたこの車でコーンフェリー・ツアーの予選会に参戦した。
2018年のプロ転向後も“愛車”として乗り続けていたシェフラー。2022年に初めてマスターズを制したときにも、この愛車でオーガスタまでドライブ、「なんで車を買い換えければいけないの?すごく信頼できるのに」と話し、その車には“マスターズ・ビュイックGMC”のロゴも入っているという。
しかしながらこの度スポンサーから新車が提供され、第一子も生まれて家族が増えたことからついに交換を決断。愛車はシェフラーが長らく支援をする小児がん研究のための資金を集める非営利団体「Triumph Over Kid Cancer(TOKC)」に寄贈されることになり、10月25日にヒューストンでライブオークションにかけられると、1万ドル(約150万円)から始まった入札はあれよあれよと高値になり、最後は5万ドルとなった。その入札者は米国でのマスターズ放映をするCBSの解説者ジム・ナンス氏であった。「これだけゴルフストーリーの詰まった車はない。シェフラーは素晴らしい人格者、彼の車をぼくのガレージに加えるのは最高だ」と話した。
しかしオークションはまだ終わりではない。このあと“ヘリテージ・オークション・ハウス”でオンラインでの入札がその5万ドルから開始されるため、さらなる高値がつくかもしれない。(文・武川玲子=米国在住)