第37回東京国際映画祭のアニメーション部門で11月2日、ラトビア・フランス・ベルギー合作の「Flow」が上映され、監督・脚本・音楽を務めたギンツ・ジルバロディス、共同脚本のマティス・カジャが東京・角川シネマ有楽町でのトークショーに出席した。
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この日は、本作が2025年3月14日に日本公開されることが発表され、日本版ポスタービジュアルも披露された。ギンツ監督は日本公開に向けて、「この映画に関しては大きいスクリーンで見ることがとても大切だと思います。水であったり、風であったり、集中しないと見逃してしまうことも多いと思いますので、やはり大きいスクリーンで見ると、そういったこともわかると思います。皆さん、ぜひお友達にお声がけいただいて、多くの方に見ていただければと思います」と観客にメッセージをおくった。また、「日本ではこの映画を受け入れてくれると思っています。なぜなら日本人は猫が好きだと聞いておりますので」とも言い、客席から笑いが起こっていた。
本作は、洪水にのまれつつある世界を舞台に、一匹の黒猫が運命に抗い、時に漂流しながら、道中に出会った他の動物とともに旅を繰り広げる姿を描く。本年度のアヌシー国際アニメーション映画祭で審査員賞、観客賞ほか4冠に輝き、ギレルモ・デル・トロ監督が「アニメーションの未来の壮大な幕開け」と激賞。2025年アカデミー賞国際長編映画賞ラトビア代表にも選出された。
本作は全編セリフがなく、黒猫を中心に物語が進む。同部門のプログラミング・アドバイザーの藤津亮太氏が「かわいらしい猫を主人公にし、なおかつ水没する世界を舞台にしたのはなぜでしょう?」と問いかけると、ギンツ監督は「私の作品はセリフのないものがほとんど。もちろんシンプルな作品にしたいとも思ってのこと。そして猫が水を嫌うということは皆さんよくご存じだと思います。そこを踏まえて『水没している』というところに猫を登場させたかった。またセリフがないことで、猫と自然の対話という雰囲気をだしたかった」と説明。さらにマティスも脚本について、「セリフがないというのは、脚本を書くうえで非常に難しい」「皆さんにどうやって伝えたらいいのか、その表現が難しかった」と振り返った。
藤津氏は、「監督は前作『Away』でもセリフがなく、ひとりの人物を追いかけていくというスタイルでしたが、今回もそれを踏襲したのはなぜでしょうか?」とも質問。ギンツ監督は「私はどちらかというとイメージ重視で考えることが多く、音楽やビジュアルを通して表現していきたいので、どちらかというとセリフは苦手なんです。そのほうがいろいろ表現できると思いますし、音響やカメラの動きや照明、そういったものを通して表現するほうが、皆さんに伝わると思っています」と解説した。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。
【作品情報】
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