脚本家・笠原和夫が1964年に執筆した幻のプロットを60年の時を経て映画化した『十一人の賊軍』の初日舞台挨拶が11月1日、丸の内TOEIにて開催。山田孝之、仲野太賀、尾上右近、鞘師里保、佐久本宝、千原せいじ、岡山天音、松浦祐也、一ノ瀬颯、小柳亮太、本山力、ゆりやんレトリィバァ、野村周平、玉木宏、阿部サダヲ、白石和彌監督が出席した。
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本作は、明治維新の中で起きた旧幕府軍と新政府軍が争った戊辰戦争の最中、新発田藩で繰り広げられた歴史的事件・奥羽越列藩同盟軍への裏切り=旧幕府軍への裏切りのエピソードをもとに、捕らえられていた罪人たちが「決死隊」として砦を守る任に就く物語。この日の舞台挨拶では、“罪状札”や“篝火(かがりび)”の装飾で映画の世界観に彩られたステージへ、キャスト&監督の総勢16人が集結した。
イベント冒頭から和気あいあいとした様子を見せるキャスト一同。鞘師は「本当に皆さん仲が良くて、さっきも袖ぎりぎりまでずっとおしゃべりしていて。それくらい素敵な皆さんです」と伝えた。
撮影現場については岡山は「山田さんが現場の近くにみんなで泊まれる宿を借りてくださった」と報告。続けて「そこで撮影が終わってからもみんなで泊まって、飲んだり色々お話したりしながら次の日に現場に行くっていう。ちょこっと僕も行かせていただいたんですけど、それはすごい思い出ですね。なかなか他の現場ではないので。みんなでそこまで一緒に過ごすというのは」と語った。
宿を用意した理由を聞かれた山田は「寂しかった」と吐露。さらに「少しでもみんなと一緒にいる時間がほしくて、つい」とつぶやき、笑わせていた。
また元力士の小柳は「僕、一応“相撲枠”で呼んでいただいたと勝手に思っていて、現場の居心地が良すぎて、終わった後に勝手に一人で行ってちゃんこを作らせてもらったんですよ。100人ちょっと分くらい炊き出しをさせてもらった」と告白。仲野は「非常に美味しかったですし、撮影が終わった後にそうやって駆けつけてくれて、現場のみんなの士気を上げてくれるという心意気だけで幸せでした」と笑顔を見せた。
さらに、山田が用意した宿に行く機会が多かったという野村は、山田と「2人で釣りに行ったね」と目を合わせてにっこり。すると仲野が「様子がおかしいんですよ。2人の。日に日に2人だけの家での生活みたいになっていた」とぶっちゃける。山田は「2人で裸足でバルコニーに出て、空を見上げながら『星、きれいだね』って言っていました」と、野村との親密な関係を匂わせていた。
そして白石監督は「ワンシーンにいる人数がいつもの3倍くらいいるので、その人たちの芝居を一気に見るのは大変でもありましたけど、一番楽しいところでもあった」と撮影を回顧。「『集団で芝居してる!』って感じが、やっていてすごい楽しかったです」と充実の表情を浮かべていた。
「白石組の撮影はどうだったか」という質問には、山田が「やはり過酷。追い込むのが好きなので、監督は。今回に限らずですけど、精神的に追い込まれた人たちが出てくる作品が多いので、とことん追い込んでいます」ときっぱり。ところが白石監督は「まったくないですね。できるだけほんわかな現場が作れたらと」と追い込んだつもりはない様子だった。
最後には仲野が「この物語は、斬って斬られて殺し合いをしながらなんとか生き抜こうとする人間たちの生き様であり、死に様が焼き付いている映画になっています。どうか大きい劇場で観ていただければいいなと思っております。みんなで頑張った撮影期間を監督がすごく素敵な映画にしてくださったので、どうかたくさんの人に観ていただけたらと思っております」とコメント。
次に山田が「それぞれみんなが自分の正義を貫く。それは見る方向によっては悪に見えるし裏切りにも見える。この映画に出てくる人たちのように、普段も色々と大変な世の中ですけど、相手の立場に立ったらどうなのかな、みたいなことを日々考えてみたりすると、もう少し優しく、穏やかに生きられるかなと僕は思います」と呼びかけ、イベントを締めくくった。
取材・文/山田健史
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