11月1日(金) 5:10
銀行や信用金庫などの民間金融機関で借りられる住宅ローンには、主に「全期間固定型」「変動型」「固定期間選択型」の3つがあります。まずは住宅ローンの3つのタイプについて確認していきましょう。
全期間固定型は、契約時の適用金利が住宅ローン借入期間の全期間で適用されるため、金利の変動がありません。変動型に比べて金利が高めですが、全期間にわたって、金利や返済額が一定である安心感があります。
変動型は、市場金利に連動し、定期的に金利と返済額の見直しが行われるタイプです。一般的に金利の見直しは6ヶ月ごと、毎月の返済額の見直しは5年ごとに行われます。同時期に契約した全期間固定型に比べると金利が低くなる傾向がありますが、返済期間中に金利が上昇すれば返済額が増えるリスクもあります。
固定期間選択型は、住宅ローンの契約後3年、5年、10年など一定の期間は固定金利型が適用されます。固定期間の終了後は、再び固定型を選択する、変動型に移行するなど、各ローン商品によって異なります。固定期間終了後は、終了時の市場に合わせた金利が適用されますが、そのときの金利が今と比べてどのようになっているかを予測することは困難です。
自身が利用する住宅ローンの種類について認識している人は多いと思いますが、返済方式については認識していない人もいるのではないでしょうか。しかし、住宅ローンの返済方式によっても総返済額は異なります。ここでは、「元利均等返済」「元金均等返済」の返済方法の違いについて解説します。
元利均等返済は、元金と利息を合わせた返済額が一定になる返済方法です。住宅ローン利用者では、一般的な方法といえます。例えば、借入残高が多い初期段階では、毎月の返済額10万円のうち元金8万円、利息2万円だったものが、返済元金が減るにつれて元金9万円、利息1万円など内訳が変動します。
返済額が一定のため、返済計画が立てやすいメリットがあります。一方、元金均等返済に比べると元金の減りが遅いため、返済総額が多くなります。
元金均等返済は、毎月返済額の元金が一定となる返済方法です。そのため、借入残高が多い初期の段階では、返済額が多くなります。例えば、元金10万円と設定していた場合、初期は利息が多いため毎月の返済額12万円といったように高めになりますが、返済が進むにつれて利息が減少していき、返済額11万円などと、毎月の返済額が変化していきます。
元利均等返済に比べて借入残高の減少が早いため、返済総額が少なくなるメリットがあります。一方で、返済開始当初は利息が最も多く、返済負担が重くなります。
これらを踏まえて、利息1%と4%ではどれくらい返済総額に差が出るのかを検証してみます。ここでは次の条件でシミュレーションしました。
・借入金額:3000万円
・返済期間:35年
返済方法ごとの返済総額は図表1のとおりです。
図表1
返済総額 | 元利均等返済 | 元金均等返済 |
---|---|---|
ローン金利1% | 3556万7804円 | 3526万2332円 |
ローン金利4% | 5578万9371円 | 5104万9957円 |
条件ごとに計算し作成
元利均等返済の場合、金利4%のほうが1%の場合よりも2022万円返済総額が多くなることが分かりました。また、元金均等返済の場合は、金利4%と1%の場合の差額は1578万円です。金利は情勢によって変化するため予測はできませんが、今の時代に住宅を購入していたら1000万円以上の利息を支払わなくて良かったと思うと、悔しい気もするでしょう。
住宅ローンには、主に「全期間固定型」「変動型」「固定期間選択型」の3つのタイプがあります。また、3つのいずれのタイプでも、住宅ローンの返済方式には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。それぞれにメリット、デメリットがありますが、自身の契約タイプや返済方式を把握しておくことが重要です。
これを踏まえて、ローン金利1%と4%の場合の返済総額を比較すると、元利均等返済の場合で約2020万円、元金均等返済の場合で約1570万円もの差があることが分かりました。利息の面では損と感じるかもしれませんが、預金金利も現在より高くつく時代でもあったため、どちらが良いと一概にいうことは難しいでしょう。
住宅金融支援機構 フラット35 住宅ローンの基礎知識
執筆者:古澤綾
FP2級
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