映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。
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今週末2024年11月1日(金)から「スマホを落としただけなのに」シリーズ第3弾であり「最終章」となる「スマホを落としただけなのに最終章 ファイナル ハッキング ゲーム」が公開されます。
情報を詰め込み過ぎたのか、タイトルが割と長めなので、以下「スマホを落としただけなのに最終章」とします。
正直なところ第1弾の映画「スマホを落としただけなのに」を見た時に、シリーズ化して第3弾まで続くとは思っていませんでした。つまり、コンテンツとして優秀だったのでしょう。
今は何かとシビアな世の中なので、利益の見込みが薄ければバッサリ切られていても不思議ではないからです。
ここまでの成功の根本には、何と言っても「スマホを落としただけなのに」というタイトルの上手さがあると思います。
2018年に第1弾の「スマホを落としただけなのに」を見た時には、“スマホを落とす“という日常的に起こる事柄を題材に、よくここまで危機的な物語を構築したものだと感心しました。
ただ、物語が意外と入り組んでいたので、「脳の解像度を100」にして見ていたら、特に後半の入れ代わりに関する描写等で「ツッコミどころが多すぎる」と判断してしまいました。
その結果、「強くは推せない作品」という位置付けでしたが、タイトルや題材のキャッチーさは強く、興行収入19.6億円の大ヒットを記録しました。
原作小説として続編が発表されていましたし、この結果なら続編にゴーが出せるコンテンツだったと言えるでしょう。
そして続編「スマホを落としただけなのに囚われの殺人鬼」が作られ、2020年2月21日(金)に公開されました。
この第2弾に関しては、「スマホを落としていないのに?」といった根本的なツッコミはありましたが(一応、最後に取ってつけたようなオチで使われてはいます)、それ以外の違和感はなく、私は意外と好きな作品でした。
公開時期が、まさに未知の新型コロナウイルスの蔓延時期という最悪なタイミングでしたが、それでも興収11.9億円という立派な成績を収めました。
「スマホを落としただけなのに最終章」の主役となるのは、天才的なハッカーで連続殺人鬼である「浦野」。第2弾のラストでは、海を越えて中国あたりに行っていましたが、最終章の舞台の1つは韓国になっています。
そして、もはや第1弾の「日常的なスマホの危機」からは物語がかけ離れて大きくなり過ぎた感があるので、ここで「終結」というのも良い判断だと思います。
しかも評価すべきは、物語の規模は大きくなっていっても、キチンと第1弾の登場人物、第2弾の登場人物、最終章の登場人物が、無理なくそれぞれの役割を上手く担っている点です。
そして第3弾も、私は意外と気に入っています。
そこで、「そもそもどれが1番面白いんだろう?」と思い、これを機に一気に3本を見てみました。
第1弾については、前回の反省を活かして「脳の解像度を100」から「脳の解像度50」くらいに落として、ぼんやりと眺めるようにして見てみました。
すると、「ちょっと終盤は展開が早過ぎて分かるような、分からないような」という感じでしたが、強烈なツッコミがおさまったぶん違和感が減りました。
そうなると感想も「まあアリかな」というポジティブなモノに変化しました。
第2弾についても同様に見てみると、暗号通貨とかのくだりが、(知識がないと)やや難しいのかもと感じました。
第3弾については、現実的にはリンクしない無理のある部分もありましたが、映像の妙もあり上手く映像化に成功しています。これも深く考えずに見ればそれなりの満足感が得られると思いました。
つまり、割と要素を詰め込んだ脚本は3作すべてに共通していて、詰まるところは、内容の親和性で好みが分かれるのかもしれません。
そのため、タイトルも含めて“日常的な恐怖"を描き切った第1弾の求心力がベストになるのでしょう。
そう考えると、なかなか続編で第1弾を超える結果にはなりにくく、第2弾は、前作の7掛けで興収13.7億円くらいが順当でしたが、新型コロナの直撃を踏まえると興収11.9億円というのは許容範囲の結果でしょう。
そして第3弾は、第2弾の興収11.9億円という数字を前提とすると7掛けで興行収入8.33億円が合格ラインとなります。ただ、新型コロナの影響を除外すれば、本来のポテンシャルは、13.7億円×0.7で興行収入9.59億円と考えることもできます。
どちらにしても興収10億円を割り込むことが想定されますが、韓国ロケなどのスケールアップが作用し、何とか興行収入10億円突破を目指してほしいところ。有終の美を飾れるかに注目したいと思います。
【作品情報】
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スマホを落としただけなのに最終章 ファイナル ハッキング ゲーム
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(C)2024「スマホを落としただけなのに最終章」製作委員会