11月1日(金) 4:30
亡くなった人の財産を配偶者や子どもなどが引き継ぐことを「相続」といいます。相続財産が基礎控除額を超えたときに発生する税金が、相続税です。基礎控除額を超えた場合には申告が必要になるので、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に手続きをして納税しなければなりません。
一方、贈与税は年間110万円を超える財産をもらったとき、もらった人が払う税金です。110万円以下の場合は贈与税について申告の必要はありません。
また、相続の場合だと対象になるのは、配偶者や子、直系尊属など、亡くなった人の相続人であることが一般的ですが、贈与の場合は贈与者との関係は問われていないため、家族や親族以外の人であっても対象になります。
相続税の課税対象になるのは、課税価格の合計額から基礎控除額である「3000万円」と「600万円×法定相続人の人数」を差し引いた金額です。例えば、2億円の遺産を配偶者と子ども2人で相続する場合「2億円-(3000万円+600万円×3人)=1億5200万円」が課税遺産総額となります。
これを法定相続分であん分し、それぞれ税率を乗じて控除額を差し引いたものを合計して相続税の総額を算出します。この金額を相続割合であん分すると、実際に納める相続税の金額を知ることが可能です。
一方、贈与税は1年間に受け取った財産の合計から基礎控除額である110万円を差し引き、残りの金額に応じた税率を乗じて計算します。
基礎控除額だけで比較すると相続税よりも贈与税の方が低いため、相続を選択した方がお得なイメージがあるかもしれません。
しかし、相続税は課税対象額が1000万円を超えた部分に対して15%以上の税率が適用されます。贈与税は基礎控除後の金額が200万円以内であれば10%のため、相続税で15%以上かかっている分を贈与することで税金がおさえられるケースもあるでしょう。
例えば、子ども1人のみが相続人で、財産が7000万円(現預金のみ)の場合、控除後の課税対象額は3400万円となり、相続税は以下の通りです。
●1000万円までの分(10%):100万円
●3000万円までの2000万円(15%):300万円
●残り400万円(20%):80万円
●合計:480万円
上記からも分かるように、3400万円のうち400万円に20%、2000万円に15%の税率が適用されています。つまり、7000万円の財産のうち、一部を贈与することで、税金が少なくなる可能性もあるのです。
仮に400万円を一括で贈与し残りを相続した場合、贈与税は33万5000円、相続税は400万円です。全額を相続するよりも46万5000円おさえられます。また、贈与税は1年ごとに算出するため、複数年にわたって分割して贈与するとさらに税金が少なくなります。
ただし、「相続人が何人いるか」「不動産(家)を相続するのか」など、条件によっては上記の通りにならない場合もあるため、詳細は税理士などの専門家に確認しましょう。
相続、または贈与される金額によっては、それぞれ税金の支払いが発生します。タイミングや課税対象が異なるため、詳しくチェックしておくといいでしょう。
相続税と贈与税を計算する際には基礎控除額を差し引く必要があるので、その金額や計算方法についても確認しておくことをおすすめします。
一生に一度きりの相続よりも、分割して何度でも財産を渡すことができる贈与の方が、税負担が少なくて済む場合もあるようです。その場合は、110万円を超える贈与をして贈与税を払った方がいいでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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