11月1日(金) 4:40
年金は、会社員などの厚生年金加入者の場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金を足した金額が受給できる額です。ただし、それぞれ満額となる条件や金額が異なるため、ひとつずつ確認していきましょう。
老齢基礎年金(国民年金)は、20歳から60歳になるまでの40年間で、毎月保険料をすべて支払うと満額で受給できます。年金額は毎年改定されることとなっており、令和6年4月分からは81万6000円(月額6万8000円)です。
厚生年金の加入期間は原則として上限70歳まで、下限は特に指定がありません。そのため、「いつから働くか」「いつまで働くか」によって、満額受給額が異なります。
日本年金機構によれば、老齢厚生年金は本来「報酬比例部分+経過的加算+加給年金額」で計算します。しかし、経過的加算と加給年金額はすべての人に該当するわけではないため、今回は報酬比例部分の最大を厚生年金の満額として計算します。
報酬比例部分は、老齢厚生年金などにおいて年金額の計算の基礎となるもので、加入期間が平成15年4月以降の場合、「平均標準報酬額×0.005481×加入月数」で求められます。平均標準報酬額は、「(標準報酬月額×加入月数+標準賞与額の総額)/加入月数」で算出可能です。
また、標準報酬月額は等級に分類されており、報酬月額(いわゆる月収に該当するもの)が63万5000円以上で、最も高い32等級となります。32等級の場合の標準報酬月額は65万円です。
さらに、標準賞与額は、実際の税引き前の賞与の額から1000円未満の端数を切り捨てたものです。1回の賞与につき上限150万円、年3回までと設定されているため、最高額は年間450万円です。なお、年4回以上支給される賞与については、標準報酬月額の対象となる報酬とされます。
上記を踏まえ、以下の条件の場合で老齢厚生年金の上限額を算出します。
●16~70歳まで厚生年金に加入(648ヶ月)
●厚生年金の加入期間はすべて平成15年4月以降
●標準報酬月額は65万円
●標準賞与額は150万円を年3回(年450万円)
上記の条件だと、以下のような計算となります。
●平均標準報酬額:(65万円×648ヶ月+450万円×54年)/648ヶ月=102万5000円
●報酬比例部分:102万5000円×0.005481×648ヶ月=約364万480円
老齢基礎年金と老齢厚生年金を合算すると、上記条件の場合の令和6年時点の年金受給の最高額は約445万6480円です。この場合、1ヶ月当たりの年金は約37万1373円となります。
年金の最高受給額は厚生年金の加入期間や加給年金額などによって左右されるため、人によって異なります。ただし、標準報酬月額と標準賞与額の上限は決まっているため、報酬比例部分を最高額にするための条件・年収は計算できます。
具体的には、以下の条件が必須でしょう。
●賞与150万円以上で年3回受給する
●報酬月額(月収)63万5000円以上
標準報酬月額の最高等級は報酬月額63万5000円以上の方から分類されます。日本年金機構によれば、報酬月額には、基本給のほか役付手当・通勤手当・残業手当などの各種手当も含まれます。
上記を計算すると、「賞与150万円×3回+月収63万5000円×12ヶ月=1212万円」の年収で加入し続けられれば、理論上年金の最高額の受給が可能です。
自身の詳しい年金受給額を知りたい場合は、日本年金機構が提供する「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を利用すると公的年金の受給目安などを確認できます。
老齢基礎年金は20~60歳までの40年間保険料をすべて支払うことで、満額を受給できます。老齢厚生年金は年齢の下限が設定されておらず、原則70歳まで加入が可能です。そのため、厚生年金の加入期間が長いほど、受給額は増加します。
令和6年時点で年金を最高額受給するには、老齢基礎年金の満額受給にプラスして、現役時代に年収1212万円を稼がなければなりません。また、報酬月額(月収)が63万5000円以上かつ賞与額150万円以上で年3回受け取ることが、厚生年金を最高額受給するための条件になります。
自身の年金受給額を知りたい場合は、日本年金機構が提供するサービスなどを活用して、詳しい受給額の把握・老後の見積もりを立てましょう。
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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