11月1日(金) 1:40
仮に金融機関が破綻しても、預金を全額失うことは基本的にはないと考えられます。一般社団法人全国銀行協会によると、日本には「預金保険制度」が存在し、同制度によって一定額までの預金が保護されています。
預金保険制度を利用するための特別な手続きは不要です。同制度に加入している金融機関に預金などをすることで対象になります。
以下のような金融機関が預金保険制度に加入しています。
●銀行(国内に本店があること)
●信用金庫
●信用組合
●労働金庫
●信金中央金庫
●全国信用協同組合連合会
●労働金庫連合会
●商工組合中央金庫
●ゆうちょ銀行
自分の預金が制度の対象となっているかどうか心配な場合は、利用している金融機関に問い合わせるとよいでしょう。
定期預金や利息のつく普通預金などにおいては、保護される金額は1金融機関につき、預金者1人あたり「元本1000万円までとその利息など」です。仮に、ある預金者が3つの金融機関(いずれも預金保険制度の対象金融機関)にそれぞれ800万円ずつ預けている場合、全ての金融機関において預金は保護されます。
また仮に、元本1000万円をそれぞれに預けていて、そこに利息1%(10万円)がつく場合、合計で3030万円まで保護される計算です。
もし同じ金融機関で1人の預金者が複数の金融商品(利息のつく普通預金、定期預金など)を保有している場合、それらの商品の残高を合算して、元本1000万円までとその利息などが保護されます。商品ごとに1000万円まで保護されるわけではありません。
では仮にある人がA銀行とB銀行にそれぞれ元本1500万円を預けているとしましょう。もし両銀行が破綻した場合、保護される元本はそれぞれ1000万円ずつ、合計で2000万円になると考えるかもしれません。
しかし実際には合計2000万円以上の元本が保護される可能性があります。破綻した金融機関の財産の状況が許せば、1000万円を超える部分であっても支払われることがあるそうです。
預金保険制度は「元本1000万円しか支払われない制度」ではありません。あくまで元本1000万円までは最低限保護してくれる制度であり、1000万円を超える部分の対応については破綻した金融機関の状況により異なります。
預金保険制度には、いくつか注意点があります。まず、海外銀行の国内支店や国内銀行の海外支店などは対象外です。
また、対象外となる金融商品もあります。一般社団法人全国銀行協会によれば、外貨預金、譲渡性預金、元本補てん契約のない金銭信託、投資信託などです。
今回のケースでは残高が800万円であるため、預金保険制度に加入している金融機関の預金であれば、全額保護されると考えられます。この場合は、特に口座を分けて管理する必要性はないでしょう。
一方、もし預金の元本が1000万円を大きく超えている場合は、複数の金融機関の口座に分けておくほうが賢明かもしれません。
例えば、1500万円の残高があるなら、A銀行に800万円、B銀行に700万円といった具合です。ただし分散すると管理する手間がかかるため、金融機関は増やし過ぎないほうがよいかもしれません。
預金保険制度に加入している金融機関であれば、元本1000万円まで保護されます。800万円の残高であれば、複数の銀行で分散管理する必要はないと考えられます。
また仮に元本が1000万円を超えるとしても、破綻した金融機関の財産の状況によっては、超えた部分に関しても支払われる可能性があります。とはいえ心配な場合は、あらかじめ分散管理することを視野に入れてもよいでしょう。
一般社団法人全国銀行協会 教えて!くらしと銀行 えっ、銀行が…!? その時、預金はどうなる(預金保険制度)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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