浅野忠信が伝説の天才写真家・深瀬昌久を演じる映画「レイブンズ」が11月1日、第37回東京国際映画祭「Nippon Cinema Now」部門の出品作品として公式上映された。深瀬にまつわる実話に着想を得て製作されたフランス、日本、ベルギー、スペイン合作映画。深瀬と妻洋子の波乱万丈の50年愛を、実話とフィクションを織り交ぜて大胆に描いたシュールなラブストーリーだ。
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上映後には、本作の監督で写真家、ミュージシャン、グラフィックデザイナーとしてのキャリアを持つマーク・ギル(「イングランド・イズ・マインモリッシー、はじまりの物語」)、撮影監督のフェルナンド・ルイスが登壇し、観客とのティーチインに応えた。
ギル監督は、以前から日本文化に深い興味があったといい「自分にとっても身近なテーマなので、絶対に作るべきだと思った。苦労はたくさんあったが、作品への愛で乗り越えることができた」と述懐。自身に影響を与えた成瀬巳喜男、市川崑ら、日本映画界の巨匠に対する敬意を示した。
主演を務めた浅野については「キャラクターを自分のものにして演じてくれるので、演出する必要はなかった。一目惚れでしたし、彼以外の深瀬は考えられない」と全幅の信頼。イギリス出身のギル監督だが、言葉の壁は「問題なかった」といい、「同じ人間が発する言葉なので、それを感じ取り、私自身は信じられるものであれば、それで良いと思った」と話していた。また、ルイスも「才能あふれる俳優の演技を、レンズを通して目の前で見られるのは光栄なこと。浅野さんは、人間的にもすばらしかった」と絶賛していた。
劇中には深瀬が抱える闇が、カラスの化身として現れ、芸術家への道を容赦なく説くというダーク・ファンタジーの要素も。当初、カラスの登場は台本にはなかったといい「深瀬というキャラクターを深く掘り下げ、その内面を観客に見せるために、誰かと会話させるという設定を思いついた。その相手が、カラスだった」。このアイデアは、日本の天狗なども参考になっていると明かした。
第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。
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レイブンズ
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