株式会社ニッスイは、食欲の秋、スポーツの秋に合わせて全国の50~70代の男女600名を対象に「食生活の実態」に関する調査を実施。このたび、その調査結果をしました。
まず、食生活で最も重視していることを調査し、年代別で比較しました。50代では、「栄養バランス(28.0%)」、「味・美味しさ(27.0%)」、「価格の安さ・コスパ(22.0%)」にそれぞれ2割から3割の票が集まり、重視しているポイントがさまざまであることが分かりました。60代、70代においては「栄養バランス(60代:38.5%、70代:40.5%)」と回答した人がほかの項目よりも圧倒的に多い結果となりました。年代が上がるにつれて栄養バランスを重視する人が多くなる傾向が分かりました。
健康のために食べたいものを我慢する派か気にせずに食べる派か聞いたところ、「我慢する派(5.3%)」、「どちらかというと我慢する派(36.8%)」と回答した人は約4割で、食べる派の方が多いことが分かりました。
食事にかける費用も気になるところ。1か月の平均を聞くと、「20,000円未満(29.2%)」と回答した人が最も多く、約3割でした。次いで「20,000円以上~25,000円未満(20.5%)」、「25,000円以上~30,000円未満(20.0%)」という回答が続き、食費にかける出費はできるだけ抑えている人が多いようです。
食生活では栄養バランスを重視している人が多かったですが、実際に意識的に取り入れている栄養素について調査しました。「意識的に取り入れている栄養素は特にない(31.7%)」と答えた人を除く約7割の人は何かしらの栄養素を意識的に取り入れていることが分かりました。多くの票が集まったのは「食物繊維(49.8%)」、「たんぱく質(46.5%)」でそれぞれ半数近くの人が回答しました。次いで、「カルシウム33.3%」という結果になりました。また、上位5つの項目と「特にない」をピックアップして年代別で比較しました。各年代、「特にない」と回答した人は、50代が40.5%、60代が31.5%、70代が23.0%でした。年代が上がるにつれて、栄養素を意識的に取り入れている人が多くなり、栄養素ごとに比較してみても、70代は50代の約1.5倍の人が栄養素を意識して取り入れていることが見て取れます。70代で「食物繊維(59.0%)」、「たんぱく質(55.0%)」を意識的に取り入れている人は半数以上いました。
たんぱく質は筋肉の材料になる栄養素で、シニアにとっては重要な栄養素です。たんぱく質を意識的に取り入れている人に、その理由や食べているものについて聞きました。まず、たんぱく質を取り入れる理由を聞いたところ、約7割の人が「健康維持(69.9%)」と回答。次いで、「筋肉・筋力の維持(58.8%)」、「筋肉・筋力をつける(38.4%)」という回答が続きました。筋肉・筋力のためにたんぱく質を取り入れている人も多いようです。そのほか「免疫力を高める(36.6%)」、「基礎代謝を高める(32.6%)」も3割以上の人が回答しました。
たんぱく質を摂るための方法の1つとしてプロテインが挙げられますが、その摂取率についても調べました。普段プロテインを取り入れている人は約2割で、取り入れていない人がほとんどでした。約3割の人は「全く取り入れていないが、興味がある(28.3%)」と回答。一方、約半数の人は「全く取り入れていないし、興味もない(51.3)%」と回答しました。プロテインではなく、食事からたんぱく質を取り入れることを意識している人が多いようです。
プロテインを取り入れている理由としては、食事だけではたんぱく質が不足しているからといった声が多く寄せられました。プロテインを取り入れることで、疲れにくくなったり、筋肉量が維持できたりしていると感じている人もいるようです。一方プロテインを取り入れていない人からは、人工的なものではなく食事だけでたんぱく質を摂取したいといった声が多く挙がりました。味を不安視する人や、興味はあるものの何を選べばいいか分からない人もいるようです。
■プロテインを取り入れている理由
・食事で意識的にたんぱく質の多い食品を食べているが、足りているのか分からないのでプロテインを飲んでいる。疲れにくくなったのと、筋肉維持ができている気がする(大阪府・75歳女性)
・60代始まり頃から、筋力の衰えや疲労が回復しづらかったので、ほぼ毎日ウォーキングしてプロテインを飲用している。疲れが回復しやすくなり効果を感じている(大阪府・65歳女性)
・三食たんぱく質を気にして摂るようにしているが、昼食はどうしても簡単なものになってしまうので、プロテインで不足分を補うようにしている。歩く速度が衰えていないし、階段の上り下りも苦痛じゃないので効果はあると思う(鹿児島県・64歳女性)
【プロテインを取り入れていない理由】
プロテインに興味がある人
・プロテインは運動する人向けかと思っていたが普通に飲んでも良いことを知り、たんぱく質を補うために考え始めた(愛知県・70歳女性)
・ひとくちにプロテインと言っても店に行けば様々な種類の物があるのでどれを買ってくればいいのかわからないから(埼玉県・65歳女性)
・人工的な物なので味など不安で躊躇している(兵庫県・62歳女性)
プロテインに興味がない人
・プロテインではなく食事で摂取したいから(秋田県・69歳男性)
・70歳を超えているので、補助食品を取るほどではないと思っている(埼玉県・72歳男性)
・食事で補える分で十分だから(千葉県・55歳男性)
たんぱく質は食事で取り入れたいという声が多かったですが、実際にたんぱく質を取り入れるために意識して食べているものについても質問しました。上位3位にランクインしたのは「肉(75.6%)」、「牛乳、乳製品(75.6%)」、「魚(71.7%)」でした。これらは7割以上の人が意識して食べており、実際に食事を大事にしている人が多いことが予想できます。
食事の形式についても調査しました。朝昼晩それぞれで頻度が高い形式を選んでもらうと、1位となったのはいずれも「自炊(朝:49.2%、昼:45.2%、晩:55.2%)」でした。半数前後の人は自炊をしていることが分かりました。食事の形式が「自炊」が多いのも、栄養バランスを整えるためという人もいるかもしれません。2位も朝昼晩同じく「家族が作った食事(朝:19.3%、昼:19.3%、晩:34.5%)」でした。朝昼の3位は「シリアルや菓子パンなど調理不要なもの(朝:17.0%、昼:8.3%)」がランクイン。晩は、1位2位だけで約9割を占めており、自宅で料理した食事を食べているケースが多いことが分かりました。また、たんぱく質摂取の効果が一番高いといわれている朝食を、「食べない」と回答した人が、約1割もいました。
「たんぱく質」摂取の実態について調査してきましたが、たんぱく質は筋肉の材料になる栄養素。筋肉には、無酸素運動に使われる瞬発的な速筋と、有酸素運動に使われる持久的な遅筋の2種類があります。特に速筋は、高齢になるにつれて衰えると、転倒などのリスクに繋がる可能性があります。「速筋」は、瞬発的な力を出さないと動かないため、しっかりとたんぱく質をとっているうえで、「筋トレ」などをすることで、鍛えられます。
この速筋と遅筋の認知度を調査すると、速筋・遅筋を「知っている」と回答した人はわずか15.7%でした。「聞いたことはあるが意味は知らない(30.8%)」、「速筋・遅筋どちらも知らない(53.5%)」人は8割以上を占めました。
ニッスイではスケソウダラの速筋由来タンパク質に着目し研究を進めています。このスケソウダラの速筋由来タンパク質は、特別な運動を行わずに「速筋」を増やす効果を持っており、他の魚種、タンパク源においては現時点では確認されていない特別な効果です。ニッスイの臨床試験により、スケソウダラの速筋由来タンパク質を1日1回4.5g摂取すると、高校生から高齢者、要支援・介護認定者と幅広い世代において、筋肉が肥大することを発見しました。
前述の通り、「速筋」をつけるには「筋トレ」など運動も必要です。そこで、運動習慣についても調査すると、「全くしない(33.3%)」と回答した約3人に1人は運動を全くしていないことが判明。それを除く6割以上の人が日ごろから運動をしていることも明らかになりました。「毎日(27.5%)」運動している人は約3割でした。また、年代別でも比較しました。50代では「全くしない(40.0%)」人が4割いる一方で、60代は34.5%、70代は25.5%と、日ごろから運動している人は70代が一番多く、7割以上の人が運動をしているようです。毎日運動している人も50代に比べ、60、70代の方が多いことが明らかになりました。年代が上がるにつれて、運動する人の割合も増えていることが見て取れます。
「速筋」はフレイルとも大きな関係があります。フレイルが起きる要因の一つとして「速筋」の減少が挙げられます。この、シニア世代の筋力の低下や健康づくりの重要なキーワードともなる「フレイル」についても調査しました。「フレイル」とは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態として、日本老年医学会が2014年に提唱した概念です。年齢を重ねていくと、心身や社会性などの面でダメージを受けたときに回復できる力が低下し、これによって健康に過ごせていた状態から、生活を送るために支援を受けなければならない要介護状態に変化していきます。
フレイル予防のためにしていることを調査。何らかの予防をしている人は、50代で35.0%、60代で46.0%、70代で57.5%%。「そもそもフレイルとは何か知らない」と答えた人は、50代では54.5%、60代では43.5%、70代では34.0%いることが分かりました。具体的な対策としてはどの年代でも「バランスの良い食事をとる(50代:23.0%、60代:26.5%、70代:41.5%)」に最も多く票が集まりました。次いで「たんぱく質をとる(50代:17.5%、60代:26.0%、70代:33.0%)」、「水分を十分に摂取する(50代:19.0%、60代:23.0%、70代:33.0%)」という結果になり、食事面で対策している人が多いことが分かりました。早いうちにできることから対策しておくことで、フレイルの予防につながると考えられます。フレイル予防には、十分なたんぱく質と筋トレが必須といわれていますが、筋トレを実施している人は1割程度で、たんぱく質摂取も筋トレもしている人は、7.8%とまだまだ少ない状況でした。
フレイル予防には食事と運動の両方が重要となります。筋トレに加え、スケソウダラやスケソウダラを使用した加工食品をシニアの食事に取り入れることで、筋肉の減少を抑え、フレイルの予防にも繋げられると考えられます。
ニッスイでは、特別な運動を行わずに「速筋」を増やす効果を持つ魚の研究を10年以上前より進め、スケソウダラ速筋由来タンパク質にその効果を確認しています。この効果は、他の魚種、タンパク源においては現時点では確認されておらず、スケソウダラにのみ確認されている特別な効果です。近年は、速筋由来タンパク質を1日4.5g摂取させる臨床試験から、人での効果確認を進めており、これまでに、高校生から高齢者、要支援・介護認定者と幅広い世代において、筋肉を肥大する可能性を示しています。筋肉・筋力、フレイル予防のために、たんぱく質を取り入れている人は、特別な運動を加えなくとも「速筋」を増やす効果を持つスケソウダラ速筋由来タンパク質を積極的に食生活へ組み込むことも、試してみてはいかがでしょうか。
【関連リンク】
ニッスイのスケソウダラ速筋由来タンパク質機能性に関するHP