【全日本大学駅伝】中央大は高い総合力で上位勢と渡り合えるカギは箱根予選会からのリカバリー

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【全日本大学駅伝】中央大は高い総合力で上位勢と渡り合えるカギは箱根予選会からのリカバリー

10月31日(木) 7:25

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5月の関東インカレ1部ハーフで3位の白川陽大photo by 千葉 格/アフロ

5月の関東インカレ1部ハーフで3位の白川陽大photo by 千葉 格/アフロ





11月3日に行なわれる全日本大学駅伝(名古屋・熱田神宮→三重県・伊勢神宮内宮宇治橋前/8区間106.8km)。全国8地区の代表25校と日本学連選抜、東海学連選抜の計27チームによる日本一をかけた熱き戦いは、どのような展開となるのか?

近年、箱根駅伝総合優勝に向けた体制を整えてきた中央大は、全日本が三大駅伝における初戦となる。昨年までチームを支えた主軸が抜けても高い総合力を誇るだけに、藤原正和監督にとっては、ライバルよりも、「駅伝の楽しさ、自信を取り戻すレースになれば」と自分たちに照準を合わせた走りを目指す。

【チームづくりの根底にある「祝祭感」を変わらず追求】出雲駅伝のときのことだ。

もしも、出雲に万全の状態で中央大が出ていたら......。國學院大、駒澤大、青山学院大の「3強」といい勝負を繰り広げていたのではないか?という議論が報道陣の間であった。

中央大は、前回の箱根駅伝は年末に発生した感染症の影響で13位となり、2025年の箱根駅伝のシード権、そして出雲駅伝の出場権を逃してしまった。しかし、もしも出雲に出ていたなら......と夢想をしてしまうほど、今年の中大はトラックシーズンで充実していた。

その筆頭は溜池一太(3年)で、藤原正和監督が「溜池はアメリカ合宿に行ってから本当に変わりました」と話すように、5000mで13分28秒29、10000mでは27分52秒38で中大記録をマークし、一躍、大学ではトップクラスの選手へと成長した。

そして3000m障害に取り組んできた柴田大地(2年)は、日本選手権で2位に入るなど、勝負強さを見せた。

ただし、中大の特徴はエリートランナーばかりではなく、チーム全体での「盛り上がり」にある。毎年、チームとして自己ベスト更新の積算を行ない、部全体での「祝祭感」を追求している。藤原監督は、こう話す。

「もちろん、駅伝での優勝はチーム全体での目標です。一方で、学生は一人ひとり努力しているわけで、個人の力がチームの力に直結していくチームビルディングというか、中大で陸上をやることの意味を大切にしています」

藤原監督が取り組んできたことは、自らがそうだったように、日本を代表するランナーを育成しつつ、入部してきた部員たちが納得できる4年間を過ごすことなのだ。

前回の箱根駅伝の結果を受け、今シーズンは仕切り直しの年となる。吉居大和、キャプテンだった湯浅仁(ともに現・トヨタ自動車)、中野翔太(現・Honda)という大駒が抜けた。この週末に行なわれる全日本大学駅伝が、今季の中大にとって駅伝の初戦となるが、どんな布陣を組んでくるだろうか。

【箱根予選会からのリカバリー具合がカギに】出雲駅伝が終わった後、青山学院大の原晋監督が「今年の中大は面白いんじゃないの?」と話すほど、中大の戦力は整っていると見られている。藤原監督自身は、どう感じているのか。10月19日に行なわれた箱根駅伝予選会のあと、監督は全日本に向けてのプランをこう話した。

「去年が4位でしたから、今年はそれ以上、表彰台は目指したいところです。ただ、故障者の復帰と、この予選会からのリカバリーがどれくらい進むか、それを見極めて戦略を練りたいと思います」

予選会は10月中旬だというのに、東京は真夏日となって、選手たちにとっては過酷なレースとなった。中大は予選会を6位で通過したが、選手に話を聞くと、レース後の2、3日はダメージが残っていたという。今年の全日本は、中大だけではなく、予選会に参加した学校にはそのハンディキャップがある。今年メキメキと頭角を現し、予選会チーム内トップ(総合17位)の白川陽大(3年)、1年生ながらチーム内2位(総合25位)の岡田開成がどれほどリカバリーできているか、藤原監督の見極めによって起用区間が決まってくるだろう(白川は5月の関東インカレでもハーフマラソンを走っており、区間距離の長い7区、8区が予想される)。

そして気になるのが、予選会を故障で欠場した溜池、柴田の動向だ。箱根予選会の時点で藤原監督は、ふたりの状況をこう説明していた。

「柴田はジョギングを開始しているので、回復の状態としては早いと思います。溜池は回復を見極めながら判断していきたいですね。ただ、結果的に予選会では溜池、柴田のほかにも吉居(駿恭・3年)、浦田(優斗・4年)、故障明けの本間(颯・2年)の5人を温存できたことになるので、全日本では仕掛けていきたいと思っています」

なかでも、吉居と本間については藤原監督が「かなり状態が上がっています」と話しており、他校のエースと互角の勝負を期待している。このふたりに加え、スピードのある岡田が主導権を争う前半区間に起用されるかもしれない。

「去年は出雲で6位、全日本で4位、箱根がシード権外でしたから、今年の全日本は選手たちがもう一度、駅伝の楽しさ、自信を取り戻すレースになればと思っています」

不確定要素が払拭されれば、上位でレースを展開できるはず。果たして、戦力が整うのかどうか、中大のレースエントリーを待ちたい。

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