10月31日(木) 18:13
<TOTOジャパンクラシック初日◇31日◇瀬田ゴルフコース 北コース(滋賀県)◇6616ヤード・パー72>
プロ7年目で初出場の脇元華がロケットスタートで飛び出した。9バーディを奪い、今季7度目のボギーなしの9アンダー。2001年から5連覇したアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)、2004年の宮里藍のレジェンドらに並ぶ大会コースレコードの「63」で米ツアー勢を抑え、19年「アクサレディス」以来2度目の単独首位発進で滑り出した。
「藍さんと同じなんですか!?めちゃうれしいです。最近はショットの調子が良くて、自信を持って振れた。あとはパターだと思っていたけど、パットがよく入ってくれたのが、このスコアにつながったと思います」
ハロウィンの日に合わせてオレンジのパンツ姿でプレーするなど遊び心も忘れないゴルフでバーディを積み上げた。インから出て、10番で4メートルを沈めるなど前半だけで4つ伸ばした。アウトも1番で1.5メートル、2番は4メートルを沈めた。パー4の最終9番はグリーン手前からピンまで10メートルの3打目を58度のウェッジでチップイン。自己べストを2打も縮める完璧ラウンドだった。
優勝すれば米ツアーのメンバーとなれる日米ツアー共催大会。真剣にゴルフと向き合い始めた中学3年のときから視線は海外だった27歳は迷うことなく答えた。「あと3日あるので何があるか分からないけど、勝ったらチャレンジしたいです」。中学3年のときに参加したタイでのジュニア合宿の期間中に、米ツアー「ホンダLPGAタイランド」を観戦。宮里藍、上田桃子、ミシェル・ウィ・ウェスト(米国)、ヤニ・ツェン(台湾)らのプレーに大いに刺激を受けた。
「海外のトップクラスの選手をナマで見て、私もいつかここで戦いたいと決めて、そこから練習に励んだ。ゴルフのスイッチが入りました」
3度目の挑戦でプロテストに合格した日本ツアーでは4位が最高。シード選手として戦ったのは統合シーズンの2021ー22年の1度だけで、今季もQTランク7位から始まった。「日本で勝てないままアメリカに行ったら、たぶんいろいろと言われる。叩かれますよね」。熱い思いはずっと胸に秘めてきた。でも、今週勝てば、胸を張って新天地に旅立つことができる。
その思いはゲンの良さも後押ししてくれるはずだ。22年に優勝したステップ・アップ・ツアー「ハナサカレディース ヤンマー」の会場は同じ滋賀の琵琶湖カントリー倶楽部。車で20分ほどの距離で「たまたま今週のホテルは同じなんです」。ギャラリーも2年前のプロ初Vを覚えてくれていた。「華ちゃん、滋賀は相性いいから頑張って、と声を掛けてもらいました」。
3日前の28日はウェア契約を結ぶメーカーのコンペに参加した。今大会の出場が確定する前に決まったイベント。キャンセルすることはできなかった。「結構バタバタしたけど、出たかった大会。ワクワクしています」。湖国から米国へーー。「気を緩めずに集中してやっていきたい」。風は脇元に吹いてきた。(文・臼杵孝志)