現在配信中のABEMAオリジナル結婚決断リアリティ番組『さよならプロポーズvia ギリシャ』。本作はお付き合いをしながらも、なかなか結婚に踏み切れない2組のカップルが7日間の海外旅行を経て、最終日に“結婚”か“別れ”かのどちらかを必ず決断しなければならない結婚決断リアリティ番組です。
1話〜3話では“好きなのに”意地を張ってしまい、毎日のようにぶつかり合うアオイとモナ、“好きだから”遠慮してしまい、探り探りでなかなか話が進まないシュウヘイとカホという、対極とも言える2組のカップルの様子が放送されました。
4話から6話ではモナのもう一つの悩みと、カホの“男は浮気する”という固定観念の元になってしまった衝撃的な事実が明らかに。一度は結婚を考えたことがある人なら共感するどころか、心にグサグサと刺さりまくる今作からは、本当に恋愛はどこまでいっても“人と人とのコミュニケーション”が大事なのだと学ばされます。
■“してくれないこと”ではなく“してくれたこと”に目を向ける
4話では、モナが「一番自分の心の底に引っかかっている」と話していた問題が、セックスレスであることが明かされます。スキンシップの減少と、セックスレス。そんな現実とは裏腹に、人前で見せる姿から「二人はいいね」と言われる現実のギャップにも苦しんでいたモナは、いっぱいいっぱい。
悩みを打ち明けられたニコス夫人は「まずあなたにとって何が一番大切かを考えた方がいいわ」と優しく言葉を掛け、とある本に書いてあったという「男は自分の想いを言葉にしないが、好きだという代わりに皿洗い機を回す」と言葉を送ります。
たしかに、アオイはモナが愛情表現だと思っているハグやキスなどのスキンシップはしないかもしれませんが、モナと生活を共にするために料理を作り、「一緒に食べよう」と誘います。
旅を通してそのことに気づきはじめ、アオイが自分が求める愛情表現を“してくれないこと”ではなく、アオイなりの愛情表現を“してくれていたこと”に目を向けるようにと少し気持ちが変わったモナ。そう、愛情表現は人それぞれであり、何がうれしくて、何を求めているのかはそれぞれ違うのです。
今までアオイに対し一方的に“変わってほしい”をぶつけていたモナですが、「最初は会えるだけでうれしかったし、一緒にいるだけで幸せだったのが、今は求めることがどんどん増えていった」と冷静になり、“自分にも原因があるのかも”と考えるようになったのは、大きな成長。さらに、「一番の自分の課題は問題点を話し合った時の私自身の感情のコントロール」と、逃げ出さずに感情をコントロールすることを頑張れば成長すると理解している様子。
好きになると最初は一緒に居られるだけで幸せだったのに、どんどん相手に望むようになってしまい、相手が“してくれたこと”ではなく、自分がしてほしいことを“してくれないこと”に目を向けてしまうというのはありがちな問題なので、時折「自分にとって何が一番大切か」は考える必要があるのかもしれません。
■センシティブなセックスレス問題
セックスレスになったのは“アオイが求めてくれないこと”や“誘っても断られたこと”が原因だと感じていたモナですが、改めて話し合ってみると、アオイからすれば、そういう行動を取るようになってしまった原因はモナにあるとのこと。
アオイは「言葉遣いが汚いのが嫌。上品じゃない。俺に対してバカにするような言葉遣いとかして魅力的だと思わない」と説明しますが、モナは「そうさせてるのはアオイ」「何を言ってるか分からない」と反論。
自分にも非があると考えずに感情をぶつけるモナに対し、アオイは「じゃあ、話になりません」「そのまま生きとったらいいよ」と一時は呆れたように言い放つものの、最後は「でもここから変えられる。今から」と“過去”ではなく“未来”の話をしようと提案。
この言葉にはアオイの太平洋並の心の広さを感じましたし、スタジオのMC陣も拍手。モナもこの言葉に「モナに対しての不満もあると思うから、前向きに見せれるようにできたらなって思ってる」「アオイが求めてることに近づく」ときちんと向き合う姿勢を見せており、感情的にはなってしまったものの、まずは相手を“変える”のではなく、“自分が変わる”ことを意識しだしたよう。
正直セックスレスに陥ってしまったらそこから巻き返すのが難しすぎるもの。だからこそ、そうなってしまってもなお“何が原因なのか”の根本的な原因特定と、“どうすれば解決できるのか”の解決策をきちんと話せるのは純粋にすごい。
モナ的には納得していない様子でしたが、愛情表現が“普段の生活”にあると考えているアオイのことを考えると、ここから先は少しずつでも、着実にモナが感情のコントロールをできるようになって、歩み寄る努力や姿勢を見せることが一番の解決になるように思います。
■過去のことから前を向く難しさ
毎日けんかしまくりお互いの意見をぶつけ合っているアオイ&モナとは真逆で、優しすぎるが故になかなか本音をぶつけ合うことができないのがシュウヘイ&カホ。どこか本質を避けたような会話を繰り返す二人の現状は一向に変わらないように見えます。
そんな時、シュウヘイが遠回りな言い方をばかりする理由が明らかに。シュウヘイは小学生の頃、父親が亡くなった際に、つらさゆえにぶつけてしまった言葉で母親を傷つけたことがきっかけで「感情的になるのは良くない」と思うようになったことから、感情を抑えるようになったといいます。
“相手を傷つけないように”と思うあまり、自分の思いをストレートに伝えず、当たり障りのない言葉で誤魔化してきたシュウヘイ。感情的な一面を見せていないこともあって「そんな自分が結婚していいのかなって」と悩んでいたと初めて本音とも思える言葉を口にしますが、カホは「でもそのつらかった過去が私たちの将来にどう影響すると思ってるのか」と結婚に踏み出せない理由の核心としてはつかめていない様子。
優しいシュウヘイだからこそ、結婚後に感情的になってしまい、“あの時のように傷つけたらどうしよう”と思い、後一歩が踏み出せないのかな……と思うのですが、“過去のことが足かせになる”というのはカホも同じです。
過去に浮気をされて深く傷ついたことから“男性は浮気をする”と思うようになったカホ。5話では過去の裏切りが「一度結婚した人に浮気をされてたのね」「入籍をして1カ月もしないでそれも分かって……」と浮気ではなく不倫だったことが明らかになります。
過去に結婚経験があったことはシュウヘイの反応的には分かっていたようですが、その原因が“不倫”だとまでは伝えていなかったのでしょう。カホは「友達にもこんな惨めでつらかった思いを言いたくなくて」と涙ながらに語ります。一度目の結婚が不倫という裏切りで幕を閉じたからこそ、「自分の中で無かったことに」して、シュウヘイとの結婚を強く望んでいたのかなと思うと、胸が痛すぎる。
ただ、二人の場合は想像で、起こってもいない未来まで不安になるのは勿体無いんじゃない?と思うのが正直なところ。
カホは常に建設的な話し合いをしようと心がけ、どうしてそう思うのか?どうすれば解決できるのか?と常に問いかけているものの、肝心のシュウヘイは曖昧な返答。そこには、シュウヘイが幼い頃に父親を亡くしたことによって、”一般的な家族の姿”を見てこなかったからこそ、“理想の家族像”と“完璧な夫”を求め、自分に課してしまっていることも理由のように思います。
そんな曖昧なシュウヘイに対しカホは、「改めてちゃんと結婚したいって思ったらまた欲しい」と婚約指輪代わりに送ったブレスレットを返却。「どんな結果であれ私は受け止めるから」というカホが健気で見ていてつらいし絶対に幸せになってほしい……!
プロポーズで婚約指輪ではなくブレスレットを送ったのも、どこかシュウヘイが結婚へ100%前向きになれていなかった姿が伺えてしまいます。
■価値観の違いと擦り合わせ
これまでの放送で、アオイとモナを見ていてとても学びになるなと思ったのが価値観の違いです。モナはキスやハグなどスキンシップをすることが愛情表現だと思う一方、アオイは一緒にいて共に生活することそのものが愛情表現だと思っており、お互い相手のことが好きではあるものの、求めたり感じたりする愛情表現が異なっていました。
さらに今回のセックスレスについても、今からでも「変えられる」という、すぐに切り替えて未来を見ようとするアオイと、“求められなかった期間”が強く残っており「どうやって、先を見たらいいか分からん」と、過去の問題からなかなか切り替えができないモナでは見ている方向や前に進むためにかかる時間が違います。
また、「求めているのはただ甘えたいとか癒し」と悩みを打ち明けた時に感情に寄り添ってほしいモナと、「『頑張ってたね』って言うだけで癒しになってるの?」と感情に寄り添うだけでは本質的な解決にはならないため、アドバイスをするべきだと考えているアオイでは、人に相談する時に求めるものが食い違い。
こうも合わないものか?というくらい対極にいて初日からぶつかりあい、「別れれば、楽になる」という考えが頭によぎるほど疲れている二人。
周りからすればここまでけんかして傷つけあって別れないのもすごいと思うものですが、“好きだから”相手に自分の気持ちを分かって欲しくてぶつかる選択肢もとれるのでしょうし、好きだからこそ、けんかするほど感情がかき乱されたり、相手に求めたりすることもあるのでしょう。そもそも、自分に無いものを持っているからこそ、惹かれる部分もありますしね。
何より、価値観の違いにぶち当たった時に別れるカップルは少なくないけれど、きちんと“相手と自分の意見の違い”をこれでもかというほど明確にして、落とし所を見つけようと奮闘しているのがすごい。
この二人を見ているだけで、こういう考え方もあるのか。なるほど、どちらにも自分の価値観があって、それを分かってほしいと思っているからこそ、“どちらが悪い”ではなく、“お互いの価値観で納得できる落とし所を見つけましょう”という話なのか……とすごく学びになりました。(正直ここまで言い合わずに落ち着いて話せるのが一番良いんですけどね!)
人との付き合いで大事なことがたくさん学べる今作。旅も後半戦に差し掛かる7話以降の放送も楽しみにしたいです。
ABEMA『さよならプロポーズvia ギリシャ』
毎週木曜21時から無料放送中
次回第7話は10月31日(木)21時から:https://abema.tv/channels/abema-special/slots/AMxmWKUoamAeTZ
(瑞姫)
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