10月31日(木) 15:00
9月末、カナダのモントリオールで開催された「プレジデンツカップ」は世界選抜が米国打破に臨んだが、叶わなかった。
「プレジデンツカップ」は「ライダーカップ」と同様に賞金を賭けずに戦われているが、出場選手には『報奨金』が25万ドル(約3750万円)支払われた。各選手は“自身が選ぶチャリティーに寄付をする”という慣習も義務ではなくなったと米ゴルフウィーク誌が伝えている。
賞金が支払われないのは、米国と欧州が名誉を賭けて戦う「ライダーカップ」から始まった。「賞金があると名誉の戦いにならない」とされてきた。その一方で大会を主催するPGA・オブ・アメリカとDPワールド(欧州)ツアーは大勢のギャラリー数と放映権料でかなりの収入を得ている。それに対して昨年のローマ大会ではパトリック・キャントレー(米国)が反対意見を唱え、帽子を被らずにプレー。事実について、本人は否定しているが、騒動となった。
両大会は多くのチャリティー基金に寄与している。「プレジデンツカップ」を主催するPGAツアーは、1994年の第1回から総額5640万ドル(約84億円)が寄与されたという。スコッティ・シェフラー(米国)は「報奨金は受け取っているが、多くの選手がそれぞれの望むところに寄付をしている」。マックス・ホーマ(米国)は「お金のことには注意を払っていない。われわれは米国代表で戦えることにとてもプライドを持っている」とコメントしている。
次戦の「ライダーカップ」は2025年9月、ベスページ・ブラック・コース(ニューヨーク州)で開催予定。観戦チケットは試合日で750ドル(約11万円)の高値で売り出される。ゴルフ一の人気大会ゆえに放映権料も値上がりを続けている。「ライダーカップ」開催に向けて今後の報奨金問題は大きな論争になると見られている。(文・武川玲子=米国在住)