10月30日(水) 7:00
旭化成ホームズのGREENOVATION(グリーノベーション)推進室が、「首都圏における持家から持家への住替え意識調査」を実施した。その結果を見ると、持ち家を住み替える際に、今の住まいの不満などが色濃く影響していることが分かる。どんな不満を感じ、どういった住み替えをしようとするのだろうか?
【今週の住活トピック】
「首都圏における持家から持家への住替え意識調査」を公表/旭化成ホームズ
同社の調査では、持ち家の「戸建住宅」と「集合住宅」(=マンション)の組み合わせを4通りに分類して分析し、「戸建住宅」は「戸建」、「集合住宅」は「集合」と略して説明している。調査対象は、首都圏在住(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)で、10年以内に住み替えを予定している持ち家に住む45~79歳。
調査対象から推測すると、子どもがいる場合には子育てが終盤、あるいは終了した家庭が多いと考えられる。さて、持ち家の住み替えパターンは次の4通りなる。
■持ち家から持ち家への住み替えパターン
(1)戸建→戸建
(2)集合→戸建
(3)戸建→集合
(4)集合→集合
調査ではまず、「現在の住宅の不満点」と聞いている。興味深いことに、戸建に住んでいた人が同じ不満を持っているかというと、そうでもない。次の住み替えに戸建を選ぶか集合を選ぶかで、かなり異なっている。例えば、(1)の戸建→戸建では、室温の暑さ寒さや収納に関する不満が高いのに対して、(3)の戸建→集合では、駅からのアクセスといった利便性の不満が大きい。
集合からの住み替えを見ると同じような項目が上位に挙がるが、(2)の集合→戸建では、(4)の集合→集合よりも、部屋の広さ、部屋数への不満が大きい。
たしかに、集合のほうが交通アクセスを改善しやすいし、戸建のほうが広さや部屋数を改善しやすいといえるだろう。このように、今の住まいに感じる不満に対して、それを解消しやすい住み替え先を選んでいることがうかがえる。
次に、住み替えたい理由を聞くと、(1)戸建→戸建は「使いやすい間取りにしたい」(34.9%)、(2)集合→戸建は「より広いところに住みたい」(34.8%)、(3)戸建→集合は「小さなコンパクトな家に住みたい」(40%)、(4)集合→集合は、「新しい設備・仕様の家に住みたい」(28.6%)が、それぞれ1位となった。
興味深いのは、「小さな、コンパクトな家に住みたいから」が、(3)戸建→集合だけでなく、他の住み替えパターンでも一定のニーズがあることだ。広さに不安が強く見られた(2)集合→戸建こそ「より広いところ」を多く選んでいるが、(1)戸建→戸建も(4)の集合→集合も、広さよりコンパクトさを選ぶ人のほうが多くなっている。
年齢層が高くなるほど、夫婦二人の生活を考えて、部屋数の多い住宅からよりコンパクトな住宅に住み替えようということだろう。
では、その広さについて、さらに深掘りしてみよう。
今の住宅と比べて、住み替え先の広さをどうしたいかを聞くと、(3)戸建→集合では、「コンパクトにしたい」「かなりコンパクトにしたい」が6割を超えているが、他は「広くしたい」「かなり広くしたい」が4割を超え、(2)集合→戸建にいたっては6割を超えている。
ところが、求める住まいの面積を具体的な数値で聞くと、コンパクトにしたい人が多い(3)戸建→集合より、(4)集合→集合のほうが狭い面積を求めているように見える。これは、基本的に戸建の建物面積のほうが広いことに起因しているのだろう。
例えば、東京カンテイが公表した「マンション・一戸建て住宅データ白書 2023」で、首都圏のデータを見ると、2023年の住宅の平均面積は新築マンションが62.64平米であるのに対し、新築一戸建ては98.4平米とかなり開きがあり、中古を見てもそれぞれの平均面積はさほど変わらない。
調査対象者の中には、実際に住宅市場に出回っているものよりも、より広い面積を希望しているように見える。特に、(3)戸建→集合で最も希望が多かった「80~90平米」(25%)のマンションを実際に探すのは、物件数や予算などから、それほど簡単なことではないかもしれない。
筆者が思うに、住み替えることで現在の不満を解消するのは重要なことだ。今の家族構成やライフスタイルに応じて、快適な住まいで暮らしたほうがよいからだ。
とはいえ、例えば夫婦2人の生活を考えるなら、この際に不要なものを処分し、最低限必要な広さや間取りを考えるといった、思い切った発想も必要だろう。せっかく住み替えるなら、今の住宅を引きずらずに白紙から考えてみる、ということも検討してほしいと思う。
●関連サイト
旭化成ホームズ:住居の不満と将来の住替えニーズを探る「首都圏における持家から持家への住替意識調査」
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