65歳から、夫婦で「月22万円」の年金を受け取る予定です。ないとは思いたいですが、万一熟年離婚したら「半分の11万円」もらえるのでしょうか? 注意すべきポイントはありますか?

65歳から、夫婦で「月22万円」の年金を受け取る予定です。ないとは思いたいですが、万一熟年離婚したら「半分の11万円」もらえるのでしょうか? 注意すべきポイントはありますか?

10月30日(水) 5:20

世代を問わず「自分は老後いくら年金をもらえるのか」に関心を持つ人は多いのではないでしょうか。特に、40代後半から50代になると「将来の老後生活」が次第に現実味を帯びてきて、想定される受給額をもとに不足する場合の対策を検討するケースもあるでしょう。 老後は夫婦2人で生活する予定だったものの、定年退職で生活環境が激変して熟年離婚を選択するケースも少なくありません。 本記事では、65歳から夫婦合わせて「月額22万円」の年金をもらえる場合、万一離婚すると年金分割で半額受け取れるのか、それとも厳しいのか、注意すべきポイントについて解説します。

離婚時は年金分割請求ができる

離婚時に高確率でもめるといっても過言ではないのが、「財産分与の問題」でしょう。結婚生活で夫婦が協力して取得した財産は離婚時や離婚後に分けられますが、話し合いでまとまらなければ「調停」や「審判申立て」をして要求できます。
 
年金も、分割制度を活用することで、婚姻期間中に支払った厚生年金保険料は夫婦2人で納付したものとみなし、それぞれ自分の年金とすることができます。分割方法には合意分割制度と3号分割制度が存在します。
 

合意分割制度

「合意分割制度」とは、夫婦の合意や裁判所による調停や審判で厚生年金記録の按分割合を決める方法です。
 
按分割合は自分がもらえる年金額に直結するため、話し合いの前には必ず分割対象期間やその期間における夫婦それぞれの標準報酬月額などが記載された「合意分割を行うために必要な情報(情報通知書)」を請求して入手しましょう。
 
合意分割請求時、婚姻期間に後記する「3号分割対象期間」が含まれている場合は、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。
 

3号分割制度

「3号分割制度」とは、会社員や公務員など厚生年金に加入する国民年金第2号被保険者に扶養されている配偶者(国民年金第3号被保険者)であった人からの請求によって、年金を分割する方法です。2008年4月以降の婚姻期間のうち、国民年金第3号被保険者期間の厚生年金記録を2分の1ずつ分け合うことができます。
 
3号分割制度は原則合意が必要なく、一方的に請求できるのも大きな特徴です。標準報酬改定請求書や婚姻期間を明らかにできる書類、本人確認書類などと合わせて年金事務所に提出しましょう。
 

注意すべきポイント

老後に2人合わせて「月額22万円」をもらえるなら、万一離婚しても「半額の11万円を受け取れる」と思うかもしれませんが、必ずしもそうとは限らない点に注意しましょう。
 
というのも、年金分割対象は厚生年金記録に限られるためです。つまり、国民年金保険料を納付することで受給権が得られる老齢基礎年金や、個人型確定拠出年金(iDeCo)などは対象外です。例えば、夫が自営業で国民年金第1号被保険者の場合は分割できません。
 
また、年金分割の請求はいつまでもできるわけではなく、期限が設定されています。原則離婚等をした日の翌日から「2年」がたつと、請求できなくなるので要注意です。
 

まとめ

本記事では、65歳から年金を受け取り始めた後、万一熟年離婚したら「夫婦2人分の年金額の半分」をもらえるのか、注意すべき点はあるのか解説しました。
 
年金分割は、離婚すれば自動的に行われるわけではありません。申請をすることにより、具体的な金額の計算や審査などが行われるので、配偶者の年金を分けてほしい場合は手続きを忘れないように注意しましょう。
 

出典

日本年金機構 離婚時の年金分割
日本年金機構 た行 第3号被保険者
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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