10月30日(水) 18:45
ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」の元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際にコースに持ち込んで検証しました。
下から見ると本当に「JAILBIRD」! 新『Ai-ONE』シリーズ3機種を画像で比較
オデッセイは、『Ai-ONE』シリーズの『24』『WING BACK』『2-BALL JAILBIRD MINI』の3本を2024年11月に発売。
3種類共に、ツアープレーヤーのリクエストや、市場のトレンドなども取り入れて、プロトタイプを作り、ツアープレーヤーにテストしてもらいながら改良を重ねて出来上がったそうです。
レーシングカーから着想した新しいヘッド形状の『24』、『TouLon』モデルとして開発された形状を元に、角を強調した『WING BACK』、人気がある『2 BALL-blade』と話題の『Jailbird』が融合した『2-BALL JAILBIRD MINI』というラインナップになっています。
『Ai-ONE』は、2024年春にも追加機種が発売されて、ベストセラーパターの記録を伸ばしましたが、更に追い打ちをかけるように新しい3機種が追加されます。今回の3機種は、変更部分をツアープレーヤーとブラッシュアップする時間が必要だったので秋になったようです。
『Ai-ONE』の『Ai-ONE・インサート』の威力は、改めて書くこともないほどに有名です。どこに当たっても距離のロスが少ない驚異的な性能は、多くのゴルファーを助けています。その最新版のパターが出るというだけで、ワクワクしてしまいます。
3本に共通なのは、ホワイトホットのような外見の『Ai-ONE・インサート』です。
『24』は、マレット型で太いサイトラインの両サイドに細い線が平行にプリントされていて、後方まで続く。曲線が美しいスクエアと三角ヘッドの中間的なフォルム。全体的に高さが低く抑えられていて、ボールのコロがりが良さそうな印象。ショートネックが操作性を高めているようです。
『WING BACK』は、クモ型と分類されるような重量を外側に分散させている印象のマレット。ネックはダブルベントで、慣性モーメントが大きいヘッドを支えやすくなっています。細いサイトラインが1本。角が目立つデザインですが、それぞれの直線と角は丁寧に面取してあり、柔らかい印象を持つ人も多いと思います。羽のように後方にV字になったウィング部分が、ストロークしやすい効果がある人もいるので、目が離せません。
『2-BALL JAILBIRD MINI』は、追加3種類のパターで、最も面白いパターです。上から見ると『2-BALL Blade』、下から見ると『JAILBIRD』なのです。『2-BALL』はオデッセイが誇るマレットのスタンダードで、『JAILBIRD』は、中尺用に開発された古いヘッドですが、この数年、米ツアーで人気選手を復活させるきっかけになり、メジャー勝者が手にしていたこともあって、復刻版や、通常の長さのパターに対応したMINIバージョンも発売されて、注目のヘッド形状です。ネックはダブルベントで、良いところ取りを予感させるパターです。
3本、それぞれをハーフごとに試打ラウンドすることにしました。試打した日は、曇りで、気温は11℃~21℃。微風。グリーンは9.5フィートの速さ。使用したボールは、使い慣れていてクラブだけの影響に集中できる『TOUR B X』です。
【打感・打ち応え】
3本共通で、打音は、大き過ぎないちょうど良い大きさ。硬質で心地良い音質です。打ち応えは、軽めですが、手応えは敏感です。
【構えやすさ・方向性】
それぞれが狙いに合わせやすく、構えやすいパターに仕上がっています。得手不得手があると思いますが、マレット型に違和感がなければ良い結果になると思います。
【距離性能】
3本共通で目立ったのは、コロがりの良さです。ミスヒットでも距離にロスが出ない『Ai-ONE・インサート』の威力もありますが、そもそもヘッドが高性能だと思いました。ロングパットほど安定感が増します。
【ロマン派ゴルフ作家語る】
『Ai-ONE』シリーズの『24』『WING BACK』『2-BALL JAILBIRD MINI』は、オデッセイの強い自信を感じさせるパターでした。
そもそも、追加など出さなくとも『Ai-ONE』は、十分に売れる計算が立つのに、追加パターを出す意味は、それが最終兵器というか、ラスボス的な圧倒的な力を持っているパターが出来上がったからだと考えるとわかりやすいのです。思いっ切りハードルを高くして試打をしました。
3本共に、最初のホールから、タッチを合わせるのに全く苦労しませんでした。よくコロがり、気持ち良くタッチも出せるのです。良いパターの定義は色々ありますが、個人的にはコロがりが良いことが1番目になります。3本共に、良いパターだと太鼓判を押します。
僕は、あまり『2-BALL』が好きではなく、過去の試打でもピンと来ないと感じていましたが、『2-BALL JAILBIRD MINI』は、それを覆してくれました。3本の中で、最も結果を出したのは、『2-BALL JAILBIRD MINI』だったのです。
直進性が高くなることを感じさせる気持ちが良いコロがりで、狙い通りにコロがります。ラインに合わせて打つのではなく、ラインに乗せることが出来るパターなのです。マレットの完成形を打った気がしました。
新しい『24』は、敏感過ぎない敏感さにシビれるパターでした。ショートネックが好きなので、使い勝手の良さは当たり前だとして、ちょうど良い感じに全てがチューニングされていると感じました。芯に当たったときの気持ち良さと、ストレートラインの強さは『24』が、3本の中で一番でした。フェースローテーションを使う人は、オススメです。
『WING BACK』は、クモ型の特徴を引き継いでいます。攻撃型マレットと呼びたくなるほど、強気にさせるパターです。そして、ちゃんと結果が出ます。名称になっている『WING』は、ヘッドの後から左右に突き出た部分が視覚効果で、テークバックを引きやすくなるという説があって、その恩恵を受けると違うヘッドを打てなくなるほどといいますが、該当するゴルファーに『WING BACK』をオススメします。
3本の中で、自分ならどのパターを選ぶか? と考えながらプレーをしました。どれも良いのです。かなり迷いました。
クモ型が好きで打ちやすいという理由で、『WING BACK』を選びます。機能とかで選ぶのであれば、『2-BALL JAILBIRD MINI』です。感性で選ぶなら一番新しい形の『24』となります。
3本に共通しているのは『Ai-ONE・インサート』の効きの良さです。全ての『Ai-ONE』を試打して、わかったことがあります。パターによって、効き方に違いがあるのです。ザックリ書くと、ブレードよりもマレットのほうが『Ai-ONE・インサート』の効きが良い傾向がありました。それを加味しても、追加の3本は、全ての『Ai-ONE』の中でもトップだと思えるほどに『Ai-ONE・インサート』の恩恵を受けていると言えます。
まだ『Ai-ONE』を打っていないゴルファーに打って欲しいです。また、パットに自信があるのですが、壁を打開したいというゴルファーにも、強く打つべきだと進言します。
打って良かった、と思う試打が時々ありますが、今回の3本は、まさにそういう試打でした。もし、少しでもパットに迷いがあったら、購入候補にしていた、という素晴らしいパターだったのです。
【試打ギアスペック】
ヘッド素材 ステンレススチール + アルミニウムソールプレート + ポリカーボネート
フェース Ai-ONE・インサート
ロフト 3.0度
ライ角 70度
長さ 34インチ※33インチあり
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
◇◇◇
●手のヒラを擦る? 目を閉じてその場で足踏み? 川崎志穂がイップスを克服できた不思議な理論で、あなただけのアドレスを見つけよう! 関連記事「あなたに合うパターの構え方を簡単診断!」では、アドレス診断を一挙公開中!