10月30日(水) 2:20
政府の子育て支援の一環として児童手当の拡充がされ、具体的には主に以下の3点が変わりました。
・所得制限の撤廃
・高校生年代まで支給期間が延長
・第3子以降の支給額は3万円に増額、「第3子以降のカウント方法」も「22歳年度末まで」に変更
これまでは、児童手当の受給にあたって所得制限(上限)額が設定されており、主な生計者の年収が所得制限額以上~所得上限額未満の場合は一律5000円の特例給付となり、所得上限額以上の場合は支給されませんでした。例えば、子どもを3人扶養している場合、所得額972万円以上だと支給されない仕組みでした。
今回の法改正でこの所得制限が撤廃されたため、仮に所得額が980万円以上あったとしても児童手当は支給されます。
また、支給期間については「0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある」子どもを養育している人が支給対象となり、これまでの「中学校修了まで」から「高校生年代まで」に延長されています。
さらに、多子世帯への経済的支援が拡充されたのも大きなポイントです。第3子以降について、これまでは「0歳から小学生までは1万5000円、中学生は1万円、高校生は支給なし」でしたが、拡充後は「0歳から高校生年代まで一律3万円支給」となりました。子どもの数が増えるほど経済的負担が重くなるのは事実なので、支給額が増えるのはうれしいですね。
では、現在「長男20歳・次男16歳・長女13歳」の子どもがいる場合、拡充後の仕組みのもとでは具体的にいくら支給されるのでしょうか。
長男は高校生年代ではないので児童手当の支給対象外ですが、第3子である長女の支給額に大きな影響を及ぼします。
というのも、「第3子以降のカウント方法」が、これまで第1子の18歳年度末から数えて第3子であることとされていたものが、22歳年度末まで延長されたためです。これにより、「長女が第3子としてカウントされる期間」が長くなります。
今回の事例では長男が20歳のため新しくカウント対象に含まれ、長男が22歳年度末を迎えるまで長女は児童手当制度上も「第3子」として扱われます。
これらをふまえて、拡充後の現時点においては「次男:1万円、長女:3万円」が支給されます。ただし、長男が「22歳年度末」を超えると「第3子以降のカウント対象外」となるため、長女は児童手当の制度上「第2子」として扱われます。
つまり、次男と長女はそれぞれ「18歳年度末」を迎えるまで1万円ずつ支給されます。長男の年齢によって支給額が変わるので注意しましょう。
制度改正前から児童手当を受給していた人は特に手続きは必要ありませんが、特に今回の改正で新たに対象者に含まれるようになった人は「役所への申請」が必要です。待っているだけで自動的に銀行や郵便局の口座に児童手当が振り込まれるわけではないので要注意です。
多子世帯で「22歳年度末までの上の子」がいる場合や、所得制限でいままで受給できなかった人などは役所に申請しましょう。今回のケースにおいても、長男が「第3子以降のカウント方法」に含まれ長女が第3子としてカウントされるうえ、次男も高校生で新たに支給対象となるため、申請が必要となります。
本記事では、2024年10月分からの児童手当の拡充で具体的に何が変わるのか、支給額はどうなるのか、例を挙げて解説しました。
児童手当に限った話ではありませんが、公的な補助金や手当などは役所に申請してはじめて受給できるケースも少なくありません。制度改正の恩恵をしっかり享受するためにも「待っていれば役所が振り込んでくれる」と放置するのではなく、積極的に情報収集して、不明点などがあればお住まいの役所に相談してみましょう。
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
こども家庭庁 もっと子育て応援! 児童手当
こども家庭庁 「第3子以降」のカウント方法について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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