10月29日(火) 3:00
将来受け取れる年金額を知るには、年金額をシミュレーションできるサイトを利用すると便利です。年金額をシミュレーションできるサイトの例として、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」や三井住友銀行の「年金試算シミュレーション」などがあります。
厚生労働省の「公的年金シミュレーター」では「生年月日」「働き方・暮らし方(加入する年金の種類)」「年金加入期間」「年収」を入力することで「あなたの年金見込み受給額」を試算できます。
三井住友銀行の「年金試算シミュレーション」では「年齢」「就業開始の年齢」「就業終了の年齢」「現在の年収」などを入力することで「65歳以降のキャッシュフロー(年金受給額)」を試算できます。
厚生労働省の「公的年金シミュレーター」と三井住友銀行の「年金試算シミュレーション」で、それぞれの試算結果(年金受給額)が月20万円(年240万円)になるよう条件を調整したところ、例えば以下のような条件であれば年金受給額が月20万円程度になることが分かりました。
●生年月日:1969年1月1日(55歳)
●働き方・暮らし方:会社員・公務員(厚生年金)
●期間:22歳から60歳まで
●年収:820万円
●受給開始年齢:65歳
●年金受給額:月20万3333円(年244万円)
●年齢:55歳
●就業開始の年齢:22歳
●就業終了の年齢:60歳
●現在の年収:1000万円
●年金受給額:月20万4000円(年244万8000円)
これらのシミュレーションはあくまで概算ですので、どちらが正しいとはいえません。むしろどちらも実際の支給額とは異なると考えるべきでしょう。とはいえ、イメージをつかむには役に立つと思います。シミュレーション結果からいえることは、年金を月20万円受け取るには、年収がおよそ820万円から1000万円くらい必要なのではないかということです。
シミュレーターによって年収に差が出るのは、過去の年収と将来の年収をどのように試算しているかによるのではないかと思われます。厚生年金受給額を計算するためには、加入期間全ての年収を考慮する必要があるからです。
厚生年金保険料は保険料率が18.3%(折半だと9.15%)と決まっているため、納付額を自ら変更することはできません。毎月の給与からは「標準報酬月額×9.15%(自己負担分)」が、賞与からは「標準賞与額×9.15%」が差し引かれ、納付されます。
例えば、年収820万円の場合、納付する厚生年金保険料は年間でおよそ75万円(≒820万円×9.15%)ほどでしょう。年収1000万円であれば、納付する厚生年金保険料は年間で91万5000円(=1000万円×9.15%)ほどであると想定されます(実際の保険料は、毎月の給与と賞与の割合などによって変わります)。
ただし、先述のとおり厚生年金保険料を自分でコントロールすることはできません。将来受け取れる厚生年金を増やしたいからといって、保険料を増やすことはできないのです。将来受け取る年金を増やす手段としては、私的年金などを利用するのが妥当でしょう。将来受け取れる年金がいくらで、いくら足りないのかについては、本記事で紹介したシミュレーターや「ねんきん定期便」などが役に立つでしょう。
本記事では、年金を月20万円受け取るためには、どれくらいの年収で、どれくらい保険料を支払う必要があるのかについて、解説しました。シミュレーターを使った試算から、年収は820万円から1000万円で、保険料は75万円から91万5000円ほどではないかという結論になりました。
とはいえ、この結果を受けて、ご自身の厚生年金保険料や将来の厚生年金受給額をコントロールすることはできません。将来受け取る年金額を増やしたいのであれば、私的年金などを利用するのがよいでしょう。ただし、年金額を増やすことや貯蓄を増やすことを考えるだけでなく、老後、どのようにお金を使うのかについても考えていただくとよりよいのではないかと考えます。
厚生労働省 公的年金シミュレーター
株式会社三井住友銀行 年金試算シミュレーション
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役1級ファイナンシャル・プランニング技能士CFP(R)(日本FP協会認定)宅地建物取引士公認不動産コンサルティングマスター上級心理カウンセラー
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