10月29日(火) 7:35
前週行われた「樋口久子 三菱電機レディス」の大会初日を「67」でスタートすると、2日目に「65」、最終日も6バーディ・2ボギーの「68」をマークし大会レコードとなるトータル16アンダーで今季3勝目、通算7勝目を挙げた岩井千怜。3日間で1イーグル・18バーディを奪う攻めのゴルフで、2位に2打差をつけての勝利だった。
右サイドを押し込んでルックアップ岩井千怜のラインだしショット【連続写真】
開催コースの武蔵丘ゴルフコースをよく知るプロコーチの南秀樹は、「少し前なら考えられないスコア。そんなに簡単なコースではないのに、バーディを量産するのは全体のレベルが上がっていることを再確認させられます」と話す。続けてスイングについても「腰をレベルに回転させて滑らかに振るタイプ。インパクトからフォローにかけては右腰、右ヒザ、右サイドの押し込みがスムーズで、クラブを振り切ることができています。レベルに強く振れるのが、飛んで曲がらない理由です」と分析する。
今季の岩井のスタッツを見ると、平均バーディ数が5位(3.8889)で、60台のラウンドは2位(39回)と攻めのゴルフを展開していることがうかがえる。それ支えているのがピンを刺す『ライン出しショット』だ。
「ライン出しはフェースローテーションが非常に少なく、ボディターンでクラブをコントロールし、ラインを出していくのが特徴です。そのため、安定感が高く、球の高さも抑えられるので、風の中でも計算しやすく、また番手間の距離が残った時にも距離感を合わせやすくなります」と南。ポイントにインパクトでの『右サイドの押し込み』と、フォローでの『ルックアップ』を挙げる。
「体の回転で打つので、前傾キープが絶対条件。その上で、インパクトでは左足1本で立てるくらい左足体重にして、右肩がアゴの下を通るように、右腰はボールにぶつけるようなイメージで右サイドを回転させ、押し込んでいくと体重が乗った重いボールになります」。右サイドが下がるようなイメージになるが、しっかりと体重が左足に乗っていればクラブが下から入ることはない。ダフリやすいなら、左に乗って打つことを強く意識しよう。
そして、打ったら視線は目標に送る。「ルックアップして重心を上にすることで、自然と体が回転してきます。フォローでクラブを立てる必要はなく、打ったら終わり、腰の高さでシャフトは地面と平行でOKです」。無理に目線や頭を残すと手でクラブを返してしまい、引っかけのミスにつながってしまう。打ったと同時に顔を上げれば、体が回りクラブも抜けていくわけだ。
前傾をキープすれば体が回りにくく、体を回そうとすれば前傾が起きてしまう。そんなジレンマを感じたことがある人も少なくないだろう。だが、左足体重で前傾をキープし、シャフトのしなり戻りを待つ。そして、打ったら目線を送って体を回していけば、前傾をキープしたままスムーズにスイングできるのだ。この動きをマスターすれば、インパクトゾーンが長くなるので、フルショットにも良い影響をもたらしてくれるだろう。
■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。
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