10月28日(月) 4:20
社会保険料の金額は4月から6月の月収を基にした標準報酬月額で決まり、決定し直された標準報酬月額は「9月から翌年8月までその金額が適用されます。
例えば、4月から6月の月収平均が34万8000円の場合、33万円以上35万円未満となるため標準報酬月額は34万円です。協会けんぽ(東京都)加入で40歳以上(介護保険に加入)の場合、標準報酬34万円の人が支払う社会保険料は5万796円(健康保険料1万9686円、厚生年金保険料3万1110円)となります。
次に、4月から6月に長時間の残業をして月収の平均が37万2000円になったときのことを考えてみましょう。37万円以上39万円以下となるため標準報酬月額は38万円となります。社会保険料は5万6772円(健康保険料2万2002円、厚生年金保険料3万4770円)となり、社会保険料の負担が約6000円増えてしまうのです。
例えば、今年の4月から6月だけ人手不足でイレギュラーな残業が発生したときは、ベースの給与は上がっていないのに社会保険料だけが上がってしまうこともあります。
社会保険料が増えることにより、手取りが減るのは一見デメリットに感じられるかもしれません。しかし、社会保険料の増加にはメリットもあります。次にそのメリットを確かめます。
社会保険料の中でも厚生年金保険料が増えることで、将来的に受け取る年金額も増加します。厚生年金は、支払った保険料に応じて将来受け取る年金額が決まる仕組みです。
社会保険料の増額で一時的に手取りが減るのはデメリットですが、長生きすればするほど、将来的にはメリットになります。
社会保険料が増えると、万一病気やけがで働けなくなった場合の傷病手当金の金額が増えます。傷病手当金は直近の標準報酬月額の平均で算出されるからです。
これにより、予期せぬ事態に備えた保障が手厚くなるため、短期的な手取りの減少を補い、安心感が得られます。
社会保険料は一度決まると、原則1年間は同じ金額が適用されます。この金額は4月から6月の手取りによって決定されることから、この期間の月収が一時的に大きく増えた場合は、9月または10月以降の手取りが減る可能性が高いです。
したがって、9月や10月は手取りが減る可能性があるということを意識した上での家計管理が大切です。特に4月から6月の残業が多かったのであれば、手取りが減ることを見越して、あらかじめ生活費や貯金計画の見直しをしておきましょう。
全国健康保険協会 標準報酬月額の決め方
全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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