10月28日(月) 4:40
総務省の家計調査報告(貯蓄・負債編)によると、2人以上世帯における2023年の貯蓄額の平均は1904万円、貯蓄保有世帯の中央値は1107万円となっており、2023年の平均値は比較可能な2002年以降では最多の金額となっています。
また同調査の2人以上世帯における世帯主の年齢階級別貯蓄額において、50代の平均貯蓄額は1705万円ですので、50代で貯蓄3000万円以上というのは全世代の平均貯蓄額、50代の平均貯蓄額よりも多い金額を保有しています。
ちなみに貯蓄3000万円以上を達成している2人以上世帯の割合は19.6%となっており、5世帯に1世帯は貯蓄3000万円を達成しています。この結果は「意外に多い」と感じる人もいるのではないでしょうか。
総務省の家計調査報告(家計収支編)によると、2023年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の実収入は約24万4000円(可処分所得は約21万3000円)、消費支出は約25万1000円となっています。
厚生労働省がモデル年金世帯として公表している例では、平均的な年収(約527万円)で40年就業した場合に受け取り始める標準的な年金額(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))は23万円となっており、同調査の実収入金額とおおむね一致しています。
毎月の可処分所得である約21万3000円に対し、毎月の消費支出が約25万1000円と仮定した場合、1ヶ月で3万8000円、1年間では45万6000円の赤字となります。
この赤字が65歳以降ずっと続いた場合でも、貯蓄3000万円が底をつくのは約66年後となり、65歳以上の高齢無職世帯の平均収入と平均消費支出のケースでは、貯蓄3000万円で老後は安泰と言えるでしょう。
総務省の家計調査報告(家計収支編)の65歳以上の夫婦高齢者無職世帯の平均支出25万円の内、住居費は約1万7000円と持ち家を前提とした支出となっています。
仮に、貯蓄優先でマイホームを購入せず、賃貸住宅に老後も住み続けるケースでも貯蓄3000万円あれば、安泰なのでしょうか?
老後も家賃8万円の賃貸に居住する場合、老後の支出は約31万4000円で、毎月の赤字は約10万円、1年間で120万円ずつ貯蓄が減る計算となり、貯蓄3000万円が底をつくのは25年後の90歳という結果になります。
このケースでは貯蓄3000万円でも老後は絶対安泰というわけでなく、ほかの支出項目の見直しや65歳以降も働いて収入を増やすこと、資産運用することなどを検討したほうが良いと言えます。
50代で貯蓄3000万円は2人以上世帯の平均貯蓄額を大きく超えており、同世代の平均貯蓄額と比較してもかなり多い貯蓄を保有しています。
一般の高齢無職世帯の年金収入と消費支出であれば、老後は安泰と言えますが、賃貸住宅に住み続けたり、夫婦のどちらかが早期に亡くなり年金収入が減ったりするケースには備える必要があると言えます。
50代であれば長期の資産運用が可能なため貯蓄の一部を投資する、あるいは65歳から数年間だけ働き、その間は年金を繰り下げて年金収入を増やすなどを検討してみてはいかがでしょうか?
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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