10月28日(月) 5:00
会社の備品を壊してしまった場合、弁償が必要かどうかはケースバイケースです。従業員に過失があれば、企業が損害賠償を求めること自体は違法ではありませんが、企業は業務に伴うリスクを負う立場にあり、過失があっても従業員の責任が軽減されるケースがあるようです。
特に裁判では、従業員に対する損害賠償が制限されることが多く、万が一賠償が発生しても、給与からの天引きは禁じられています。
従業員が会社に対して損害賠償義務を負うのは、過失や故意に会社へ損害を与えた場合だといわれています。
例えば、故意に物を壊したり、通常行うべき業務を怠って会社に損害をもたらしたりした場合には、損害賠償の責任が発生します。損害とは、会社の財産や設備の破損だけでなく、会社の名誉や信用に関する損害も含まれます。
具体的には、業務上の指示に反する行為で会社に不利益を与えたり、指示に反する操作で機械を壊したりした場合などが財産上の損害の例です。名誉や信用に関する損害としては、従業員の不適切な言動によって顧客からクレームを受けるケースや、SNSで企業内の機密情報を公開して問題が発生するケースなどが該当します。
また、従業員の行為が原因で第三者に損害を与え、企業がその損害を補償しなければならなくなった場合も、従業員に賠償義務が生じるケースがあります。
例えば、業務中に会社の車で事故を起こし、第三者に身体的・物的な損害を与えたケースでは、企業が賠償金を支払うことになりますが、従業員にも責任が問われる可能性があるでしょう。
ここでは、企業に損害を与えてしまった際の弁償金額や損害請求のルールについて紹介します。会社の備品を壊してしまった場合、必ずしも全額を自己負担しなければならないわけではありません。弁償金額や対応ルールは企業ごとに異なり、労働契約や社内規定で定められているケースもあります。
従業員が会社に損害を与えた場合でも、企業が一方的にその賠償金額を給料から天引きすることは労働基準法で原則禁止されています。企業には給料を全額支給する義務があるため、損害賠償として別途請求しなければなりません。
労働契約の際に「備品破損時には一定額を弁償する」といった定額の賠償規定を設けることは禁止されています。万が一備品を壊されてしまった場合も、給料からの天引きは法律違反となることに注意が必要です。
企業が利益を得るために従業員を雇っている以上、リスクをすべて従業員に負わせることは不公平という見解から、判例では従業員に全額賠償を強いられないケースが多くみられます。
賠償額は、従業員の過失の程度や企業の危機管理対策(教育訓練や保険加入の有無)などが考慮され、適切に判断されることが一般的です。企業が損害防止のための措置を怠っていた場合、従業員への賠償責任が軽減される可能性があり、全額負担を求められるケースは少ないといえるでしょう。
会社の備品を壊してしまった場合、全額自己負担になるケースは少なく、企業側の対応や従業員の過失の程度によって賠償額が決まります。労働基準法では、給料からの一方的な天引きは違法とされており、賠償金額は適正に判断されるべきものです。
企業が備品破損を防ぐための対策を取っていたかどうかも重要な要素です。万が一、備品を壊してしまったときは、冷静に状況を確認し、会社の規定や法律に基づいた対応を心がけましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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