10月28日(月) 18:12
近年、アメリカでのゴルフ人気は過去最高を記録し、ゴルフ人口は4,500万人に。実にアメリカ国民の10人に1人がゴルファーという驚きの状況です。リラックスした雰囲気の中で自由にゴルフを楽しめるアメリカのゴルフ場は、家族や友人と共に過ごせる憩いの場としても親しまれています。そのためか、2020年以降、毎年300万人以上がコースデビューを果たしているそうです。本記事では、そんなアメリカのゴルフ文化の魅力を紹介します。
【元ショップ店員が徹底検証】ゴルフ小旅行に最適な「ボストンバッグ」、大容量で運びやすいのはどれだ?
アメリカのゴルフ場は、カジュアルで開放的な雰囲気が大きな魅力です。日本のゴルフ場のような厳格なドレスコードがあるコースは少なく、アメリカの多くのパブリックコースでは、Tシャツにカジュアルなパンツといったラフな服装で気軽にラウンドを楽しむことができます。海辺のリゾートコースでは、サンダルやスイムウェアといった日本では見られないスタイルのゴルファーも見かけます。
また、メンバーシップ制の高級コースでも、ロッカールームで着替える必要がなく、ゴルフウェアのままコースに向かうことが一般的です。
アメリカのゴルフ場は、初心者でも気兼ねなくプレーできる環境が整っています。
カートでフェアウェイに乗り入れできるコースが多いため、ボールの横まで移動してからクラブを選べたり、ショットの後もすぐにカートから目土することが可能です。もし、チョロを連発して時間がかかっても後続組に先を譲ることができるので、自分のペースでのんびりゴルフを楽しむことができます。
初心者でも気負わずに安心してゴルフを始められる雰囲気が、ゴルフ人口の増加につながっているのかもしれません。
さらに、ゴルフ練習施設やレストランが併設されたゴルフ場では、ラウンドしない人も訪れ賑わっています。
芝から打てるドライビングレンジや、充実したショートゲームエリアは、実践的な練習を好むゴルファーから人気なのはもちろん、レストランの食事や、冬場に焚き火を囲んでの一杯など、アメリカらしいリラックスした雰囲気を家族や友人と楽しむ場としても人気です。
アメリカのゴルフ場は、日本よりリーズナブルな料金で楽しめるコースが多く存在します。アメリカのコースの半数以上はパブリックコースですが、平均的なプレー料金は約43ドル(6,450円/1米ドル=150円計算)、全体の18%を占めるミュニシパル(municipal・地方自治体運営)コースでは25ドル(3,750円/1米ドル=150円計算)と、さらに手頃な料金が設定されています。
また、早朝や夕方のティータイムは割引が適用されるため、より安価にゴルフを楽しめるのも魅力です。ティータイムの予約は、コースの公式サイトや総合予約サイトを利用することで、手軽に希望のティータイムを確保できます。
日本と大きく異なる点は、ふと思い立ったときにラウンドできる点ではないでしょうか。
急に時間ができてもネットからワンクリックで直前の予約が可能ですし、さらには、ウォークインと呼ばれる飛び込みのラウンドもあり、事前予約なしでも、ふらっと立ち寄ったついでにそのままプレーできるという、柔軟な予約システムもアメリカのゴルフの大きな魅力の一つです。
アメリカでは、キャディ付きのプレーは超高級プライベートコースや一部のリゾートコースに限られており、ほとんどのゴルフ場ではセルフプレーが一般的です。
そして、アメリカゴルフの魅力には、昼休憩を挟まずに18ホールを一気に回れるスループレーがあります。
途中で軽食を取りながら気楽にプレーするスタイルが定着しており、持ち込みのスナックを楽しむ人や、フードトラックやビバレッジカートで軽食を購入する人もいます。また、ラウンドの後にレストランで食事を取るという選択肢もあり、各自が好きなペースでゴルフを満喫できるのが特徴です。
さらに、アメリカのゴルフ場では、日本では見かけないユニークなカートを目にすることもあります。もちろん、プッシュカートや担いで回る「歩き」のスタイルも人気ですが、多くのコースでは二人乗りの乗用カートを利用できます。
最新のカートは、車のような快適なシートにUSBポートが備わっており、スマホの充電や、スピーカーで音楽を楽しみながらラウンドすることができるため特に若い世代に人気です。
また、個性的な自家用ゴルフカートでラウンドするゴルファーも多く、クラシックカー型やオフロード型、ボード型、バイク型、中には冷暖房完備のカートまで。見かけると新鮮な驚きがあり、アメリカらしい個性を感じます。
また、アメリカのゴルフ場では、ラウンドしない家族や友人も一緒にゴルフを楽しめる仕組みが整っているのも魅力の一つです。プレーしない人もカートに同乗してコースを回れるため、赤ちゃんをチャイルドシートに乗せて一緒にゴルフを楽しむ夫婦の姿を見かけることも。
ペットを連れてのラウンドも珍しくなく、ゴルフ場全体が憩いの場となっているのは、日本のゴルフ文化とは大きく異なるかもしれません。
アメリカのゴルフ場は、ゴルフを楽しむ場であると同時に、環境保護に積極的に取り組む場所としても知られています。ゴルフ場のコース内には、リスやウサギといった多くの野生動物が生息し、フロリダ州ではアリゲーターの姿を目にすることもあります。自然が豊かな環境でリラックスしながらプレーを楽しめるのもアメリカゴルフの醍醐味の一つです。
また、一部のゴルフ場では、土壌の侵食防止や雨水を吸収する目的で芝生管理システムが導入されています。洪水のリスクを抑え、地下水の補充にも貢献していることから、地域全体の生態系を支える重要な役割を果たしているといえるでしょう。
さらに、環境保護の取り組みは、ローカルルールにも反映されています。コース内には「環境保護区域(ESA)」と呼ばれる生態系保護エリアが設けられており、その区域でのプレーは禁止されています。
他にも、乾燥、砂漠地帯にあるゴルフ場では、水の使用を最小限に抑えるためのウェストエリアと呼ばれる砂地のベアグラウンドが存在し、自然の地形を生かしながら持続可能なコース運営がおこなわれているのです。
そして、節水対策として再利用水を芝生の管理に使用することで、環境への負担を軽減する取り組みもおこなわれています。再利用水は飲用には適していないため、触れてしまったときは手洗いを心がける必要がありますが、こうした環境への細やかな配慮が、サステイナブルなゴルフ場運営を支えています。
アメリカでは、ゴルフ場を核とした街づくりが地域の活性化に大きく貢献しています。日本では、ゴルフ場が田舎やリゾート地に造られることが多いですが、アメリカではゴルフ場を中心に開発された住宅地が数多く存在し、住民はゴルフを日常的に楽しむライフスタイルを送っています。自宅からゴルフカートで直接コースまで移動でき、また、コースの一部が住宅地を通り抜けるように設計されていることも。
ゴルフ好きにはたまらない環境が整っているのも特徴です。
さらに、アメリカのゴルフ場は地域のつながりを育む場所としても機能しています。チャリティイベントや地元の非営利団体を支援するコンペが頻繁に開催されており、地域住民も積極的に参加しています。
また、家族で楽しめる青空映画鑑賞会やフードフェスティバル、地元の演奏家によるコンサートなどさまざまなイベントが催され、コミュニティの絆を深める場としても欠かせない存在となっているのです。
また、意外かもしれませんが、ゴルフ場は結婚式のロケーションとしても広く知られています。特に美しい景観を持つコースでは、青空の下、緑豊かな自然に囲まれたガーデンウェディングが人気で、家族や友人とともに特別な日を祝う場所として選ばれています。このように、アメリカのゴルフ場は、単にゴルファーのための施設ではなく、地域社会や自然を大切にする人々の日常の一部として深く根付いているのです。
アメリカのゴルフ文化は、より自由で多様性に富んでおり、何より気軽にリラックスして楽しめるのが魅力です。日本では体験できない新たなゴルフの一面に触れることができるのも、アメリカゴルフの醍醐味の一つではないでしょうか。旅行で訪れる際は、ぜひゴルフ場に足を運んで異なる雰囲気を体感してみてください。