これぞ巨匠の貫禄!リドリー・スコットが圧倒的スケールと映像美で放つ、至高の史劇映画4選

『グラディエーターII』公開に向け、“リドリー節”全開の史劇映画をピックアップ/[c]2024 PARAMOUNT PICTURES.

これぞ巨匠の貫禄!リドリー・スコットが圧倒的スケールと映像美で放つ、至高の史劇映画4選

10月27日(日) 16:30

古代ローマ帝国を舞台に、苛烈を極める皇帝の後継者争いに巻き込まれた男の壮絶な復讐を描き、第73回アカデミー賞で作品賞など5部門に輝いた『グラディエーター』(00)。その24年ぶりの続編となる『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が、11月15日(金)より公開される。
【写真を見る】自らの手で24年ぶりの続編に挑むレジェンド。古代ローマ帝国を緻密に再現

前作に引き続きメガホンをとるリドリー・スコット監督といえば、『エイリアン』(79)や『ブレードランナー』(82)など映画史に燦然と輝く傑作を世に送りだしてきた、言わずと知れた現代映画界の“レジェンド”。これまで数多の作品で唯一無二の世界観を創りあげてきたスコット監督だが、なかでも実在の人物や有名事件をテーマにした史劇映画との相性は抜群。そこで本稿では、圧倒的スケールと映像美の“リドリー節”が炸裂した至高の史劇映画を紹介していこう。

■エルサレムに刻まれる英雄譚で“真実の平和”を探る!
十字軍が支配する時代を舞台に、聖地への旅を描く『キングダム・オブ・ヘブン』


オーランド・ブルームとリーアム・ニーソンが共演した超大作『キングダム・オブ・ヘブン』(05)の舞台は12世紀、十字軍が支配するエルサレム王国。若き鍛冶屋のバリアン(ブルーム)は、故郷での悲劇を経験し、自らの出自を知るために聖地へと旅に出る。信仰と欲望が渦巻く混沌のなか、シビラ姫(エヴァ・グリーン)やエルサレムの王ボードワン4世(エドワード・ノートン)と出会ったバリアンは、次第に大きな運命に巻き込まれていくことに。

史実に基づきつつも、スコット監督特有の視点から中世の時代精神を描き出した本作。『グラディエーター』でアカデミー賞撮影賞にノミネートされたジョン・マティソンが撮影監督を務め、広大な砂漠や要塞都市エルサレムの描写など物語の背景に真実味と迫力を与える圧巻の映像美は見どころのひとつ。ディテールまでこだわり抜かれた美しい衣装も相まって、中世ヨーロッパと中東世界に没入してしまうこと間違いなし。劇場公開版よりも約50分長いディレクターズ・カット版で観れば、さらにそのスケールを堪能できることだろう。

■歴史家の間で議論が絶えない事件を、3つの視点で描き切る!
600年以上前の実話を当事者3名それぞれの視点で描いた『最後の決闘裁判』


一つの事件を当事者3名それぞれの視点で描くという、黒澤明監督の名作『羅生門』(50)を彷彿とさせる構成が大きな話題を呼んだ『最後の決闘裁判』(21)。14世紀のフランスで起き、600年以上経った現在でも多くの歴史家たちの間で議論されている実話をベースに、スコット監督の解釈を交えながら綴られた重厚な人間ドラマだ。

ノルマンディーの騎士ジャン・ド・カルージュ(マット・デイモン)の妻マルグリット(ジョディ・カマー)は、従騎士で夫の親友でもあるジャック・ル・グリ(アダム・ドライバー)に強姦されたと訴える。カルージュはル・グリを重罪犯として処刑することを望むが、ル・グリは無罪を主張。さらに領主のピエール伯(ベン・アフレック)がル・グリに味方をしていたため、彼を裁判で追い込むことは不可能と判断したカルージュは、決闘での決着=決闘裁判に臨むことに。現代社会の問題にもダイレクトに通じるテーマ性は、従来の史劇映画とは一線を画している。

■英雄の劇的な生涯を“新解釈”!23年ぶりタッグにも注目

『グラディエーター』でラッセル・クロウが演じた主人公のマキシマスと対峙する皇帝コモドゥスを演じたホアキン・フェニックスが、23年ぶりにスコット監督とタッグを組んだ『ナポレオン』(23)は、そのタイトルの通り誰もが知るフランスの英雄ナポレオン・ボナパルトを“新解釈”で描いた歴史スペクタクル。

『ナポレオン』はホアキン・フェニックスの鬼気迫る演技に注目

18世紀末、フランス革命の混乱のなかで頭角をあらわしたナポレオン(フェニックス)は、天才的な軍事戦略で数々の勝利を収め、ついには皇帝の座にまで上り詰める。最愛の妻ジョゼフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)との複雑な関係を抱えながら、国内外で権力を拡大していくナポレオン。しかし彼の戦闘は次第に防衛から侵略へと姿を変え、やがて数十万人の命を奪う凄惨な戦争へと突入していくこととなる。

『ジョーカー』(19)の怪演でオスカー俳優となったフェニックスが見せる圧巻の演技と、それを引き立てる美術や衣装、メイクアップや視覚効果の緻密さ。冷徹なまでのカリスマ性でヨーロッパを掌握したナポレオンの劇的な生涯が、完璧なまでに再現された珠玉の一本だ。

■新たな“グラディエーター”が、復讐を胸に立ち上がる!
前作から十数年後、愛する妻を殺されたルシウスの復讐が幕を開ける


いよいよ公開される『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』の舞台は、前作から十数年後。新たな暴君の圧政によってローマ帝国の市民たち苦しい生活を強いられるなか、将軍アカシウス(ペドロ・パスカル)率いるローマ帝国軍の侵攻によって愛する妻を殺されたルシアス(ポール・メスカル)は、奴隷として売られ“グラディエーター”となる。そして復讐心を胸に、コロセウムでの闘いへと身を投じていく。

新たに主人公を演じるのは、『aftersun /アフターサン』(22)で第95回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたポール・メスカル。さらに2度のアカデミー賞に輝く名優デンゼル・ワシントンや、「マンダロリアン」シリーズのペドロ・パスカル、前作に引き続きルッシラ役を続投するコニー・ニールセンら豪華俳優陣のアンサンブルも見逃せない。

【写真を見る】自らの手で24年ぶりの続編に挑むレジェンド。古代ローマ帝国を緻密に再現

そしてなんといっても注目は、実際にコロセウムのセットを建設し、ワシントンが「キャリア史上最大の作品」と語るほどの圧倒的スケールで再現された古代ローマ帝国の描写。前作を遥かに凌ぐ壮絶なドラマと剣闘士たちによる手に汗握るバトルの数々。まさに“究極”と呼ぶに相応しい映像体験を、是非とも映画館の大スクリーンで存分に味わってほしい。


文/久保田 和馬


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