映画『八犬伝』の公開記念舞台挨拶が10月27日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、役所広司、内野聖陽、渡邊圭祐、鈴木仁、板垣李光人、水上恒司、栗山千明、曽利文彦監督が登壇した。
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山田風太郎の小説「八犬伝 上・下」を原作に、日本のファンタジー小説の原点と称えられる「南総里見八犬伝」の世界とその作者である滝沢馬琴(役所)の物語を描く本作。里見家の呪いを解くため、八つの珠に引き寄せられた八人の剣士たち(“八犬士”)の運命を描く「八犬伝」=“虚”の世界と、馬琴による感動の実話“実”の2つのパートが交錯していく。「八犬伝」を映画化することに憧れていたという曽利監督は、「ようやく完成して皆さんにご披露することができます。本当にすばらしいキャストと一生懸命に作りました」と感無量の面持ち。25日から公開され、「若いキャストの皆さんのおかげで、若い皆さまにも集まっていただけてうれしい限り」と喜びをにじませていた。
馬琴の一番の理解者でもある絵師、葛飾北斎を内野が演じた。「役所さんとは同じ申年で、12歳違う。大先輩なんですね」と笑顔を見せた内野は、「北斎は、馬琴より年上の設定。大先輩なのでついつい敬語が出てしまいますし、腰が低くなりがちなところを、なるべくそうならないように頑張った。役所さんが馬琴で、非常に頭の固い朴念仁。北斎は、馬琴の部屋に風をもたらすような役割。役所さんがフランクに接してくださったので、自由に北斎像を造形できた」と伸び伸びと北斎を演じさせてくれたことに、感謝を伝えた。一方の役所は「こちらこそ。内野さんのおかげ。それはもう、内野さんがすばらしい俳優だということはわかっていますから」、内野も「なにをおっしゃいます」と続くなど、お互いへの尊敬の念がこもったトークを繰り広げていた。
また役所は「老人、2人。なるべく、醜い老人で。『“八犬士”たちの美しさを引き立てるように頑張ろうね』」と話していたことを明かし、大笑いした内野も「特殊メイクでおじいちゃんになる。朝から2時間くらい、隣に座って」とメイク時間も含め、老人役を役所と楽しみながら演じた様子だ。
続いて“八犬士”の犬塚信乃役を演じた渡邊が「お二人に引き立てていただいて。美しく(できた)」と茶目っ気たっぷりに切り出すと、内野は「圭祐のため。すべては圭ちゃんのため!」と乗っかり、会場をさらに盛り上げた。犬坂毛野役を演じた板垣は「毛野は、女装をして舞いをするシーンがある。美しさが大事だった。手先の美しさまで大事だった。家でずっと練習していた」と役作りについて紹介。内野は「めちゃくちゃ美しいですよ、皆さん。期待してください」と惚れ惚れとしながら呼びかけていた。
“八犬士”の美しさについて話が及ぶなか、犬飼現八の水上は「“八犬士”の八分の三は、汚い役。そのうちのひとつが、僕。あと佳久(創)さんと上杉柊平さんが、どちらかというと汚いほう」と“八犬士”のなかでも荒々しさを担当しているといい、「僕ら3人のおかげで、残りの“八犬士”が輝いている」とアピール。“八犬士”は体に痣を持っているという特徴があるが、この日の水上はおでこに痣が見受けられた。偶然にも“八犬士”仕様での登壇となった水上は「痣がちょっと(撮影から)2年越しに…。公開を迎えて出てきた。うれしい」「おめでたい」と冗談まじりに話しつつ、実はアクションで作った痣だと打ち明けていた。
ヴィランとなる玉梓役の栗山は「“八犬士”が本当にカッコいい。強そうに見せないといけないラスボスなので、負けないような迫力をどう出せるかと思いながら演じさせていただいた」と刺激を受けながら演じたとのこと。犬川荘助役の鈴木は「信乃さまを慕っている役。それを大切にしたいと思っていたんですが、その信乃を演じるのが(渡邊)圭祐さんだった。この作品に入る前からお世話になっている方だったのですごくやりやすかった」と照れ笑いをのぞかせていた。
最後には、本作の宣伝アンバサダーである犬の“八房くん”の超巨大熊手と一緒にフォトセッション。さらに役所の発声に続いて『八犬伝』にちなみ8回の3本締めを実施し、会場も一体となって手拍子をした。役所は「何度見ても新しい発見のある作品」だと力を込めていた。
取材・文/成田おり枝
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