10月27日(日) 1:40
経済的に困難であるなど何らかの事情がある場合に、国民年金保険料の免除や猶予が可能のようです。「免除」「猶予」「学生納付特例」の期間は、国民年金を受け取るための受給資格期間として計算され、年金受給権の確保および万一の事故などで障害を負った場合に障害基礎年金の受給資格を確保できます。
とはいえ免除や猶予の期間は年金額に反映されないため、年金をもらうときには老齢基礎年金を満額受け取ることはできない点に注意が必要です。年金は老後の生活を支える大切な収入源の一つですから、年金額が減ってしまうと困る人もいるでしょう。そこで、将来の年金額を増やすために追納制度の活用を検討できます。
追納可能なのは10年以内の期間で、原則として古い順に納めていきます。
また日本年金機構では、「保険料の免除・納付猶予の承認を受けた機関の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされますので、お早めの追納をお勧めします」と記載されています。
気になる方はお近くの年金事務所にて相談してみるといいでしょう。
追納をすることで、将来もらえる年金額を増やせます。2年分の約40万円を追納した場合、納付猶予期間なら年約4万円、全額免除期間なら約2万円増える可能性があるようです。
学生納付特例で保険料の支払いの猶予を受けていた友人が「学生のときの年金保険料を支払った」と言っていた場合、この先保険料を全額支払ったとすれば将来もらえる年金を年約4万円増やして、満額もらえることが考えられます。毎月の年金額で考えると、約3300円多くもらえる計算です。
上記の例のように年金額が年間4万円増えるのであれば、年金を10年以上受け取ることを考えると追納しておいた方がいいことが分かります。
追納すると老後の貴重な収入源である年金額が増えるだけでなく、節税にもつながる可能性があるのです。追納分は社会保険料控除の対象で、確定申告または年末調整の手続きをすることで所得税や住民税が軽減されます。日本年金機構によると、年収(課税所得金額)が約300万円の場合、2年分の約40万円を追納するとその年の所得税・住民税が最大約8万円軽減されるとのことです。
なお年収によっては税金が戻らない場合があり、追納保険料額の年間合計や年収によって戻ってくる税金額は異なります。自身のケースで確認してみるといいでしょう。
学生納付特例により猶予を受けた友人が「学生のときの分を支払った」と言っている場合、2年分の約40万円を追納したとすれば将来受け取る年金額は年額約4万円、月々に換算すると3300円ほど増えることが考えられます。また年収300万円の人であれば、追納した年は最大8万円節税できる可能性もあります。老後の収入源である年金額が増えるだけでなく、節税にもつながるため、追納には大きなメリットがあるといえるでしょう。
10年より前の免除等期間分は追納できないことや、3年度以上過ぎると加算額が上乗せされる点に注意が必要です。節税に関しては、所得税と住民税は年収に応じて金額が異なることも考慮して、いつ追納するか決めるといいでしょう。
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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