過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2023年5月29日記事は取材時の状況)
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今サラリーマンの出世に対する価値観は大きく揺らいでいる。収入と仕事量、責任が合わずコスパが悪いとされる管理職より、ライフバランスを優先、悠々自適なヒラ社員人生を好む人も。アラフィフ、年収500万ヒラ社員と年収700万円管理職ならどっちが「得」なのか? 今回は50代ヒラ社員を例に考える。
ヒラ社員でも幸せな日々を実現
ヒラ社員といえども必ずしも平凡でツラい毎日が待っているわけではない。これを人生をもって証明するのは、システムエンジニア歴28年の麻生浩司さん(仮名・50歳・年収508万円)だ。
「38歳のとき、5年間交際していた彼女にプロポーズしたらあっさり断られ、自分は結婚には不向きな性分だと自覚しました。そこからは稼ぎの100%を自己投資に使う独身貴族です」
麻生さんは高級時計に目がなく、ドイツのA.ランゲ&ゾーネ、スイスのジラール・ペルゴの時計に計1000万円以上を投入。年4回の旅行ではヨーロッパを周遊して高級時計の工房を訪問する。
定年退職後20年は不安のない貯金がある
40代後半からは体力維持のために、100万円のロードバイクで関東の山間部を走り回る休日を過ごしている。独身とはいえ、一介のヒラ社員らしからぬ生活だが、それでも麻生さんは、定年退職後20年は不安のない貯金があるのだとか。
「大学を卒業して10年間は3社を渡り歩いてシステムエンジニアとして経験を積み、フリーランスに。ここで某銀行の海外債券の運用システムに関する案件を任されました。
年収は1500万円ほどでしたが、海外に関わる仕事なので生活リズムは狂うし、仕事量も膨大で月300時間稼働と、生活は破綻してましたけどね。本当に若いからできた案件ですが、それを5年間やって十分稼ぎきりました」
年収は下がったが今の働き方に満足
その後、37歳からはSE職でIT企業に再就職し、残業ゼロで年収508万円、かつ休みもしっかり取れる今の働き方に満足しているという。
それだけのキャリアを重ねていれば「ぜひ役職に」と打診されそうなものだが、麻生さんは上層部との面談のたびに「管理職には興味がない」と宣言し続けている。
「仮に管理職になったら、いや応なしに部下のケアまで任されるので、そんな立場は絶対に勘弁してほしい。過去の現場で若手の育成を担当した経験もありますが、正直言ってこの職は能力がモノをいう世界。デキるヤツは放っておいても伸びるけど、芽が出ないヤツは手をかけても、からっきしダメなんです」
ヒラ社員の幸福度をハネ上げる方法
デキる部下がつくかどうかは、運次第。そんなギャンブルで、自分の管理職としての評価が左右されるなど、まっぴらごめんだと彼は言う。
麻生さんのように若い頃に稼ぐことはできないが、ヒラ社員で生きる覚悟があれば時間もある。その時間を使って副業し、カネを貯め私生活を充実させられればヒラ社員の幸福度はハネ上がる。
取材・文/田中慧(清談社)
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