10月27日(日) 5:00
ふるさと納税とは、生まれた故郷にかかわらず自分の選んだ自治体に寄付(ふるさと納税)を行った場合に、寄付額のうち2000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として一定の上限まで全額が控除される制度です。
例えば、年収700万円の給与所得者の方で扶養家族が妻、子2人、所得税率10%の場合、5万円のふるさと納税を行うと、2000円を超える部分である4万8000円が所得税と住民税から控除されます。税の控除額4万8000円の内訳は、次のとおりです。
・所得税:4800円
【計算式】 寄付控除対象額4万8000円×所得税率10%
・住民税(基本控除):4800円
【計算式】 寄付控除対象額4万8000円×住民税率10%
・住民税(特例控除):3万8400円
【計算式】寄付金控除対象額4万8000円×(90%−所得税率10%)
この場合、住民税(特例控除)の上限額は住民税所得割額の2割です。この2割を超えても、住民税(基本控除)は適用されます。ただし、自治体以外に対する寄付金と合わせて、住民税の寄付金控除の対象となる寄付金の限度額は総所得金額の30%です。
ふるさと納税の魅力は、実質2000円の負担で2000円を超える豪華な返礼品をもらう点にあります。返礼品は、魚介類、肉、野菜、米、地酒などの特産品や旅行券、食事券などさまざまな種類があります。
一般的に納めた税金の使い道は指定できませんが、自治体によっては、申込時に寄付金の使い道を選択することもできます。ふるさと納税を利用すれば、実際の自己負担額は2000円に抑えながら、被災地の支援のために数万円の寄付をダイレクトに自治体にできます。被災地のニーズとは違う部分にお金が使われたり、手数料を中抜きされたりなどの心配がありません。
自治体の返礼品等は、「ふるさと納税ポータルサイト」で見つけることができます。給与収入などの条件を入力して、ふるさと納税の寄付額の目安となる控除上限額をシミュレーションもできるので、上手に活用しましょう。
また、ふるさと納税を行った際、独自にポイント還元を行うサイトがあります。現在、一部の「ふるさと納税ポータルサイト」を利用して寄付をすると、寄付額に応じたポイントが還元される仕組みがあります。
2025年10月から適用される改正では、ふるさと納税によるポイント還元が禁止される予定です。ただし、クレジットカードで決済した場合などに得られる通常のポイントは、これまでどおり付与対象になります。
ふるさと納税をしただけでは、税金の控除を受けることができません。ふるさと納税を行い、所得税・住民税から控除を受けるためには、原則として確定申告を行う必要があります。
ふるさと納税を行うと、自治体から「寄附金受領証明書」が送られてきます。この証明書と、年末~1月に会社からもらう源泉徴収票で確定申告を行います。
ただし、もともと確定申告を行う必要がなかった給与所得者等については、ふるさと納税を行う自治体の数が5団体以内であれば、ふるさと納税を行う際に「寄附金税額控除に係る申告特例申告書」をあらかじめ期限までに提出することで、確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が利用できます。
ふるさと納税ワンストップ特例の適用を受ける方は、所得税からの控除は発生せず、ふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う住民税の減額という形で控除が行われますので留意しましょう。
なお、6団体以上の自治体にふるさと納税を行った方や、ふるさと納税の有無にかかわらず医療費控除や住宅ローン控除を受ける1年目などで確定申告を行う方は、確定申告を行う必要があります。
災害発生後は、ふるさと納税以外にも赤十字、テレビ局などさまざまな寄付の窓口が開設されます。しかし、なかには詐欺まがいの団体もありますので、十分注意しましょう。
ふるさと納税による寄付の場合、寄付金が直接、迅速に、全額、自治体に届くというメリットがあります。支援先のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
総務省 ふるさと納税 ポータルサイト
総務省 ふるさと納税の指定基準の見直し等
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
■関連記事
年収1000万円と年収500万の人の『ふるさと納税』の寄付上限目安とは