スタジオツアーロンドンは、映画「ハリー・ポッター」シリーズの制作の舞台裏を楽しみながら、実際に撮影で使用されたセットや衣装、アニマトロニクス、特殊効果、小道具などを見たり、体験することができる人気の施設。世界中から多くの「ハリー・ポッター」ファンが訪れる、ファンなら一度は行ってみたい聖地の一つだ。
【写真を見る】マンドレイクの泣き声が聞こえてくる…!スプラウト教授の温室を見学
そこで、かねてより本場イギリスのスタジオツアーにも訪れてみたい!と思っていた、「ハリー・ポッター」シリーズ大ファンの編集部員が渡英。スタジオツアー&ロケ地巡りの旅レポート【前編】に続き、そこで体験した映画と魔法の世界をたっぷりと紹介する。
■ワクワクが止まらない!ダーズリー家やマンドレイクの引っこ抜き体験
屋外にあるセットも見どころがいっぱい。バックロット(ツアー中盤にある屋外エリア)には、プリベット通り4番地にあるダーズリー家が建っている。玄関をくぐると、思い出深いシーンの数々に感動。『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)でハリー宛に大量の手紙が届くシーンや、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)でマージおばさんが、魔法で風船のように膨れ上がったシーン、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(02)でドビーが、ハリーを危険な目に合わせないよう警告しに来たシーンが見事に再現されていた。
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(09)で、死喰い人によって焼き払われたウィーズリーの家(隠れ穴)。撮影用には、フルサイズのセットよりも安価で燃えやすいミニチュアが用意されたそうで、制作に5か月以上かかったミニチュアは、撮影では5分もかからずに焼け落ちたのだとか。
原作や脚本には出てこないホグワーツ橋は、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)のために作られた。一部のみが建設され、劇中ではほかの部分はCGの効果を用いて制作されている。
スプラウト教授の温室を訪れると、ハリーたちがマンドレイクの植え替えを学んでいるところだった。『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(02)で初登場したマンドレイクは、魔法界では回復力があることで知られ解毒剤として欠かせないアイテム。劇中では、石化してしまった生徒たちの治療薬として使われていた。ここでは生徒たちに混じってマンドレイクの引っこ抜き体験ができるので、苗をしっかりと握って鉢から勢いよく引き抜いていく。見た目よりもずっしりと重たくてびっくり。土から顔を出したマンドレイクの表情は1体ずつ個性があり本物さながら。教室中に鳴き声も響いていた。
■ハリーたちも大好きなバタービールで乾杯!
ツアーの途中には、ハリーたちも大好きなバタービールやボリューム満点のご飯が楽しめる「バックロットカフェ」があった。せっかくなので、バタービールとバタービールアイスに挑戦!冷えたバタービールはさわやかな炭酸で飲みやすく、歩き回って疲れた身体に沁み渡る。ソフトクリームはキャラメルのような濃厚な味わいでとてもおいしかった。
■魔法動物やゴブリンの特殊メイクも精巧な作り!クリーチャー・エフェクトのエリアへ
クリーチャー・エフェクトのエリアへ行ってみると、映画の世界から飛び出してきたように精巧につくられたゴブリンや魔法動物たちの姿にドキッとさせられた。バジリスクやバックビークなどの動物からヴォルデモート卿の蛇のような顔まで、映画に登場する生き物などはすべてクリーチャー・エフェクト部門によって制作されたそう。ちなみに、闇の帝王として名高いヴォルデモート卿のメイクアップ効果には、静脈のタトゥー、コンタクトレンズ、つけ眉毛、つけ爪、つけ歯などを俳優の顔に付けた特殊メイクで作られ、蛇のような鼻はCGが使われている。
■ダイアゴン横丁と美しいホグワーツ城は、細部まで堪能すべし!
ダイアゴン横丁は、ホグワーツ魔法魔術学校の生徒にとって新学期の準備に欠かせない場所。突き当たりにあるオレンジ色の建物は、ウィーズリー家の双子、フレッドとジョージのお店。中を覗くと“伸び耳”や“惚れ薬”など120点もの商品が並べられ、いたずら好きな2人のユーモアがたっぷりと表現されたデザインになっていた。
ホグワーツ城の模型は、美術部門の最高傑作とされている。スコットランドのハイランド地方からインスピレーションを受けてデザインされている。模型には、照明用の光ファイバーが2,500本以上使われ、校内に灯るランタンやたいまつの明かりを表現。廊下を通り過ぎる生徒たちの影までも演出されている。岩や巨石には本物の砂利を、造園や樹木には本物の植物が使用されているというので、ぜひ細部までじっくりと見てほしい。しばらく見惚れていると、景色が昼から夜に移り変わり、また違ったホグワーツ城の姿も楽しむことができる。
ツアーの最後には、レプリカの杖やかわいいお菓子、アパレル、ぬいぐるみや雑貨、ロンドン限定グッズなど、ファン心をくすぐるアイテムが購入できる、品揃え抜群のショップに立ち寄った。どのグッズも本格的でデザインがお洒落。見ているだけでも楽しい空間で「もっと大きなスーツケースで来るべきだった…!」と反省しつつ、気になるアイテムをたくさんゲット。お手提げ用の紙袋をもらうと、ダンブルドア校長の写真が入った“日刊預言者新聞”のデザインが施されていてうれしい驚き!こちらも旅の思い出の一つとなった。
スタジオツアー内には、禁じられた森を出たところにある小さめのショップと、9と3/4番線のエリアにある「レイルウェイショップ」、ツアーの最後にある大きなショップの3か所があり、各ショップ限定のアイテムなどもあったので、行かれる際は全店舗回ってみるのがおすすめ。
スタジオツアーロンドンは、どのセットも写真に収まらないほど大きく見ごたえがたっぷり。筆者は写真を撮りながらもスムーズに進んだほうだと思うが、滞在時間はしっかり4時間半。気になる展示が多すぎて終始、「目が足りない!」と圧倒され続けたが、1日大満喫することができた。
続いては、スタジオツアーロンドンとセットで巡りたい「ハリー・ポッター」のロケ地と、物語の舞台となった名所を紹介していく。
■ ホグワーツの入学シーンで登場した「クライスト・チャーチカレッジ」(オックスフォード)
ゴシック様式の建築物に囲まれたオックスフォード大学の構内にある「クライスト・チャーチカレッジ」には、大広間のモデルとして有名な「グレート・ホール」がある。壁一面に肖像画が飾られ、ズラリと並ぶ長いテーブルはまさにホグワーツの世界観そのもの。階段は、『ハリー・ポッターと賢者の石』で、ハリーがホグワーツに入学する際にマクゴナガル先生と出会うシーンの撮影に使われた。高い天井や模様がとても美しかった。
■ホグワーツの図書館として使われた「ボドリアン図書館」(オックスフォード)
1602年に再建された、オックスフォード大学が誇るボドリアン図書館は、ヨーロッパで最古の図書館の一つで、イギリスで2番目に大きい規模。館内にあるデューク・ハンフリー図書室には、重厚な本棚と鎖でつながれた分厚い本が並んでおり、『ハリー・ポッターと賢者の石』で禁書の棚として使われたという。ハリーが透明マントを着て忍び込むシーンやハーマイオニーが賢者の石について調べるシーンが印象的。中には入れなかったが、窓から覗くと本棚がズラリと並んでいた。
もう1か所、館内にあるディヴィニティ・スクール(神学部)は、ホグワーツの医務室や『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』でダンスパーティのために、 マクゴナガル教授がダンスレッスンをするシーンで使われた場所。
■ 魔法界への入り口「キングス・クロス駅」&「セント・パンクラス駅」(ロンドン)
ロンドンにあるキングス・クロス駅は、ホグワーツ魔法魔術学校に向かう学生たちが、9と3/4番線からホグワーツ特急に乗り込んだことで印象深い場所。実際には9と3/4番線は存在しないのだが、ファンのための特別な撮影スポットが用意されており、壁にめり込んだカートと一緒に撮影ができるようになっていた。
キングス・クロス駅のすぐ隣に位置するセント・パンクラス駅は、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』で、列車に乗り遅れたハリーとロンが空飛ぶ車に乗ってホグワーツへ向かうシーンに登場している。劇中ではセント・パンクラス駅の外観がキングス・クロス駅として使われていた。
■ ダイアゴン横丁の入口“漏れ鍋”の店のロケ地「レドンホール・マーケット」(ロンドン)
レドンホール・マーケットは、『ハリー・ポッターと賢者の石』でハリーとハグリッドがホグワーツの学用品を買いに行くシーンで登場。2人はこのマーケット内を歩いて、ダイアゴン横丁へと繋がる“漏れ鍋”の店に向かっている。建物はロンドンで最も古いマーケットの1つで、その起源は14世紀に遡ると言われている。重要文化建築物にも指定されており、アーケードがとても美しかった。パブ、レストラン、精肉店、ワイン専門店、チーズ専門店など、様々な飲食店が充実していた。
■占い学の教室の階段「セントポール大聖堂」(ロンドン)
ロンドンを象徴する歴史的建造物のセントポール大聖堂は、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)でハリーが階段で見つけた水晶をトレローニー教授に返すため、占い学の教室に戻るシーンで登場した。建物の内部は豪華絢爛、洗練された美しい装飾が施されている。劇中でも、ハリーが歩いた幾何学的なデザインのらせん階段はとても神秘的だった。バイキングによる襲撃やロンドン火災で2度焼失したものの、長い時間をかけて1710年に再建。教会としては世界最大級の大きさを誇り、高さは111m。回廊からはロンドンの美しい景色を360度楽しむことができる。
■ 死喰い人たちに破壊される橋「ミレニアム・ブリッジ」(ロンドン)
2000年に開通したミレニアム・ブリッジは、ロンドンのテムズ川に架かる吊り橋。劇中では『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の冒頭シーンで、死喰い人たちがこの橋を破壊し、魔法界の脅威が現実世界にも及んでいることが伝わる印象的なシーンとなっていた。橋を渡ってみるととても頑丈で揺れをまったく感じなかったので、死喰い人たちの攻撃がいかに凄まじかったのかが想像される。橋の先にはセントポール大聖堂もあるので、どちらも訪れるのがおすすめだ。
■ハリーたちが死喰い人から逃れてきた「ピカデリー・サーカス」(ロンドン)
『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』でハリー、ロン、ハーマイオニーの3人が、ビル・ウィーズリーの結婚式に襲撃してきた死喰い人から逃れるために、“姿くらまし”を使って逃げた先がロンドンの中心地で観光名所としても知られるピカデリー・サーカス。劇中では移動した瞬間に2階建てのバスに轢かれそうになり、冷や汗を掻いた人も多いはず。こちらも魔法界と現実世界が交差するシーンとなっているので、「ハリー・ポッター」の世界をより身近に感じられる場所。
今回巡ったスタジオツアーロンドンとロケ地の旅は、実際に映画「ハリー・ポッター」シリーズで登場したセットやロケ地に自分の足で立てるという貴重な体験ができて大満足の旅だった。スタジオツアーロンドンでは「ハリー・ポッター」の世界を表現するためのセットや小道具のこだわりと再現度の高さにとにかく圧倒され、撮影が行われたロケ地は巡り切れないほど各地にたくさんあり、「ハリー・ポッター」という作品のスケールの大きさを実感した。本記事で紹介できたのはほんの一部なので、イギリスを訪れる機会がある方は各所をぜひ巡ってみてほしい!
そして、世界にわずか2か所しかないスタジオツアーのもう1か所が東京にある。イギリスに行く機会がないという人も、スタジオツアー東京で魔法の世界に飛び込むことができるので、ぜひ一度訪ねてみてはどうだろうか。
スタジオツアー東京では、『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)で、ハリーがホグワーツに入学して初めて体験するクリスマスが完全に再現された、クリスマスシーズン限定の特別企画「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」が11月9日(土)~2025年1月5日(日)までの期間限定で開催される。MOVIE WALKER PRESS編集部員がイギリスの工房に潜入し、映画制作スタッフたちに本展示の制作秘話を聞いたインタビューも掲載しているから、こちらもチェックしてみてほしい。
取材・文/編集部
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