【漫画を読む】『先生日誌 ほむら先生はたぶんモテない』を最初から読む
ダサくて「モテなさそう」だけど本当は優しい生物教師のほむら先生と、そんな先生を追いかける変わり者の女子高生・蓮見さん。先生と生徒が織りなす脱力系ラブコメ『ほむら先生はたぶんモテない』の続編となる『先生日誌 ほむら先生はたぶんモテない』が、この夏ついに完結しました。
先生と生徒として出会った2人ですが、続編では蓮見さんが教師になってほむら先生の同僚に。ついに成就した2人の恋に、胸キュンする読者が続出中なんです! そこで今回は、作者のせかねこさんに連載を終えた今のお気持ちを伺いました。
■高校卒業から数年、ずっと好きだった先生と同僚になったものの…
ジャージに白衣にマスク姿、いつもダルそうで「たぶんモテない」雰囲気だけど、実は優しくて憎めない生物教師のほむら先生。マイペースな女子高生・蓮見さんは、そんなほむら先生にぞっこんで、放課後は生物準備室に押しかけるのが日課になっていました。しかし当時の2人が恋愛関係に至ることはなく、卒業を迎えて離れ離れになることに。
あれから数年、なんと蓮見さんが教師となって、ほむら先生のいる高校に戻ってきたのです!晴れて正式に付き合うことになったほむら先生と蓮見先生。だけど、「先生と生徒」だった頃の関係性が抜けず、2人の距離はそう簡単には縮まらないようで…。
■ほむら先生は「自分の中にあるダメな部分を投影して生まれたキャラ」
――シリーズ完結おめでとうございます!まずは前作『ほむら先生はたぶんモテない』を描き始めたきっかけから教えてください。
せかねこさん:新しい創作漫画で連載を始めようと担当さんと話していて、いくつか短編をSNSに投稿してみようとなったのですが、その一発目がほむら先生のお話でした。投稿してすぐにSNSでの反応が良かったので、これで連載を始めようとなりました。
――「ほむら先生」と「蓮見さん」は、どのようにして生まれたキャラクターなのでしょうか?
せかねこさん:実は、ほむら先生は私自身の中にあるダメな部分をそのまま投影したキャラなんです。そうした方が話を考えるのに行き詰まらなさそうだな…と考えて、あんな感じになったと思います(笑)。
蓮見さんはその段階ではツッコミ役というか、ほむら先生を活かすためのサブキャラくらいの感覚で捉えていたので、実のところあまり深いキャラ設定までは考えていませんでした。
■続編を望む声に押されて描き始めた2人のその後が『先生日誌』!
――もともとは、シリーズ前作『ほむら先生はたぶんモテない』で完結する予定だったそうですが、続編の制作を決意されたきっかけを教えてください。
せかねこさん:『ほむら先生はたぶんモテない』が完結した際に、ありがたいことに本当にたくさんの反響と続編を望むお声をいただき、それが嬉しすぎて舞い上がって軽い気持ちで続編を描き始めました。まさかこっちも本になるとは思いませんでしたが…。
――『先生日誌3 ほむら先生はたぶんモテない』をもって、ついにシリーズが完結しました。今の心境はいかがですか?
せかねこさん:こんなに長く続けさせてもらえたことや、たくさんの方が読んでくれたシリーズになったことがとてもうれしいです。
■前作から数年経過した2人を描くうえで意識したことは…
――『先生日誌』シリーズでは、ほむら先生が30代になり、生徒だった蓮見さんは先生になっています。セリフやビジュアルはどのようなことを意識しながら描かれましたか?
せかねこさん:蓮見さんはとにかくほむら先生に合わせてちょっと大人の女ぶろうとしてるというか、先生をしているときも「理想の先生を演じてる感」を出したかったんです。中身自体は高校生の頃と全然変わっていないんですけど、背伸びしている感じを意識していました。
せかねこさん:一度担当さんに「蓮見さん(大人)の言い回しが昔と比べて変じゃないかな」と指摘を受けて、私はあえてそうしているつもりだったので「表現」ではなく「違和感」として見えてしまっているのかな…と不安になったことがありました。でも、ボイスコミックで蓮見さんのCVを担当してくださっている高森奈津美さんが、収録後のインタビュー記事で「先生日誌での蓮見さんは『先生というのはこういうものなんだろうな』っていう気持ちがあって、大人の女性の口調を意識しているんだろうなと思った」と言ってくださったんです。
私が思い描いている大人の蓮見さん像をそのまま受け取ってくれていて、とってもうれしくて自信になったし、その言葉のおかげで最後までブレずに大人ぶった蓮見さんを描けたと思います。
せかねこさん:ほむら先生のビジュアルは、『ほむら先生はたぶんモテない』から結構時間が経っているので悩みましたが、あまり変わらないのが読者の方は一番嬉しいんじゃないかと思いました。
現実にもたまにいるじゃないですか、全然歳取らない人…ほむら先生はそれです(笑)。
――『先生日誌』シリーズの中で、せかねこさんのいち押しのシーンを教えてください。
せかねこさん:『ほむら先生はたぶんモテない』1巻の描き下ろしを読み返してから、『先生日誌』最終巻をぜひ読んでみて欲しいです。私のイチ押しシーンが重なると思います。
***
「先生と生徒」から「先生と先生」になり、ついに恋を実らせた2人。そんな2人の幸せな日々を再び見ることができたのは、他ならぬ読者の声援があったからこそなんですね!
取材・文=宇都宮 薫
【関連記事】
・
誰にでも起こりうる泥沼エピソードに共感!「地獄」だらけの毎日をポジティブに描く『わが家に地獄がやって来た』著者に聞きました
・
『痔だと思ったら大腸がんステージ4でした』著者が泣きながら漫画を描いた理由
・
モラハラやDVは親子で連鎖する? 社会派コミック『99%離婚離婚した毒父は変われるか』著者インタビュー
・
突然訪れた体の不調。メンタルクリニックでうつと診断された漫画家の心境『誰でもみんなうつになる』著者インタビュー
・
「二度とできん」壮絶なつわりを経験したコミックエッセイの著者に聞く、妊娠と出産の思い出