1977年に放送されたTVアニメ『超電磁マシーン ボステスV』が、半世紀の時を超えフィリピンの”大きすぎる愛”を受け、実写版『ボルテスV レガシー』となってついに日本凱旋!新規シーンを追加し、CGをクオリティアップさせた「超電磁編集版」が絶賛劇場公開中だ。今回はTVアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』の主題歌「ボルテスVの歌」を担当した”アニメソングの女王”こと堀江美都子さんに、当時の思い出や『ボルテスV レガシー』で演じたマリアンヌ・アームストロング役についてたっぷりと語ってもらった。
――フィリピンで実写化されると聞いたときはどう思われましたか?
堀江私が主題歌を歌った『ボルテスV』が実写化される、それもフィリピンで制作されるというお話は数年前に聞いてはいたんです。でもこんな超大作になるとは思っていませんでしたし、日本での凱旋上映を果たすなんて想像もしてなかったので、すごくビックリしました。自分の歌った曲が子供だとしたら、独り立ちして大きく成長して戻ってきたような感じでしょうか(笑)。とてもたくましいし、頼もしいし、幸せな気分を感じています。
――『ボルテスVの歌』のオファーを受けた当時の話を教えてください。
堀江あの頃はまだ巨大ロボットアニメの主題歌は男性歌手が歌うというのが普通だったんです。でも『ボルテスV』は主人公たちのチームの中に女性や子供もいるということもあって、「みんなで歌える賛歌みたいな主題歌を」というお話になったらしく、女性アーティストである私が歌わせていただくことになりました。
――女性歌手がロボットアニメのオープニング主題歌を歌うのはこの曲が初になるそうですね。
堀江そうなんです。後から知って驚きました。その頃の私は思春期ということもあって、歌手として成長するために「いろいろな歌が歌いたい」というよくばりな想いが強かったんです。なのでこういった勇ましいロボットアニメの曲を歌えると聞いて、すごく嬉しかったことは今でもよく憶えています。
――そんな「ボルテスVの歌」ですが、フィリピンでは”第二の国歌”と言われるまでの人気曲として知られています。現地を訪れた際は国賓待遇で迎えられたと聞きますが?
堀江それは言い過ぎですけど、空港は入国審査なし、移動は白バイ先導で行く先々すべて青信号とちょっとしたVIP待遇ではありました(笑)。チャリティーということで孤児院を訪問させていただいたりもしたんですけど、子供たちがみんな日本語で一緒に「ボルテスVの歌」を歌ってくれたのはすごく印象深かったです。ライブ会場もすごい熱気で、本当にフィリピンの皆さんに愛されている作品、愛されている曲なんだって強く感じさせてもらいました。
――『ボルテスV レガシー』の映像をご覧になっての感想を教えてください。
堀江戦闘シーンのCGがすごくリアルでビックリしました。ストーリーも家族愛とか母親の存在をとても大事にするフィリピンのお国柄を感じさせる内容になっているのも、この実写版ならではだなと感じています。とにかくこの作品に注がれている”ボルテス愛”が半端なくすごいんですよ。アニメの『ボルテスV』をリスペクトしながら愛情を注いで作っていることが感じられ、とても素晴らしい映像になっていると思いながら観させていただきました。
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気軽に受けたお母さん役が予想外の人物で堀江さんもビビった?
――本作ではアームストロング三兄弟の母親であるマリアンヌ・アームストロング役を演じられています。どのようないきさつで出演が決まったのでしょうか?
堀江私自身『ボルテスV レガシー』に直接的に携わることはないと思っていたんですが、突然オファーが来まして(笑)。「お母さん役です」ということでしたので「優しい普通のお母さん役を演じればいいのかな?」と思って気軽に「いいですよ」とお受けしちゃったんです。でも台本と練習用のDVDを見てみたら、科学者だし、戦闘機に乗るし、最後壮絶な展開になっちゃうし(笑)。「すごいことになったぞ」と思わずビビってしまいました。
――そんなマリアンヌをどのように演じていこうと考えられたんでしょうか?
堀江自分としての課題はふたつありました。ひとつは母親としての母性をどう表現するか、もうひとつは演じたことがない科学者としての一面をどう演じるか。このふたつを両立させる女性像にチャレンジしないといけないわけで、とても難しい役ではありました。
――収録現場の雰囲気はいかがでしたか?
堀江とても緊張しました。アニメのアフレコはたくさんやらせていただいていますが、外国映画の吹き替えは何十年振りということで、すごくブランクがあったんです。システムも昔と比べると変わっているので、まずは馴染むところから始めていきました。あとキャストの皆さんについて、ジェイミー役の中島愛ちゃんぐらいしか知らなくて。スティーヴ・アームストロング役の小林千晃さんとか売れっ子の有名声優さん演じる5人の戦士の演技に「すごくお上手だなぁ」と感心しながらの収録となりました。
――劇中歌としてフィリピンの人気歌手であるジュリー・アン・サン・ホセさんが「ボルテスVの歌」を日本語歌詞で歌われています。
堀江私の歌い方に似せてくれているのかなって思って、そこはとても光栄だと思いました。私たちが歌うとスタッカート・アクセント・アタックという三つの要素を必ず使うんですけど、そういった純粋なアニメソングとは違ったちょっと歌謡曲に近い仕上がりになっているような気がします。彼女の歌声も相まって美しさを感じさせる、そんな仕上りになっているのかなって思いました。
――さらに水木一郎さんが歌っていたエンディング曲「父をもとめて」をカバーする音源制作クラウドファンディング企画が実施され、先日その収録が行われたと聞いています。どんな想いを込めて歌われたんでしょうか?
堀江この曲をカバーするなら自分しかいないだろうなって思っていました。多分アニキ(水木)なら「ミッチーならいいよ」「あげるよ」ってきっと言ってくれるでしょうし、レコーディングのときにもアニキに見守られていたような、そんな気持ちで歌わせてもらっています。アニキが魂を込めて歌ってきた曲ですから、しっかりとその想いを引き継いで、これからも命が尽きるまで歌い続けていきたいと思います。
――最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
堀江『ボルテスVレガシー』ですが、驚いちゃうぐらいのフィリピンの人たちの大きな愛が詰まった作品になっています。リアルタイムで『ボルテスV』見ていた人にとっては自分の思い出と重なりながらノスタルジーを感じていただける作品になっているでしょうし、若い人だと温故知新じゃないですけど、古い作品を新しいものとして見てもらえるはず。大きい劇場のスクリーンで見たらすごい迫力だと思いますので、ぜひ皆さんにもご覧いただき、楽しんでもらえたなら嬉しいです。
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