過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2023年6月19日記事は取材時の状況)
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こんにちは。元ラブホ従業員の和田ハジメです。およそ6年もの間、渋谷区道玄坂にあるラブホテルにて受付業務および清掃業務に従事してきました。
ラブホの従業員と聞くとなんとなく暇そうな印象を抱く方も多いことかと思われますが、筆者が働いていたのは都内でも屈指の繁華街であり、なおかつ近隣他店と比較しても相当にリーズナブルな価格帯でお部屋を提供している激安店。
多少の繁閑差こそあれど、基本的にはせわしくお客様の応対に追われる日々を過ごしてきました。そして土地柄からか、“お行儀の悪い”お客様もかなりの頻度で来店され、トラブルを引き起こすこともしばしば……。
そして、迷惑客以外にも、「どこかおかしい」と感じるようなお客様が来店することもそれなりにありました。今回は、筆者が実際に遭遇した「奇妙なお客様」というテーマで少しだけお話をさせていただければと思います。
乳児を抱えて来店された男女のカップル(?)
冒頭でも申し上げた通り、ラブホテルには本当に様々なお客様が来店されます。しかし、“赤ちゃんを抱えて”来店されたお客様は、後にも先にもこのケースだけでした。以下に詳細を記していきます。
深夜に突然赤ん坊の泣き声が…
その時筆者は深夜帯のシフトに入っており、おまけに平日だったためにとても暇で、まどろみながら受付でお客様の来店を待っていました。
深夜2時ごろでしょうか。一向に客入りがなく、ほとんど眠りにつきそうな状態の筆者の耳に、“この時間帯で、かつこの場所では絶対にありえない”であろう赤ん坊の泣き声が聞こえてきました。
突然の出来事に驚き、慌ててフロントに設置されている監視カメラに目をやったところ、画面は真っ暗。
これは“幽霊”かもしれない。そう思い身構える筆者の前に、赤ん坊を抱いた女性と男性のペアが現れました。男性がこう言います。
「今から宿泊利用は可能でしょうか?」
どう見ても幽霊には思えないので…
その男女は、とても幽霊には見えない現代的な出で立ちで(少なくとも筆者がイメージする“幽霊”のフォルムとは大きく違っていました。今風の格好をした幽霊もいるのかもしれませんが)、特別不審な様子も特には見当たらないので、筆者は「大丈夫ですよ」とだけ伝えました。
とはいえ、深夜帯に赤ん坊を連れてラブホに来るのは、常識的に考えて普通ではありません。本当に入室させていいものなのかと悩みましたが、何かのっぴきならない事情があってここに来たのかもしれないと筆者は考え、そのまま入室させることにしました。
男女のペア(+赤ちゃん)が入室した後、筆者は突如、昔ニュースで見た事件を思い出しました。
子連れのシングルマザーが彼氏と一緒にラブホテルに入り、女性の連れ子の乳児に男性が致死量を超える覚醒剤を投与し、死亡させたといった内容のものです。
もしもそのような事件が起きたらたまったものではありません。筆者は無事に彼らがチェックアウトすることを願うばかりでした。
結果、何事もなく退出したが…
その後、特に何事もなく時間が過ぎ、朝早くに男女のペア(+赤ちゃん)はチェックアウトを済ませました。
退室の際に、赤子を抱えた女性から「本当にありがとうございました」との言葉をかけていただき、心の底から安堵したことを今でもはっきりと覚えています。
しかし、想像以上にまともな方々だったぶん、より一層深夜にラブホを利用した理由が気になるところです。ただそれだけの、オチのない話ですが、とても不思議な出来事でした。
“なにか”を見てしまったお客様
先ほどのケースは不思議な話ではありますが、心霊現象ではなかっただけ安心、という結論で片付きました。しかし続いて紹介するのは、“なにか”を見てしまったお客様についてのお話です。
寒い夜、一名のお客様が来店
その“事件”が起こった日はとても寒い日でした。1月下旬ごろだったはずです。パラパラと雪が降っていたことも覚えております。
真冬の時期のラブホテルは閑散期。おまけに上述の通り、“事件”が起こった日は雪が降っていました。全く客入りが見込めない日に突如来店してきた一名のお客様。利用時間は忘れてしまいましたが、女性の“デリバリー”で使いたいとのことでした。
特に何事もなく入室させ、特に何事もなく時間が過ぎていきました。
ものすごい形相でフロントまで…
お客様がお部屋に入って10分ほど経ったころでしょうか。ものすごい形相で突然フロントまで大急ぎで降りてきました。あまりにも怯えている様子だったため、筆者が「いかがなさいましたか」と尋ねるや否や、
「部屋に人がいますよ!」
と叫ぶお客様。別の客が間違えて部屋に入ってしまったのかと筆者は考えましたが、そんなことはまずありえません。その日のその時間帯に客室を利用していたお客様は、彼ともう一組のカップルしかいませんでしたから。おまけに、他の方が入室している状態で10分も滞在するはずもありませんし……。
とにかくそのお客様は部屋で突然“なにか”を見てしまい、慌てて退室したという“事実”だけがそこにはありました。
お客様が退室した直後にデリバリーの方が来たのですが、お客様が退室した理由を話すと、怪訝そうな顔をしてその場をあとにしました。きっとワケがわからなかったはずでしょうし、筆者自身も彼女と同様、ワケがわかりませんでした。
極寒の中、置き忘れたダウンジャケット
清掃スタッフがその問題の客室に向かい、しばらくしてフロントに降りてきました。「なにか変なことあった?」と聞くと、「特にない」と答える清掃スタッフ。部屋を汚した形跡もないとのことでした。
「ただ、忘れ物はありました」
清掃スタッフがポツリと言います。彼女(清掃スタッフは外国人の女性)の手には、いかにも防寒性がありそうな「カナダグース」のダウンジャケットが握られていました。
だいたい10万円前後はするブランドです。これを忘れるほど大急ぎで退室したお客様。果たして何を目撃したのか、真相は薮の中ですが、とにかく“ヤバい”経験をしたことは間違いありません。
後日、そのお客様が真昼にダウンジャケットを取りにきたと、別のスタッフから伝えられました。「なにか変わった様子がありましたか?」と筆者が聞くと、「特にない。ただ急いでる様子だった」との返答がありました。
幸い筆者自身は心霊現象に遭遇したことはございませんが、筆者が勤務していたラブホテルには確実に“なにか”がいたと考えると、今でも身震いしてしまいます。
<文/和田ハジメ>
【和田ハジメ】
およそ6年にわたり、渋谷区道玄坂の激安ラブホにて受付業務および清掃業務に従事。繁華街で様々な人間を見てきた経験をもとに、迷惑客の存在やスタッフの裏事情などをテーマに執筆(していく予定)。
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