全日本空輸(ANA)は、9月7日の福島発大阪/伊丹行きANA1698便(DHC-8-400型機、機体記号:JA848A)で不適切な整備を実施し、報告が適切が行われていなかったとして国土交通省航空局から厳重注意を受けた。
同便が福島空港で出発準備中、機体右主脚の2つあるタイヤのうち1つのタイヤの空気圧が低いことを整備士が把握した。本来はメーカーが定めた手順に基づいてタイヤを交換すべきところ、予備のタイヤがなかったことから窒素を充填し、漏れがないことを確認することで安全と判断して就航させた。その後、整備士は伊丹空港へタイヤの交換を依頼し、同便が到着後にタイヤ交換を実施して運航を継続した。
福島空港の整備士、伊丹空港のタイヤ交換を行った部署ともに、それぞれが互いに品質管理部署に報告しているものと考え、事象を報告していなかった。10月8日に双方が未報告であることがわかり、同10日に国土交通省航空局に報告した。
メーカーからは、追加の点検は不要で、航空機の設計上、タイヤの空気圧が低い状態でも、ただちに飛行の安全に影響を及ぼすことはないとの見解を確認しているという。
ANAでは、一次対策として事象を周知し、「航空機メーカーの手順に基づいた適切な作業を行うこと」や「適切な報告の重要性」について注意喚起を実施した。恒久対策として、不適切な事象の報告ルートを複線化し、責任を明確にするべく規定改定を行うなどの対策を講じるという。