【必殺シリーズ】俳優インタビュー本『談義』著者が明かす「取材の裏の裏」

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【必殺シリーズ】俳優インタビュー本『談義』著者が明かす「取材の裏の裏」

10月25日(金) 12:10

1972年より15年にわたってレギュラー放送された、金をもらって恨みを晴らす殺し屋たちが主人公の時代劇ドラマ「必殺シリーズ」。今なお絶大な人気を誇る本シリーズの魅力を、ライター・高鳥都による関係者への徹底取材で深掘りする書籍シリーズ第4弾『必殺シリーズ談義 仕掛けて仕損じなし』(立東舎/以下『談義』)が発売中だ。

今回は『必殺仕掛人』から『必殺剣劇人』までに出演した俳優陣15名のロングインタビュー、さらにシリーズを支えた京都映画(現・松竹撮影所)のスタッフ座談会で構成されている。著者である高鳥氏に、本書完成に至るまでの道のりや裏話を語っていただいた。

――前作『必殺シリーズ始末 最後の大仕事』でピリオドを匂わせておきながら、今回シリーズ第4弾がリリースされる運びとなった経緯をお聞かせください。

高鳥「最後の大仕事」と銘打ったのに、あとがきで第4弾をやりたいと書いたのですが、ありがたいことに読者の方々の反響が大きく、シリーズ継続となりました。これまでの3冊すべて重版という売れ行きも大きいと思います。

――今回はシリーズのキャスト15名をメインに据えたインタビュー集となりました。前3冊とは違う狙いがあったと思いますが、その辺りをお聞かせください。

高鳥これまでスタッフ中心のインタビューを行ってきて、第4弾もその想定だったのですが、ほかの出版社がやるべきだと思っていた俳優インタビュー集がなかなか動き出さないので、こちらから先に仕掛けることにしました。
ある種のパターン外しというか、企画としてはキャストこそが王道なので、書籍のシリーズとしてメリハリがついたと思います。

――取材対象のセレクトに関してのこだわりはどのようなものがありましたか。また取材の仕方や訊き方などで意識したことはありましたか。

高鳥まずは自分が話を聞いてみたい方々、それから歴代シリーズで「殺し屋」側のレギュラーを演じた俳優さんに絞りました。スタッフと違って俳優は取材慣れしていてインタビューの機会も多く、鉄板のエピソードを持っているのでそこをいかに掘り下げていくか、新たな話を引き出すことができるかに全集中しましたね。
内心は必殺ファンとして興奮の連続でしたが、あくまで淡々と取材をしたつもりです。奇しくも『必殺仕掛人』から『必殺剣劇人』までの15年、15名というぴったりの数字に収まりました。

――キャスト15名の取材をしてみての感想をお聞かせください。インタビュー時に感じた人柄や飛び出した意外なエピソードなど、特に印象的だったことなどはありましたか。

高鳥みなさん思い出深いのですが、近藤正臣さんは現在、岐阜県の郡上八幡にお住まいで川沿いのご自宅までうかがいました。「こんな話でええんかなぁ」と何度も苦笑されていて、たしかに「必殺シリーズ」と関係ない話も多いのですが、京都の撮影所でエキストラをやっていた下積み時代からの貴重なエピソードがうかがえたと思います。

もう15年ほど前ですが20代のころ、たまたま西田敏行さんに『特捜最前線』の高杉刑事のお話をうかがったことがあるんです。それは本当に偶然で何かに残すようなものではなく、だからこそ今回は林与一さんからかとうかず子さんまで、15名の長いインタビューを活字で残せたことに意義を感じています。

【関連画像】特典クリアファイルと『必殺シリーズ談義』の中を少し見る!(8枚)

――京都映画(現・松竹撮影所)スタッフへの取材の感想をお聞かせください。何か新たな発見・気づきなどはありましたでしょうか。

高鳥みなさん、これまでの本にご登場いただいたので「もう話すことないで〜」とか言いながら、どんどん新しいエピソードが出てきましたね。やはり組み合わせを変えることでの化学反応が大きく、3組ともおもしろかったです。

特にプロデューサーの櫻井洋三さんと脚本家の保利吉紀さんはお互い90代でお元気という……まるで漫才のように「あぶない話」がポンポン飛び出してました。
石原興さんと林利夫さん、藤井哲矢さんと都築一興さんと皆元洋之助さんの座談会は同じ日に撮影所で行ったのですが、全員が久しぶりに再会して、まるで『七人の侍』のような記念写真も誌面のいいアクセントになったと思います。

――新刊に先駆けて、「高鳥都の必殺本まつり」が全国56の書店で展開中です。

高鳥この2年で立東舎、かや書房から5冊の必殺本が出まして、6冊目となる新刊の宣伝も兼ねて共同フェアをしようという話になりました。それぞれのお店でコーナーの見せ方も違っていて、新宿の紀伊國屋書店さんや神保町の書泉グランデさんにお邪魔しましたが、ありがたいですね。やはり本を出したからには「売る」ことも大事だと思うんです。

特典のクリアファイルは『必殺仕置人』全26話のサブタイトルを載せたもので、これ2クールのドラマやアニメなら何でも流用できるフォーマットなので、ぜひ流行ってほしいですね。

――最後に今回の仕事を通じて改めて感じた「必殺シリーズ」の魅力、そして著者お薦めの本書の注目ポイントについてお聞かせください。

高鳥改めて思ったのですが、「必殺シリーズ」の主人公は基本的にアウトローで、権力や後ろ盾のない存在です。将軍や副将軍みたいな偉い人が世を忍ぶ仮の姿で庶民と触れ合うのではなく、ずばり庶民そのもの……藤田まことさん演じる中村主水だって、役人とはいえ下っ端で権力の理不尽を味わっている。
今回ご登場いただいたみなさんが演じた役もほとんどが庶民で、だからこそ殺しのシーンや光と影の表現も映えるし、時代劇の中で「必殺シリーズ」が好きなんだなと実感しました。

それから、いま自主映画の『侍タイムスリッパー』が大ヒットしていますよね。時代劇のバックステージもので東映京都撮影所が全面協力した映画ですが、照明技師として『必殺シリーズ始末』にご登場いただいた、はのひろしさんも参加しているんです。安田淳一監督のこだわりでしょうか、メリハリの強いライティングや望遠のカメラアングルは往年の京都映画風なんです。
NHKの朝ドラも『オードリー』に続いて『カムカムエヴリバディ』と京都の撮影所を舞台にした作品の再放送が決まりましたし、わが新刊もふくめて時代劇の裏側に光が当たり、それが表にまで反映されるといいなと願っています。

高鳥都(たかとり・みやこ)
1980年生まれ。2010年よりライターとしての活動をスタート。著書に『必殺シリーズ秘史50年目の告白録』『必殺シリーズ異聞27人の回想録』『必殺シリーズ始末最後の大仕事』『あぶない刑事インタビューズ「核心」』、編著に『別冊映画秘宝90年代狂い咲きVシネマ地獄』『必殺仕置人大全』があり、『漫画+映画!』ほか共著多数。
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