“頂き女子りりちゃん”題材の映画制作決定監督は小林勇貴、大森靖子流れる予告編も公開

映画『頂き⼥⼦』撮影風景

“頂き女子りりちゃん”題材の映画制作決定監督は小林勇貴、大森靖子流れる予告編も公開

10月24日(木) 19:30

りりちゃんこと渡邊真⾐と頂き⼥⼦に関する事件を題材にした映画『頂き⼥⼦』が制作されることがオパルスから発表された。制作発表に併せ、大森靖子の楽曲「パーティードレス」が流れる予告編も公開されている。

【写真】りりちゃんこと渡邊真⾐による直筆コメント

本作は、歌舞伎町から日本中に広がった「頂き女子」りりちゃんこと渡邊真衣の事件を獄中の渡邊本人との数多の面会、手紙の交換によって行われた綿密な取材を基に、エピソードや演出、演技のディティールを再構成し映画化したナラティブ・フィクション作品。

プロデューサーは渡邊のために情状証人として出廷した、身元引受人である立花奈央子。新宿で15年間コンテンツ制作事業を営む中で逮捕前の渡邊と出会い、その生き方と言葉を作品にすることを二人の間で決めていたという。

主人公りりちゃん役は月街えい(LADYBABY) 。アイドルデビュー前から表現活動に勤しんでおり、ZINEで短歌や詩を発表。現在はXで手書き日記「口語自由日記」をアップするなど、優れた言語感覚を持っている。渡邊と表裏一体にもなり得るパーソナリティを見出され、初主演への抜てきとなった。

監督は『スカム』『ホームルーム』『酒癖 50』の小林勇貴。小林監督は2年ぶりの復帰作となる。目を背けたくなるような暴力を真正面から捉え続ける胆力と、現代日本の社会構造への強い問題意識を買っての依頼と立花は言うが、最初から直感だったとのこと。

頂き女子は今でこそ明確な詐欺だと広く知れ渡っているが、当時は新しい稼ぎ方として SNSと情報商材を中心に流行し、ホストバブル拡大の一端を担い、歌舞伎町のお金の流れを大きく変えたそう。自分の大切な存在に持てるものを注ぎ込む<推し活>と呼ばれる行為の連鎖が、ある業界のバブルを招き業態を歪めていくさまは、夜の街だけではなく、孤独に端を発した現代日本全体の縮図なのでは?という考えの下、本作は、日本のあちこちに息づいているものについて、映画を通して垣間見て、少しだけ理解のできるような作品を目指すという。

また、りりちゃんの映画化は、逮捕前から計画されていたが、事件により世間を大きく騒がせることとなった今こそ、商業資本ではなく歌舞伎町を知る当事者たちの手で映画化したいという思いも。獄中の本人とも対話を重ね、実際のエピソードやその時のリアルな心情をもとに、渦中の人間達の確かな視点で映像化する。

本作はスポンサー制ではなく、クラウドファンディングによって制作。11月中旬からMotion Galleryでクラウドファンディングを行う。「作品が商業主義により本質を歪められ、ありふれたエンタメとして消費されることはどうか避けたい」とし、クラウドファンディングを通して、歌舞伎町と、そこで生きる人々の純粋な姿をできる限り記録したいのだそうだ。今回の作品は収益活動を目的とするものではないが、利益が発生した場合はその一部を渡邊真衣支援プロジェクトの資金管理会社(合同会社いぬわん)に寄付し、弁済に充てられる。

公開された予告編は、大森靖子の楽曲「パーティードレス」が使用されている。大森は自身のXで「劇中歌、大森靖子『パーティードレス』使用されています。人生で5曲目に作った曲です」とコメント。加えて「はやくこんな歌要らない世の中になればいいと思います。」「勿論誰よりもこの曲を愛してます,ここまで運んでくれたから」「でもあの感情が消えたこと1日もないです。」ともつづっている。

映画『頂き女子』は公開日未定。

⽴花奈央⼦(プロデューサー)、⼩林勇貴(監督)、⽉街えい(主演)、渡邊真⾐のコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>


■⽴花奈央⼦(プロデューサー)

渡邊さんに初めて会った日。「担当のどこに惹かれてたの」と恋バナの気分で何気なく尋ねたら、甘くも芯のある声で「この人ならホストクラブを、歌舞伎町を変えてくれると思ったから」と返ってきて、大きな衝撃を受けました。
折しも私自身も業界や街のために何ができるか考えを巡らせていたタイミングでもあり、その視点に興味を持った私は、彼女が生き直す様を撮り続けよう、とその場で決めたのです。

ドキュメンタリー写真のつもりでいた当初の想定をはるかに超えた規模になりましたが、私と渡邊さんを繋いだ原点は変わりません。人の幸せを祈り、そのために世界を変えたいという願いです。

逮捕前の渡邊さんは、担当を通して思いを実現させようとしていました。今は、自分自身と向き合いながら限られた通信手段で作品を発信し、手探りでも自分の手で思いを届けようとし続けています。

これほどの事件ですから、必ず誰かが映画を作ってくれます。経験もお金も力もある人たちがきっとうまくやってくれることでしょう。だけど、渡邊さんの思いを一番純粋な形で作品にできるのは、一部始終を内側から見てきた自分たちしかいない、と自負しています。

映像化に際し、犯罪行為を美化したり犯罪者をまつりあげる意図はありません。事件の背景と構造を読み解き、作品を通して広く知ってもらうことが、類似事件の防止や、社会問題の認知・改善に繋がると考えています。

今の私が在るのは、縁と機会に恵まれてきたからにすぎません。
だから、恩返しのつもりで、真摯に制作にあたっていきます。

■⼩林勇貴(監督)

まず最初に、私の 7 年前の撮影で起きた過ちについて改めて深く反省し、その経験から学んだことについてお伝えしたいと思います。私の過去の映画制作の現場で起こった問題は、根本的にはチーム全体の「コミュニケーション不足」によるものでした。監督(のイメージ)に忖度して予定にない危険な行為をする俳優、プロデューサー(のイメージ)に忖度して芝居を止めない監督、監督(のイメージ)に忖度して芝居を止めないプロデューサー。コミュニケーション不足のまま突き進み、各人に持つイメージに対して忖度をして、予定にないことが発生しても誰も止めることができない。三者間の忖度に巻き込まれた当時未成年の俳優に対して配慮に欠けた判断。この点に関して、私は責任を重く感じ、問題の解決に向けて真摯に取り組んできました。具体的には、撮影現場での事前の確認、透明なコミュニケーションを徹底するために、アメリカで映画制作者たちにインタビューを敢行し、そこで学んだ映画制作現場の安全管理や、チーム内の対話技術を日本の現場でも導入するよう日々励んでいます。
この経験を経て、私は強く感じたことがあります。それは、コミュニケーションの不足が、ただの撮影現場の問題に留まらず、社会のあらゆる問題に通じているということです。私の過ちも、根本は対話や相互理解が不十分であったことが原因です。これは、現代日本が抱える多くの社会問題、特に「頂き女子りりちゃん事件」にも通じる部分があります。事件に関わる男性たちも、社会や周囲との関係において深刻なコミュニケーションの欠如を抱えていたのではないでしょうか。そして、りりちゃん自身も、家庭や社会との対話が不十分だったことが、彼女の行動に繋がったのではないかと感じています。
私がこれまで手掛けてきた作品は、いずれも現代社会に生きる人々の「孤独」や「欲望」、そして「愛情の歪み」に焦点を当ててきました。それは、弱者男性や追い込まれた若者たちの物語であり、彼らが抱える社会的な孤立感や葛藤に向き合ったものでした。これらのテーマを通じて、私は人間が抱える複雑な感情と、そこから生まれる暴力や加害性を描いてきました。それは私自身が、私自身の加害性に向き合いたいからです。
今回の「頂き女子りりちゃん事件」の映画化にあたっても、私は同様にこの社会の「溝」や「断絶」に焦点を当てています。特に、社会が女性に押し付ける理想像と、それに対する男性たちの孤独が引き起こした悲劇を描くことで、観客に現代社会の矛盾や歪みを考えてもらいたいと考えています。事件そのものを一面的に描くのではなく、多様な視点を通じて複雑な現実を捉え、観客と共に考える作品にしたいという思いがあります。
この作品が、社会の中で取り残された人々の声を届け、また現代日本が抱える課題についての議論を促す一助になればと思います。皆さまのご支援と共に、この作品を完成させることができることを、心から願っています。

■⽉街えい(主演りりちゃん役)

真摯であるほど生きづらい社会で、なんにも誇らしくないけど、何もかも許されなくていいけど、ただ、美しくあれと祈ってほしかった、そんな時。
この映像を見てくれた貴方に思い出してもらえるような女の子でいられたらいいなと思います。
きっとこの世界中の誰かにとって、りりちゃんは、そんな存在だから。
監督やなおこさんをはじめ関わってくださる全ての方々とともに、作品としてこのteaserの先にどんなものを生み出せるのか、私自身とてもわくわくしています。

どうかご支援、よろしくお願いします。

■渡邊真⾐

この時代を 一緒に 生きているみんなへ
みんなの毎日が どうか幸せでありますように。

私は悪いことをしてしまいました。
この世界で とっても悪いこと。
私は悪いことがしたくて、産まれてきたわけじゃなかったのに。なんで。

子供の頃、「悪いこと」がなんなのか テレビを見て知りました。
「悪い人」たちがタイホされるニュース。
私は そんな「悪い人」たちのことを「サイテー︕」とか思ったし、
私は こんな「悪い人」たちと自分は、無縁の別世界に生きていると思った。
でも 大人になった今、いつの間にか テレビのニュースに映っているような「悪い人」に私はなっていました。

令和 5 年 8 月 23 日、私はタイホされました。
私の罪は 3 つあります。「サギ幇助」「サギ」「所得税法違反」
この文章を書いている今は、拘置所という「悪い人」を収容する施設に います。
毎日は、苦しいです。

私は今までずっと なるべく早く死にたい と思いながら生きていました。
毎日は当たり前に幸せじゃなくて、むしろ窮屈で辛くて爆発してしまいそうで、このまま生き続けても 全くもって無意味だと感じていました。
誰も 私のことを必要としなかったし、私も私が必要じゃなかった。
私は 自分が一体 誰なのか わからなくなってしまいました。

だけど、私は 6 年前のあの日、歌舞伎町にきて、私、変われたんです。
こんな私の存在を、求めて、認めてくれる人と、出会えました。
私は この町で、この人と出会うために、今まで生きてきたんだと思えました。
私は産まれて初めて 幸せ って思えたんです だって、その人といると 本当の私でいられるような気がして、私、ここにいても、まだ 生きていても、いいんだって そうやって思えて、私 幸せで

私は、私に幸せを与えてくれるその人のためなら なんでもしたいと思いました。
こんなめちゃくちゃな世界を憎んで憎んで、私 できること なんでもしました。こんな世界は破滅してもいいと、明日全部がオワってもいいと、そう思って 毎日毎日、わからないけど、よくもう、わからないけど途中から、わかりたくなくなっちゃって、怖くなってきて、もう、でも、もどれない、もう、私 どうなっちゃってもいいから がんばりました。
もう、もう、すべてが イヤだった ごめんなさい
ばかで ごめんなさい

ばかで ごめんなさい 自分勝手
とりかえしが つかないようなこと たくさんして
人 を キズ つけて ごめんなさい

こんなこと 望んでなかった

ただ 私のこと ちゃんと 少しでも 見てほしくて
誰かに 見つけて ほしくて
ごめんなさい

ごめんなさい どうしたら ちゃんと 生きれたかな

どうしたら、 ふつう みたいな 生き方 できたかな

まっすぐ まっすぐ 生きてきた つもりだったけど
ぐちゃぐちゃ だった ずっと信じてた正解はまちがいだった︖

まだ 生きてても いいのかな
生きたいって 思えるように なるのかな

みんなが 幸せになったらいいなって 思う

私に なにが できるのか わからないけど

私 なんでもするから 少しでも みんなに 幸せを与えられたらなって思う。

犯罪者なのに バカみたい なに言ってるのって
思われちゃうかも しれないけど

「なにがしたい」って聞かれたら、思いつくのは、それしかなくて、私が 今も まだ 生きている 理由 は、 そんな希望があるからで。

こんな世界、おかしいって 死んだほうがマシって思うけど、
私は みんなの 光に なりたいって、 そう思うの

2024.10.11

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