700台以上のフランス車が車山高原を埋め尽くす|第2回アロンフランセ開催

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700台以上のフランス車が車山高原を埋め尽くす|第2回アロンフランセ開催

10月24日(木) 12:11

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10月20日、フランス車の祭典、第2回アロンフランセが、車山高原で開催された。

【画像】ルノー8ゴルディーニ60周年、シトロエンCX50周年を記念したパレードも実施。フランス車で盛り上がった車山高原(写真13点)

車山高原で開催されるフランス車の集まりといえば、フレンチブルーミーティングを思い浮かべる人は多いだろう。その思いを汲み昨年より開催されているのがこのアロンフランセだ。今年も事前申し込みをした700台を超えるフランス車が車山を埋め尽くした。

8ゴルディーニは旅客機?
昨年はシトロエン2CV 75周年をフィーチャーし、パレードも行われた。そして今年はルノー8ゴルディーニ60周年、シトロエンCX50周年を記念し、それぞれの車の特徴やオーナー紹介とパレードが行われ、多くの来場者がそのプレゼンテーションを聞き入ることになったので、その内容の一部をご紹介しよう。

ルノー8ゴルディーニはルノー8をベースにアメディ・ゴルディーニがエンジン等に手を入れたスポーツモデルだ。1964年デビュー時は1100ccエンジンを搭載し、その出力は95馬力。その後1300ccに排気量をアップし、こちらは103馬力を発揮した。1100ではソレックスのキャブレターであるのに対し、1300はウェーバーに変更。そしてエンジン以外の違いでとして挙げられるのは、まずヘッドライトが1100は2灯、1300は4灯。また、ガソリンタンクが1100はリアに38リッターのみであるのに対し、1300になるとそれにプラスしフロントに26リッターのタンクが装備される。その理由についてあるオーナーは、「より長距離を走れることで戦闘力を増すため」と説明していた。

また別のオーナーは8ゴルディーニとともにアルピーヌA110を所有しており、乗り比べると、「A110は戦闘機、8ゴルディーニは旅客機ほどの違いがあり乗りやすい」と述べ、オーナーならではのコメントとして会場を沸かせていた。

なお、この違いは当時のスペックをもとに語られており、現在は各オーナーの好みで変更されていることもある。

ルノーと日野の違いとは
8ゴルディーニが並んでいる一角には日野コンテッサ1300クーペLも展示。日野は1953年からルノー4CVをノックダウン生産したことや、コンテッサ1300は今年60周年ということで特別に展示されたのである。

このオーナーも8ゴルディーニをはじめ複数ルノーのリアエンジン車を所有するエンスージアストであり、また、日野の乗用車に関してはエキスパートといっていい人物である。

4CV以降、それぞれのメーカーはドーフィンとコンテッサ900に進化。ここで件のオーナーは「コンテッサ900はドーフィンの真似だという説は大きな間違い」と指摘し、コンテッサ900の方が「はるかに進化していた」とコメント。例えばコンテッサ900はラジアスアーム式スイングアクスルを採用しているのに対し、ドーフィンは用いられておらず、ルノー8で初めて採用されるのである。

もうひとつ日野とルノーの違いについて、「コンテッサ1300クーペの標準車の車重は945kgある。一方ルノー8ゴルディーニはそこからおよそ100kg軽い。ルノーのヒーターコントロールのレバーは端から端まできっちり動きにくく、ぐにゃぐにゃしているが、日野はカチッと作ってある。そういった細かい仕上げやこだわりから重くなったのではないか」と語る。

一方、モータースポーツシーンにおいては「ゴルディーニの方が速く、それに対処するためにアメリカのサムライを作った、サムライチームのピート・ブロックが軽量化を日野に指示し、それで作られたのが今回展示されているLボディだ。カタログ値で830kgと軽く、鉄板を薄くしたり、窓をアクリル化したり、防音関連も一切排されている」とヒストリーを紹介し、来場者は真剣に耳を傾けていた。

CXには中毒性がある
シトロエンCXに関しても日本シトロエンクラブの方々を中心に特徴が説明された。ロングホイールベースのプレステージュでは初期はカロッセのユーリエの手で製造されていたが、すぐにシトロエン社内でブレーク・ファミリアールをベースにされたこと。その際に後席の”住人”からルーフを高くしてほしいという要望から5cmほど高められたこと。そして年代によってシートの柔らかさが異なることや、内外装の違いなどが話された。

また、CXの大きな特徴は「中毒性があること」とコメント。直進安定性が圧倒的に高い一方、セルフセンタリングステアリングやサテライトスイッチ(メーターナセルの左右に筒状のものでヘッドライトやワイパー、ウインカーなどのスイッチが集約されている)ストロークの短いブレーキペダルなど個性が満載で、最初はなかなか扱えないだろう。しかしこういった操作に慣れるにしたがって、「そういった個性が魅力になってほかの車には乗れなくなってしまう」と話していたのが印象的で、それはどのオーナーも同様に思っているようだ。

頭が下がります
このアロンフランセは、秋のフランス車のイベントとしてどんどん浸透してきており、当日も茅野市市長も来場するなど地域を挙げて歓迎ムードなのはとても喜ばしい。また、よりフランス車を楽しんでほしいとステランティスジャパンもブースを出展しグッズの販売が行われ、一時は行列ができるほどの賑わいとなった。

そして最後にお伝えしたいことがある。このイベントはフランス車の好事家と車山高原観光協会の協力で開催されており、基本はボランティアだ。実は開催日前日の真夜中、天候が悪化し突風の影響で本部テントが崩壊。音響設備が壊れてしまったのだ。そこから事務局の手で当日の朝までに復旧させ、何事もなかったかのように来場者を迎えたのには、本当に頭の下がる思いであり、敬意を表したい。こうした目に見えない方々の苦労と努力があったからこそ、この素晴らしいイベントが開催でき、そしてファンが増えていくのであろう。


文:内田俊一写真:内田俊一、内田千鶴子
Words: Shunichi UCHIDAPhotography: Shunichi UCHIDA, Chizuko UCHIDA
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