街頭で演説をする大空氏。今回の総選挙では最年少の25歳だが、堂々とした話し方はベテランの風格さえ感じた
新政権発足後、即解散・総選挙に踏み切った石破茂新首相。各地で慌ただしく戦いへの準備が進む中、15日に公示日を迎えた。裏金問題が尾を引く与党・自民党、野田新代表で巻き返しを図りたい野党・立憲民主党。候補者たちは目がギラギラ。現場は熱気ムンムンだ。衆議院議員選挙2024、その注目選挙区の人間模様をナマ取材した!【衆院選"人間激場"注目選挙区全力ルポ東京15区編】
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自民党の現職議員(秋元司、柿沢未途)が2代続けて逮捕された東京15区。
今年4月の補欠選挙は自民党候補不在だったが、今回の総選挙には25歳の新人、大空幸星(こうき)氏を送り出した。
大空氏は大学在学中の2020年に孤独や孤立に悩む人を支援するNPO法人を設立。その後、テレビやネット番組に出演し、Z世代の論客として知られるようになった。昨年は東京都のこども未来会議委員にも就任している"期待の若手"だ。
そんな大空氏は、なぜ裏金問題で逆風の自民党から出馬したのか、裏金問題をどう思っているのかについて聞いた。
「まず、私は裏金問題は関係ありません。そして、いわゆる収支報告書への不記載の議員については非公認、もしくは比例名簿に載せないという厳しい判断が下されました。自民党は、今回の処分である種の責任を取っているということを表したと思っています」
15区からの出馬については、次のように話す。
「私は東京15区に限らず知名度はありません。でも、知名度勝負になってはいけない。それよりも政策を実直に訴えていくことが必要です」
前回の補選と同じく電飾をつけた自転車で江東区の街を走りながら選挙活動する須藤氏。ビラを配るときは相手の目を見て、ちょっとトリッキーな動きで渡す
前回の補選で2位と大健闘した無所属の須藤元気氏(46歳)は今回の選挙戦に手応えを感じているようだ。
「街の反応が全然違います。僕は補選が終わった次の日から辻立(つじだ)ちをして自転車で江東区を回っているんですが、選挙が始まったら『いよいよだね』『今回は応援するよ』と声をかけてもらえることが多くなりました。
昼は必ず個人でやられている飲食店でごはんを食べて、その様子をSNSにアップしています。また、僕は居酒屋のせがれなので、夜はお小遣いを削って居酒屋さんをはしごしています。正直、この半年間、候補者の中で誰よりも江東区民と向き合ってきた自負があります」
実際、須藤氏はビラ配りをすれば半分以上の人が受け取る。住民のほうから須藤氏に声をかける場面も何度も目にした。50代の女性は「自転車で街をよく走っているのを見て応援したくなりました。何度も握手をしてくれるので好きになりました」と言う。
自民党の25歳の新人候補について須藤氏はどう思っているのだろうか。
「若い人の出馬は素晴らしいことです。ただ、若手が政治家を目指そうと思っても、金銭面でなかなか厳しい。なのでよっぽどのお金持ちか政党に頼るしかない。そういう現実があるんだと思います」
前回、2位に約2万票差をつけて当選した立憲民主党の酒井菜摘氏(38歳)も、今回はそう簡単には勝たせてもらえなさそうだ。そんな酒井氏は、この半年間の自身の実績について、次のように話した。
「この15区の補選では選挙妨害が話題になりましたね。7月の都知事選ではポスターの枠がなくなったり、卑猥(ひわい)な内容のポスターが張られたりしました。そういったことから公職選挙法の改正を求める声が街の皆さまからあったのです。
私は選挙妨害を受けた当事者ですし、今後、選挙に出る候補者を守るという役割もあると思い、公職選挙法の改正について力を入れて活動してきました」
トラブル続きの補選を経た今回の衆院選、東京15区は落ち着きを取り戻せるのか。
取材・文・撮影/村上隆保
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