子育ては、思いも寄らないことの連続。子どもに向き合う保護者の数だけ、多彩なストーリーがあります。誰かの経験が、別の誰かの背中をそっと押すこともあるかもしれません。
今回は、楽しみにしていた運動会の当日、突然「行きたくない」と言い出した小学4年生の長男への対応を巡るこまさん(ペンネーム)のエピソードを、ご本人がつづったnoteからご紹介します。
※以下、ご本人承諾のうえ、投稿内容をもとにご紹介いたします。
※写真はイメージです
この記事のポイント
「行きたくない」運動会当日の朝に言い出した息子
運動会の代わりに琵琶湖へ
数年後に明かされた理由
理由はすぐに明らかにしなくてもいい
「行きたくない」運動会当日の朝に言い出した息子
現在中学生のこまさんの長男が小学4年生の時のこと。楽しみにしていた運動会当日の朝になって急に「行きたくない」と言い出しました。長男は、走るのも速く、運動が得意なタイプ。こまさんも妻も、突然のことに戸惑うばかりだったといいます。
「理由をたずねても、彼は無言のまま。
理由もなく、お休みなんてできないよ。
体調も悪くなさそうだし。
しかし、彼は「行きたくない」と一点張り。
なにか親が今まで気づかなかった隠れた問題があったのだろうか?
ぼくも妻もいろんな想像を巡らせますが、わかりません」
(こまさんの投稿より *一部編集) 長男はなにか言いたそうにするものの、無言のまま。登校時間も迫る中、しびれを切らしたこまさんが「甘えるな!」と声を荒らげそうになった瞬間、妻が予想外の言葉を発します。
「よし、わかった!もう今日は遊び行こ!」と妻が叫びました。
(こまさんの投稿より *一部編集)
運動会の代わりに琵琶湖へ
妻の潔い言葉と勢いに驚きを隠せなかったこまさんと長男。さっきまで長男の煮え切らない態度にいら立ちを感じていたこまさんも、開き直ったような妻の姿に腹が決まり、琵琶湖まで車を走らせることに。
「結果的に1日中、家族で琵琶湖で泳ぎ、バーベキューし、ドライブを楽しみながら過ごしました。
気分がスカッとするめっちゃ楽しい1日でした」
(こまさんの投稿より *一部編集) こまさんも妻も、長男に運動会を休みたかった理由は聞かずにいました。家族で過ごす楽しい時間に夢中になって「まぁいいか」と思えたのかもしれません。なんとしても理由を聞き出そうとする気持ちはなくなっていたといいます。
数年後に明かされた理由
長男が運動会に行きたくなかった理由は、数年後、家族で夕食をとっている時に突然、明かされたといいます。
「『ダンスがどうしてもやりたくなかったんだ』」
(こまさんの投稿より *一部編集) 運動会当日の朝には、あんなにも問いただしたかった理由も、もう気にもならなくなっていたというこまさん。
「もはやどうでもいい告白でしたが、当時の彼はそれをうまく言語化できなかったのか、言い出す勇気がなかったのでしょうね」
(こまさんの投稿より *一部編集) 「そうだったんだね、OK」となんてことのない返事をし、いつもどおりの夕食の時間が穏やかに過ぎていきました。
理由はすぐに明らかにしなくてもいい
※写真はイメージです
長男とのエピソードをとおして「ぼくたちはあらゆることにすぐ理由を求め過ぎなのかもしれません」との思いを強くしたというこまさん。「習い事をやめたい」「受験したい」「あのお友達がイヤ」子どもが言うあらゆることに「なんで?なんで?」と質問攻めにしてしまうことはよくあるものです。しかし、それは時に子どもを追いつめてしまうこともあるかもしれません。
「大人であるぼくたちでも、理由はなにかあるんだけどうまく思いを言語化できなかった経験が多々あったはずです」
(こまさんの投稿より *一部編集) うまく言葉にできない子どもを問いただして、無理やりに理由を説明させても、なかなか納得できる答えは出てこないものです。本心ではない理由に腹を立てて子どもを責めたり、「ダメ!」と断罪したりしては、子どもをより追いつめてしまうことにもなりかねません。
だからこそ、待ってあげることが大切なのではないかとこまさんは指摘します。今はわからないけれど、いつかわかるだろうと「保留」する。それは、子どもを信じているからこそできることなのかもしれません。
「もしかして足りないのは、
まぁいいか(今は保留しとこ)
このひと言なのかもしれませんよ」
(こまさんの投稿より *一部編集) 子どもをきちんと育てなきゃ……そんな思いを持って、しっかり子どもに向き合おうとしているからこそ、時に肩に力が入り過ぎてしまうこともあるでしょう。
大人も子どもも疲れてしまわないように「まぁいいか」といったん保留することで、気持ちにも余裕ができます。子育ては長期戦。ゆっくりと時間をかけて状況を見つめることも、時には有効かもしれません。
こまさんの長男は「あの日の両親には感謝している」と中学生になった今でもたまに言ってくれるんだとか。両親に「まぁいいか」とおおらかに受け止めてもらえた記憶は、長く子どもの心に幸せな記憶として残るのかもしれません。
●ご紹介した記事
「運動会に行きたくない息子と琵琶湖に遊びに行った話」
https://note.com/gomasenbei518/n/n6cf42ae08c3f
●元記事の著者プロフィール
こまさん|メモ書きクリエイター
フリーの人事コンサルタント/ちょいちょい大学で講師/毎日がストレスフリーになっていく考え方や実践/人生の役に立つことがあったりなかったり/3児のパパ