衆院選を前に保護者に悩みも… 子どもと「政治」をどう話す?

衆院選を前に保護者に悩みも… 子どもと「政治」をどう話す?

衆院選を前に保護者に悩みも… 子どもと「政治」をどう話す?

10月22日(火) 0:00



この記事のポイント

衆院選について子どもと話した家庭の割合は? 「子どもの見方が偏らないか心配」 まずは子どもの意見に耳を傾けて

衆院選について子どもと話した家庭の割合は?

間近に迫る衆議院議員総選挙(10月27日投開票)。若年層の投票率や政治参画意識について話題になる昨今、子どもと政治・選挙についてどのように話すべきか、悩んでいる保護者も少なくないようです。

ベネッセコーポレーションが10月7日から14日にかけて行った保護者向けのWebアンケート(※)では、小学生~高校生のお子さまを持つ家庭のうち、今月行われる衆院選について子どもと会話を交わしたことが「ある」と答えたのは36%、「ない」と答えたのは64%でした。

そのうち、第一子が中学生・高校生の家庭に絞ると「ある」と答えたのは55%だった一方、小学生の家庭で「ある」と答えたのは27%と、子どもの年齢が低いうちは、会話の機会は限定的であることがうかがえます。



また、「小学生のうちから、政治・選挙に関心を持つことは重要だと思いますか?」という質問に対しては、小学生の保護者の「そう思う」「まあそう思う」の回答は合わせて78%と、小学生の時から関心を持つことの重要性を感じている保護者が多いようです。

さらに小学生の保護者に「政治や選挙に関する会話について、子どもへの『話しにくさ』を感じたことがあるか」を尋ねたところ、「感じたことがある」が31%、「どちらでもない」が33%、「感じたことはない」が36%という結果に。
政治や選挙についての話題を話しにくいと感じるケースや、もしくはそれ以外の理由で家庭内での会話に至っていない様子がうかがえます。

「子どもの見方が偏らないか心配」

東京都在住で、母親として小学6年生と2年生のお子さんを持つ遠藤さん(仮名)は、「子どもには将来、自分で投票先の判断ができるようになってほしい」と願いつつ、複雑な胸の内を明かします。

「そのためには、今のうちから政治について関心を持つことは大切だと思っています。でも、私が話すことで、子どもの政治への見方を偏らせてしまわないかが心配で。親である自分自身も、公平に話すだけの知識を持てていないと感じます」

新たな首相の誕生や、衆議院解散のニュースは、子どもと政治について話すきっかけにはなったそう。しかし、それ以上の会話は無意識のうちに避けてしまっていると言います。

まずは子どもの意見に耳を傾けて

保護者は、政治・選挙について子どもとどのように会話をすればよいのでしょうか。

公立小学校で約20年教員を務め、全国で教育関係者や家庭向けの研修・講演を行っている庄子寛之氏(ベネッセ教育総合研究所)に聞きました。

——学校では、政治や選挙についてどのような指導がされているのでしょうか。

学校では、政治の歴史や仕組みについて教えることはあっても、具体的な政策や選挙情勢について話すことはほとんどありません。教育における政治的中立性の観点から、学校の先生は、特定の政党の支持につながるような話し方はできないからです。

そのため、「〇〇党の政策はこうで、△△党とこう違う」「××党の政策は、みんなの生活にこう影響する」というような話は、学校では一切されていないと言って過言ではないでしょう。

ただし、若い世代が政治に興味を持つことはとても大切です。未来の担う世代の声が政治に反映されなければ、将来、社会全体が大きな困難に直面することになるでしょう。

——家庭で子どもと政治について話す時は、どうすればよいのでしょうか。

学校ではほとんど教えられないことを前提に、まずはお子さまが政治について考えるきっかけをつくってみてはいかがでしょうか。

たとえば、新聞やテレビのニュースなどで各候補者の公約を見て、「どの人がいいと思う?」「どうしてそう思うの?」と聞いてみてください。どんな考えでも、まずは否定せず耳を傾けることが大切です。

また、最後に「私(保護者のかた)も勉強になったよ」「話してくれてありがとう」と伝えるとよいと思います。そうすることで、お子さまも安心して政治について考えたり話したりできますし、今後も政治への関心を持ち続けることにつながるでしょう。

(※)保護者のかた向けWebアンケート(回答者1,255名 ※未回答除く)より
調査期間:2024年10月7日~14日

プロフィール

庄子 寛之

ベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター 主任研究員

公立小学校の教員を20年近く務めた後現職。
臨床心理学科を修了し、人をやる気にさせる声かけや環境づくりを専門とする。
全国各地で研修を行い、研修回数は400回を超え、受講者も10,000人以上となる。

ベネッセ教育情報サイト

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